<特集3> Sick
House Syndromeが基礎にあると考えられた帯状疱疹後の難治性顔面皮膚湿疹の1症例 |
赤堀英明先生 M.D.,
Cert. ORT-MD (1Dan)
あさひ総合病院
One case of obstinacy face skin eczema after
zoster caused by Sick House Syndrome
Hideaki Akahori
M.D., Cert. ORT-MD(1Dan)
Asahi General Hospital
私のおります病院は、総合病院ですので、こられる患者さんのほとんどは、他の科で、診察を受けても原因が分からないという方がほとんどです。そのような方をBi-Digital
O-Ring Test(OMURA,Y,1977-2008.以下BDORT)を用いて、日々診療しています。本日は、最近増加している、シックハウスが症状の原因にあると考えられる症例をご紹介したいと思います。
シックハウスとは、建物、住居内の空気汚染に由来する健康障害の総称です。症状は目、鼻、喉、皮膚の症状や、頭痛、耳鳴り等、不定愁訴が現れます。原因は、建材、家具、カーテン、絨毯、日用生活品(化粧品、タバコ、防虫剤等)等から発する化学物質、ダニ・カビ等です。また、殺虫剤でも同様の症状を引き起こすことがあり、呼吸障害にもつながる恐れがありますから、注意が必要です。
シックハウス症候群は、1970年代から、急激に増加していますが、どうしてこういうことが起こってきたかというと、最近の家の造り方にあります。最近の家は断熱、高気密構造の家が多く、壁や床材等から揮発した化学物質が籠ってしまう環境が大きな原因となっていると言えます。
それでは、症例を紹介したいと思います。25歳の男性で、2007年初めごろより鼻の下に発疹がありました。2007年3月19日から、口唇周囲の帯状疱疹で通院治療を行い、一度は改善しましたが、2007年3月31日全身の発疹が出現し、1週間入院治療をされました。
退院後も鼻の下や顔面の発疹を繰り返し、消えることはなく、口唇周囲はいつもピリピリしているとのことで、2008年1月15日当科を受診されました。
初診の所見としては、鼻、口を中心にVZV(Varicella
Zoster Virus) 330ng(BDORT
Unit以下同様)の集積がみとめられ、その周外にHHV7(Human
herpes type 7) 100ngの集積、さらに外側にHg
50mgの集積が認めらました。
そこで、重金属の蓄積とVZV、HHV7の集積を改善するために、抗ウイルス作用のある漢方薬、ユーカリ茶、藍錠剤、エパデールで治療を開始しました。複数のウイルス感染が見られる場合は、藍錠剤が効果的な場合が多くあります。また、ユーカリ茶は、重金属の排出の際に用います。ユーカリ茶はコストも大変安く済みますので便利ですが、体質に合わない人が居られますので、必ずBDORTにて肝臓で適合性のチェックと量の測定を行ってから、処方します。
2008年2月14日の再診では、体幹部正中線上の胸骨部、臍上部、四肢にホルムアルデヒド330μg、ビスフェノールA 200μgの集積が認められました。そこで、シックハウス症候群が基礎疾患にあると考え、解毒系の漢方等の処方に変更しました。その後、ビスフェノールA、フォルマリンともに著しく減少し、皮膚の症状も、改善しました。
BDORTで調べると、シックハウス症候群の方は、フォルマリンやビスフェノールA等の蓄積が認められます。同時に水銀、鉛、アルミニウムの蓄積も認められることが多くあります。
また、シックハウス症候群ではHSV(Herpes
Simplex Virus)、CMV(Cytomegalovirus)、VZV等のウイルス反応が局所に認められます。特にビスフェノールAやホルマリンは、上肢の肘から抹消、下肢の膝から抹消に蓄積が多く見られます。症状としては局所的に赤色疹、掻痒感、ピリピリした痛み等の皮膚症状を訴えられることが多く、時にアトピー症状を示すこともあります。
シックハウス症候群の方のもう一つの特徴としては、体の冷えの強い方が多いということです。体が冷えている方は、暑がりであったりもしますので、自覚がない場合が多いですが、診療をしていく中で、体の冷えに気づくことが多くあります。
治療としては、金属の排出と漢方の解毒薬系剤と下剤の併用が効果的です。金属の排出には、中国パセリ、ユーカリ茶を使用します。解毒する方法は、結局のところ尿・便・汗のいずれかで排出するしかない訳ですから、下剤の併用が効果的だということです。
このように、日ごろの診療において、BDORTは、病気の原因の究明、診断の決定、治療の決定と、すべてにおいて大変役に立っています。 |