◆カカオのフラボノイドは下痢に効く
歴史的に、カカオ豆は下痢の治療に使用されてきました。細胞実験の結果、カカオのフラボノイドは小腸で液体の分泌を調節しているCFTRというタンパク質を阻害すると分かりました。この作用がカカオの下痢治療効果を発揮していると考えられました。
具体的には、カカオ豆のフラボノイドはCFTRを阻害して小腸での塩素イオン分泌を防いでいると考えられました。アメリカ人が下痢で病院を受診する回数は1年間でおよそ24万回です。子供や高齢者に重症の下痢が起きると、脱水症状で数日以内に死亡することもあります。
研究者等は、カカオの下痢予防・治療効果を利用して効果的な下痢治療薬が開発を目指します。
‥> News Source
+ Dark chocolate helps diarrhea / EurekAlert
‥> Reference Cocoa-Related Flavonoids Inhibit CFTR-Mediated
Chloride Transport across T84 Human Colon Epithelia. J Nutr. 2005
Oct;135(10):2320-2325.
◆アルギン酸は食物繊維の代わりになる
食品業界において、藻類の多糖類・アルギン酸(alginate)は安定剤、増粘剤、乳化剤などとして使用されています。
しかしながら、非消化性の多糖類であることから、アルギン酸は食物繊維として食品に添加できる可能性があります。これまでの研究から、食物繊維は心血管疾患や胃腸疾患の予防効果があることが分かっています。
2005年9月のCrit Rev Food Sci Nutr誌に、現時点で判明しているアルギン酸の食物繊維様の作用についてまとまっています。特に消化管での吸収に与える影響について重点的に解説しています。また、健康維持や心血管・消化器疾患の予防における有用性についても論じています。アルギン酸は無味無臭であるため、添加剤として使用すれば、味を損なわずに様々な食物の繊維量を増やすことが可能です。
‥> News Source
+ Burgers' seaweed 'health boost' / BBC ‥> Reference Alginate
as a source of dietary fiber. Crit Rev Food Sci Nutr. 2005;45(6):497-510.
◆体重が低下するとアルツハイマー病のリスクが上昇する
ローマカトリックの高齢聖職者918人を最大10年間追跡調査した結果、体重が低下するとアルツハイマー病のリスクが上昇すると分かりました。調査の結果、BMIが一定であった高齢者に比べて、BMIが1年間に1低下するとアルツハイマー病と診断されるリスクが35%上昇しました。BMIの低下はアルツハイマー病発病につながる病理プロセスを反映している可能性があると考えられました。
‥> News Source
+ Weight Loss Might Precede Alzheimer's / AP ‥> Reference Change
in body mass index and risk of incident Alzheimer disease. Neurology.
2005 Sep 27;65(6):892-7.
◆トマト由来のリコピンに抗アレルギー作用、カゴメがヒトで確認
カゴメは9月29日、リコピンを含むトマト由来のカロテノイドが、 ヒトに投与する研究の結果、抗アレルギー作用を持つことを確認したと発表した。臨床試験は、同社総合研究所と日本薬科大学、おやまにし病院の共同研究で、研究成果は10月22日から盛岡で開催される日本アレルギー学会で報告するという。研究は、トマト由来のカロテノイド摂取がハウスダスト与える影響を検証した。ハウスダスト特異的IgE陽性の成人12人に対し、半数の試験群にリコピン10mgを含有するトマトオレオレジン(脂溶性抽出物)カプセルを1日2回、半数の対照群に対し、植物油から成るプラセボを1日2回、それぞれ4週間のんでもらった。その結果、試験群では、摂取後の血中リコピン濃度が摂取前に対して有意に上昇し、対照群に対しても有意に高値になった。試験群では摂取2週目から血清リコピン脳が有意に上昇し、4週目には摂取前の16倍に増加した。試験群ではβカロテン濃度も4週間後には摂取前に比べて有意に増加した。また、ハウスダスト特異的IgE量については、試験群で有意な低下が認められた。こうした結果からカゴメでは、リコピンを含むトマト由来カロテノイドの摂取によって、ヒトでも1型アレルギーの改善が期待されるとしている。(中沢真也)
◆ストレスでぜんそくが起きる−−脳をスキャンして確認
感情の変化とぜんそく発作には関連が深いといわれてきたが、脳の働きをスキャンする検査方法で、両者の関連が裏付けられた。ウイスコンシン大学のリチャード・デビッドソン教授(精神医学)らは、感情的ストレスとぜんそく発作との関係を調べる研究を行った。軽いぜんそくの気があるボランティア6人に、筋肉収縮を引き起こす物質と、炎症を引き起こす物質を吸い込ませた。
その1時間後と4時間後に、MRI(磁気共鳴映像法)を使って、ボランティアの脳をスキャンした。スキャンしている間に、ボランティアたちは、スクリーンに映されたいくつかの言葉を読むように言われた。そこに現われた言葉は「カーテン」、「寂寥感」、「息がゼーゼーする」、「咳
」、「息苦しさ」など。これらの言葉のうちカーテン以外は、ぜんそくの発作に関係した言葉だ。
こうした言葉を読ませるごとに、ボランティアの脳のスキャンに変化が見られ、特に発作に関係した言葉を読むと、炎症を引き起こす脳の部分が活性化したという。
◆野菜、果物をたっぷり食べれば肺ガンを予防できる
野菜、果物をたっぷり食べれば、肺ガンの予防に大いに役に立つことがわかった。テキサス大学MDアンダーソンガンセンターでの研究。「JAMA(米医師会報)」で報告された。喫煙者、非喫煙者の双方で、有効であることがわかった。研究では、1674人の肺ガン患者と、性別、齢など同じような条件の1735人の健康な人たちを対象に、一人一人インタビュ−して、比較した。その結果、肺ガン患者は、健康な人より、野菜、果物の消費量がはるかに少ないことがわかった。逆にいうと、野菜や果物の消費量が多い人の方が肺ガンの発症率が低い傾向にある。
研究者らは、野菜、果物に含まれるホルモン様物質である「ファイトエストロゲン」が肺ガン予防に役に立っていると見ている。
◆DDW-Japan2005速報】梅肉エキスがピロリ菌に効く?!
第13回日本消化器関連学会週間(DDW-Japan)初日の10月5日、梅肉エキスがヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter
pylori、以下ピロリ菌)への抗菌作用を示すことが、ヒトでの研究で確かめられたという発表があった。社会保険滋賀病院内科の中島滋美氏がポスターセッションで報告したもの。 梅肉エキスとは、熟していない梅の絞り汁を煮つめて黒色のペースト状にしたもの。以前から腹部症状を和らげる効果があると言われており、抗菌作用については、細胞レベルでの報告が既にあるが、ヒトでの研究結果が示されたのは、これが初めて。 中島氏らは、ピロリ菌陽性患者22人に、約130mLの1%梅肉エキスを1日2回(朝食前と就寝前)12週間服用してもらい、飲用前と2、4、12週間後に尿素呼気試験を行って、抗菌効果を判定した。尿素呼気試験では、2.5%以下が正常値。初回の尿素呼気試験の数値が低かった2人は判定対象から除いた。その結果、12人(60%)の被験者が、2週間後の測定で、尿素呼気試験の数値が10%以上、低下した。このうち3人は、正常値に近い3%以下まで数値が低下した。飲用前の数値が10%以上だった患者13人についてみると、2週間後と4週間後の数値は有意に低下していた(p<0.05)。中島氏は、「初回の尿素呼気試験の数値が高いピロリ菌陽性患者に対し、梅肉エキスが代替医療の一つとして利用できる可能性があるのではないか」としている。(小又理恵子)
◆禁煙でなく、減煙でも肺ガンリスクは減る
完全な禁煙でなくても、タバコの本数を減らせば、肺ガンのリスクが減らせるのかどうかを調べた研究が、「JAMA(米医師会報)」9月28日号に掲載された。研究では、1万9714人の成人を18年間追跡調査した。期間内に864人が肺ガンと診断された。これを詳しく分析すると、ヘビースモーカー(1日15本以上吸う人)が、半分以下に減らした場合、肺ガンになるリスクは、まったく喫煙本数を減らさなかった人と比べると27%減だった。また、完全な禁煙に成功した人は、本数を減らさなかった人と比べると、肺ガンになるリスクは83%減少していた。
また、18年間の間に何度か禁煙をしたヘビースモーカーの場合は、肺がんになるリスクが、50%減だった。完全な禁煙でなくても、ある程度喫煙本数を減らせば肺ガンリスクが減ると、研究者らは指摘している。
◆飲酒は肺癌を若干起こしやすくするかもしれない
7つのプロスペクティブ試験(合計399,767人)のデータをまとめて解析した結果、飲酒は肺癌を若干起こしやすくするかもしれないと分かりました。毎日2杯以上(アルコールを30g以上)飲む男性、女性は飲まない男性、女性に比べてそれぞれ21%、16%肺癌になりやすくなっていました(ただし95%CIはそれぞれ0.91-1.61、0.94-1.43)。全体としてはアルコールの肺癌誘発作用は弱いと考えられましたが、喫煙の経験がない男性においては、アルコールを毎日15g以上飲むと飲まない場合に比べて肺癌に6倍なりやすいという結果となりました。しかし喫煙経験がない男性は肺癌のリスクが低い集団です。
‥> News Source
+ Link weak between alcohol and lung cancer / Reuters ‥> Reference
Alcohol consumption and risk of lung cancer: a pooled analysis
of cohort studies. Am J Clin Nutr. 2005 Sep;82(3):657-67.
◆抗がん力持つ細胞、森林浴で機能向上 森林総合研究所
森林浴をすると抗がん能力が上がるとの研究成果を農林水産省系の独立行政法人・森林総合研究所がまとめた。森林浴の新たな一面として、注目を浴びそうだ。
森林総研が日本医大公衆衛生学教室のチーム(責任者=李卿・講師、川田智之・教授)に委託した研究で、林野庁が13日午後、発表する。
実験の対象は東京都内の企業に勤める37〜55歳の男性会社員12人。それぞれ残業や通勤時間が長く、高いストレスにさらされている人を選んだ。
12人は、9月2日から3日間、長野県飯山市内の森林に滞在。1日目は雑木林で午後から2時間、2日目はブナ林とスギ林に囲まれた遊歩道を2時間ずつ散策した。
2日目と3日目に血液検査をし、ふだんの状態と比べたところ、がん細胞を破壊するナチュラル・キラー(NK)細胞の元気度を示す「NK活性」が、2日目で平均26.5%、3日目で同52.6%上がった。血中のNK細胞の数や、NK細胞が出す抗がんたんぱく質も増えていた。
NK細胞の機能が高まれば、抗がん能力は高まると考えられている。研究チームは、樹木が発散するフィトンチッドが緊張をほぐし、NK細胞の働きを抑えるストレスを低下させたと判断。「仕事を休んだことの影響も考えられるが、3日目の数値が格段に上昇したことなどからも、森林浴による効果と考えてまず間違いない」と結論づけた。
農水省は森林浴を医療や健康づくりにいかす「森林セラピー(療法)」の普及に取り組んでおり、「森林浴の効果に関する科学的知見が一つ加わった」(林野庁研究・保全課)としている。
◆芸術について語ると血圧が下がり便通がよくなる
およそ80歳の高齢女性20人を対象にした試験で、1週間に一度芸術について語ると人生について前向きになり、創造的になり、血圧が下がり、下剤を使用する頻度が少なくなる(=便通がよくなる)という結果となりました。一方、趣味や関心事ついてディスカッションしたコントロール群では芸術に関するディスカッションで得られたような効果は認められませんでした。ストックホルムのErsta
Skoendal University CollegeのBritt-Maj Wikstroem等による研究成果です。科学とか政治とかではどうなんですかね?テーマを設定してそのことを深くディスカッションするということが重要なのではないかという気がしました。
‥> News Source + Art
relieves constipation, lowers blood pressure / AFP
◆クランベリー中には癌の増殖を抑制する化合物が存在する
細胞実験の結果、proanthocyanidin(PAC)を多く含むクランベリー抽出物の分画は、肺癌細胞、大腸癌細胞、白血病細胞の増殖を抑制すると分かりました。2005年10月17日のJournal
of the Science of Food and Agriculture誌に発表された研究成果です。
‥> News Source
+ Cranberry compound found to block cancer / NutraIngredients
‥> Reference MALDI-TOF MS characterization of roanthocyanidins
from cranberry fruit (Vaccinium macrocarpon) that inhibit tumor
cell growth and matrix metalloproteinase expression in vitro.
Journal of the Science of Food and Agriculture. Early View (Articles
online in advance of print)
◆魚をよく食べると脳の老化を遅らせることができる
フィッシュオイルに含まれるオメガ3脂肪酸の働きで、魚食は心臓・血管系の病気を予防する、という常識が行き渡って魚の消費量が増えている。魚食にはそのほか、脳の衰えを遅らせる働きがあるという研究報告が「神経学紀要」に掲載された。研究は65歳以上のお年寄り3718人を対象に行われた。各人の食生活を魚食を中心に詳しく調べた。それから、以後6年間に、記憶力や言語能力などを検査するテストを、間を置いて3回行った。その結果、ほとんどの人はテストの成績が、年が経つとともに下がって行ったが、魚をよく食べている人ほど成績の落ちかたが遅かった。つまり、魚食が、脳の健全な状態を長続きさせていた。週に少なくとも魚食を1回食べている人は、全く食べていない人より。テストの成績の落ちかたが10%遅く、週に少なくとも2回以上魚を食べる人では、成績の落ちかたが13%遅かった。
運動するお年寄りには前立腺ガンが少ない [2005/06/29]
運動をしている人は前立腺ガンになるリスクが低いという疫学研究結果が「米内科学雑誌」に報告された。 研究者たちは、医療に従事している男性4万7620人の医療記録を14年間分調べた。その間に、2982人が前立腺ガンと診断されたが、日ごろ運動をしている人ではどうかを重点的に解析した。その結果、65歳以上のお年寄りでよく運動する人(週に少なくとも3時間はかなり激しい運動をする人)は、運動をあまりやらない人より、進行前立腺ガンになった割合と死亡した割合の合計が67%低かった。
運動が、なぜ前立腺ガンのリスクを減らすのかは、まだわかっていない。
光に当たるとうつ病が良くなる [2005/05/23]
うつ病患者を人工的な光にさらす光治療が、症状の緩和に役立つことがわかった。米ノースカロライナ大学精神科での研究。「米精神医学雑誌」4月号に掲載された。
博士らは、これまでに発表された20編の関連研究論文を再検討して、この結論を得た。「光治療法」は、暗い冬期など季節的にうつの症状が出る患者だけでなく、季節を問わず、うつになる患者にも有効であるという。通常、患者は非常に明るい白色蛍光ランプの前に座らせられ、光源は直接見ないで、光に当たる。光に当たる時間は、1日当たり15分間から90分間でこれを数週間続けると、うつの症状が次第に消えて行くという。
グレープ(ブドウ)の種抽出物は血管へのコレステロール沈着を防ぐ
2005-06-27 00:00:00 モルモットでの実験の結果、グレープ(ブドウ)の種抽出物は高脂肪食に伴う血管へのコレステロール沈着を防ぐと分かりました。
研究者等は、ココナツの脂肪が豊富な餌(高脂肪食)だけ与えたモルモットと高脂肪食+グレープの種抽出物を与えたモルモットの12週間後の血管へのコレステロール沈着率を比較しました。実験の結果、グレープの種抽出物を与えたモルモットでは血管へのコレステロール沈着が有意に少なくなっていました。
カリフォルニア大学デイビス校の研究者等が4月に開催されたExperimental Biologyで発表した研究成果です。
毛染め剤と癌の関係を再検証JAMA
(2005) 293:2516-2525.
最近の疫学的研究で、毛染め剤と癌発症の間の関連性が示唆されていたが、ヨーロッパの研究班による40年間の調査研究の再分析では、顕著な関連性が認められなかった。毛染め剤への職業的な暴露に関する研究を除き、合計79件のコホート研究あるいはケース・コントロール研究を分析した結果、乳癌、膀胱癌で毛染め剤使用者と非使用者の危険性には有意差が認められず、長期間の使用や色が長持ちする毛染め剤の使用に関連した危険性上昇も認められなかった。ただし、血液癌では使用者の危険性が非使用者の1.15倍で、他にも脳腫瘍、卵巣癌など研究例数が1、2件しかない癌について、それらの研究が危険性上昇を示唆する場合もあったという。
気に入った音楽で麻酔効果News
Release from Yale University on May 25, 2005.
エール大学医学部の麻酔科医を中心としたグループによる研究で、手術中、気に入った音楽を聞いていた患者は、騒音を聞いていた患者よりも鎮静剤投与が少なくて済むことが示された。この研究は合計90名の被験者を3グループに分け、1つのグループの患者には手術中にヘッドフォンを通じて個々の患者が好む音楽を聞かせ、2つ目のグループの患者にはヘッドフォンを通じて騒音を聞かせ、3つ目のグループの患者にはヘッドフォンをつけさせず手術室の雑音が聞こえる状態にした。その結果、ヘッドフォンをつけて騒音を聞かせても鎮静剤の必要量はヘッドフォンなしの場合と変わらなかったが、音楽を聞かせると必要量が有意に減ったという。
緑茶の旨み成分テアニンが更年期の症状を緩和?
太陽化学が緑茶成分「テアニン」がストレスと更年期の症状に与える影響について実験を行いました。緑茶の旨み成分である「テアニン」は、リラックス効果があることでも知られていますが、ストレス軽減作用や更年期障害の症状緩和効果が確認されました。これは、米国の35歳から60歳の女性を対象とした実験で、被験者をテアニン摂取(L−テアニン50mg含有の錠剤を午前と午後に2錠ずつ空腹時に水で服用)とプラセボ摂取の2群に分けて、ダブルブランド形式で3カ月間検討されました。その結果、ストレス軽減に関しては(被験者58人)、テアニン摂取群がプラセボ群に比べ怒り、悲しみ、不安感、動揺、イライラの精神症状に関連する項目が軽減しました。更年期症状についても(被験者29人)、摂取群で、ほてり、疲労、頭痛、動悸などの症状について改善傾向が認められたとのこと。なるほど、縁側でお茶する生活というのは、いわば理想的なものなのかもしれませんね。
【提供 ヘルススクランブル】
歯周病菌が血管の病気の原因にバージャー病と関連2005年07月01日09時57分
手や足の血管が詰まる難病、バージャー病が歯周病菌と関連していることを東京医科歯科大の岩井武尚教授(血管外科)や石川烈教授(歯周病学)らが突き止めた。予防や悪化防止にもつながる成果という。米国の血管外科専門誌の7月号に発表する。
バージャー病の患者は国内に約1万人いるとみられる。手や足の動脈に炎症が起きて血流が悪くなり、ひどい場合は足の切断に至ることもある。
岩井教授らは患者の同意を得た上で、病気になった動脈で歯周病菌に特有のDNAの有無を調べた。歯周病菌にはさまざまな種類があるが、今回は代表的な7種類で検査、患者14人中13人で歯周病菌が見つかった。また、14人全員が歯周病になっていた。バージャー病でない7人の動脈からは歯周病菌は見つからなかった。ネズミを使った実験では、歯周病菌が血管内に血のかたまりを作ることが分かった。
これらの結果から岩井教授らは、口の歯周病菌が血管の中に入り、バージャー病の発症や悪化に関係するとみている。バージャー病は喫煙者に多く、喫煙は歯周病を悪化させる。歯周病を抑えることや禁煙が、この病気の予防や悪化防止につながるという。
歯周病菌が血管の病気の原因に バージャー病と関連2005年07月01日07時42分
胃がんの「前がん状態」でも、胃の中のピロリ菌を除菌すると、進行を抑え、状態を改善する効果がある。そんな研究結果を、厚生労働省研究班がまとめ、1日、岡山市で開催中の日本ヘリコバクター学会で発表する。主任研究者の斉藤大三・国立がんセンター中央病院内視鏡部長は「胃がん予防を考えると、慢性胃炎が進んだ人も除菌した方がいいかも知れない」という。
研究対象は96〜04年に登録された全国20〜59歳のピロリ菌感染者で4年以上経過した392人。胃がんへ進む前の状態と考えられている萎縮(いしゅく)性胃炎や腸上皮化生(じょうひかせい)(胃の粘膜の変性)など慢性胃炎になった患者について、抗生物質を飲んで除菌するグループと、除菌しないグループに無作為に分け、平均5.3年にわたって症状を追跡した。
患部の細胞を採取して調べた結果、胃の下部の萎縮性胃炎で状態が改善した割合は、除菌しなかった116人で17人(15%)に対して、除菌した116人では72人(62%)だった。胃の上部や中部の萎縮性胃炎、腸上皮化生を含め、すべて除菌した人の方が29〜47ポイント改善率が高かった。効果は性別や年齢層に関係なく見られた。
ピロリ菌に感染すると胃の粘膜が傷つけられ、慢性胃炎になり、さらに胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎、さらに腸上皮化生になる。これが続くと胃がんを発生しやすい――。こうした筋書きが動物実験や過去の疫学調査から示唆されてきており、ピロリ菌を除菌すると胃がんの発症率が3分の1以下になるとする研究結果もあった。「ピロリ菌元凶説」はかなり広まっているが、科学的根拠は必ずしも十分ではなかった。 今回の研究は最終的な胃がんの発生頻度まで調べたものではないが、前がん状態でもピロリ菌除菌が胃がんへの進行抑制効果を持つらしいことを厳密な研究で裏付けた点で画期的だ。
研究班は今後、除菌の効果がいつごろから現れるか解析を進めるとしている。また、研究で除菌しなかった人について、希望に応じて除菌することも検討している。
ピロリ菌は日本では国民の約半数が感染しており、特に50歳以上の感染率は約6割とされる。 除菌は、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質の計3種類の薬を、朝晩に1週間続けて飲むのが標準的だ。胃潰瘍(かいよう)や十二指腸潰瘍の治療などでは公的な医療保険が適用されている。ただ、逆流性食道炎などの副作用も報告されている。
大気汚染が糖尿病患者の心臓を悪化させる [2005/06/28]
汚染された空気の中で暮らしている糖尿病の人は心臓病を患うリスクが高まる──という研究が、雑誌「Circulation」の6月号で報告された。
この研究所は、「米国立環境健康科学研究所」(National Institute of Environtal HealthSciences)の資金で行われた。
研究リーダーのマリー・オニール博士(ミシガン大学)によると、糖尿病患者は空気が汚れている日には血管が十分拡張しないという。車の排気ガスが多い道路や、石炭燃焼による発電所の付近では、浮遊している汚染粒子を吸い込むと、血管がよく広がらないという。
これにより、十分血流を送り出すことができなくなった状態が続くと、心臓発作、脳卒中など心臓血管系統の病気になりやすくなる。
シャワーの浴びすぎは脳を破壊する
2005-07-07 00:00:00 マンガンは生体の必須物質ですが、摂取しすぎると毒になります。水道水中のマンガンレベルは、飲んだ場合を想定して安全域が設定されていますが、水蒸気として鼻から直接吸い込んだ場合の安全域は不明です。
これまでに発表された文献報告をレビューしたところ、マンガンを含有したシャワーの水蒸気を鼻から10年間吸い込んだ場合、ラットの実験で脳にマンガンの沈着が生じるレベルの3倍(小児)-112倍(成人)以上のマンガンを吸い込んでいることに相当するという結果となりました。
マンガンが脳に沈着すると神経が死にます。神経が死ぬとパーキンソン病やアルツハイマー病にかかりやすくなる可能性があります。
‥> News Source
+ Having a shower can 'cause brain damage' / ThisIsLondon
‥> Reference
タバコは、卵子が卵管を通過するのを妨害する
2005-07-16 00:00:00 タバコの煙は、受精に適切な場所に卵子が輸送されるのを妨害する作用があるとわかりました。すなわち、タバコの煙に暴露していると卵子が卵管にとどまってしまい受精や妊娠が成立しにくくなると考えられました。
ハムスターでの実験の結果、卵子や卵管がタバコの煙に暴露すると、卵丘細胞に包まれた卵子 (oocyte cumulus complex、OCC)
は卵管上流の漏斗部に粘着してしまいました。この結果、繊毛によるOCCの卵管輸送が阻害され、OCCが適切な部位に運ばれる割合が低下しました。
‥> News Source
+ Cigarette smoke reduces transport of hamster eggs / EurekAlert
‥> Reference
Cigarette Smoke Inhibits Hamster Oocyte Pickup by Increasing Adhesion
Between the Oocyte Cumulus Complex and Oviductal Cilia. Biol Reprod.
2005 May 11; [Epub ahead of print]
アスパルテームは白血病やリンパ腫を引き起こす
2005-07-16 00:00:00 Cancer Research CentreのMorando Soffritti氏等が実施したラットの実験で、甘味料・アスパルテームは白血病やリンパ腫を引き起こすリスクがあるという結果となりました。
実験の結果、アスパルテームは用量依存性に白血病やリンパ腫を引き起こしたとのことです。アスパルテームは砂糖のおよそ200倍の甘味があり、ジュースやお菓子に使用されています。アスパルテームの入ったお菓子やジュースはなるべく食べない方が良いようです。
‥> News Source
+ Sweetener 'linked' to leukaemias / BBC
エクササイズすると乳ガンの死亡率が下がる [2005/07/15]
エクササイズ(運動)が、いろいろな病気の予防や回復にいいという研究が、このところ多く出されているいが、今度は定期的にエクササイズをしている女性は、乳ガンになっても死亡する割合が、はっきりと小さいことがわかった。
ハーバード大学医学部のミッシェル・ホルムズ博士らが行った研究。「JAMA(米医師会雑誌)」にこのほど掲載された。
この研究では、1984年から1998年までに乳ガンと診断された女性2987人を調べた。その結果、ほんの少しでも(1週間に1時間のウォ−キングでも)、定期的に運動をしている乳ガン女性は、生存率が高かった。
運動量が増えれば増えるほど、生存率が高くなっていた。
例えば、運動量が1週間に3時間以内の女性は、959人いたが、調査期間中に死亡した人は110人いた(11%)。これに対して、1週間に3時間から5時間運動している女性は345人で、死亡したのは、20人に過ぎなかった(6%)。
カレーに使われる香辛料が皮膚癌に有効である可能性 提供:WebMD
カレーの成分が悪性黒色腫細胞を死滅させる可能性
Jennifer Warner WebMD Medical News Reviewed by Brunilda Nazario,
MD
【7月11日】インドカレーに独特の黄色い色をつけるカレーに欠かせない香辛料が強力な抗癌作用を持つ可能性がある。
実 験室試験においてターメリックという香辛料に含まれる黄色色素であるクルクミンが悪性黒色腫の癌細胞を死滅させ、その増殖を停止させることが新しい研究で
示されている。悪性黒色腫は非常に致死率が高く、治療が困難な種類の皮膚癌であると思われる。米国対癌協会(ACS)によれば、悪性黒色腫が皮膚癌症例に
占める割合は約4%であるが、皮膚癌による死亡の約79%を占めるという。
クルクミンが抗癌作用を持つ物質として取り上げられたのは今回が初めてではない。この香辛料は、抗酸化作用と抗炎症作用の両作用を有するため、さまざまな疾患の治療に有用である可能性がある。
しかし、研究者らによれば、この試験はクルクミンが高濃度で短期間および低濃度で長期間の両条件で癌細胞の死滅を誘発することを実証した最初の試験であるという。
カレー香辛料から抗癌作用
この試験は『Cancer』8月15日号に掲載されるもので、研究者らはさまざまな用量と期間でクルクミンの3種類の悪性黒色腫細胞株に対する作用を評価した。
その結果、このカレー香辛料が3種類の悪性黒色腫細胞検体において癌細胞の生育を抑制し、細胞死を誘発することが示された。検討されたすべての用量で癌細胞株が減少したが、高用量になるほど有効性が高いことが認められた。
研究者らは、クルクミンがアポトーシスと呼ばれる自然な細胞死のプロセスを誘発したと述べる。この香辛料は、癌細胞に通常認められ、癌細胞の死を防止するタンパクの産生を抑制する。癌細胞に届くクルクミン用量が多くなればなるほど、より多くの癌細胞が死滅した。
クルクミンは癌細胞の細胞死に至る経路を変化させるのには有効であったが、癌細胞増殖に関連がある他の経路には作用しなかったと研究者らは述べる。
研究者らは、このカレーの成分を癌治療に応用するためには、悪性黒色腫の動物モデルおよびヒトを対象とした試験においてクルクミンの作用を検討する更なる試験が必要であると述べている。
Siwak, D. Cancer, Aug. 15, 2005; vol 104. News release, John Wiley
& Sons, Inc. American Cancer Society.
(C) 2005 WebMD Inc. All rights reserved.
葉酸は出血性脳卒中を防ぐ
2005-07-26 00:00:00 出血性脳卒中患者62人、虚血性脳卒中患者334人のビタミンB12と葉酸の血中濃度を測定したところ、血中の葉酸レベルが高い人ほど出血性脳卒中になりにくいという結果となりました。
一方ビタミンB12の血中濃度と出血性脳卒中または虚血性脳卒中の発現に関連はありませんでした。 また、葉酸サプリメントを使用していると出血性脳卒中になりにくいという結果となりました。一方、葉酸サプリメントの服用と虚血性脳卒中の発現に相関はありませんでした。
ビタミンB12サプリメントと虚血性脳卒中または出血性脳卒中に相関はありませんでした。葉酸は、心血管疾患のリスクマーカーであるホモシステインレベルを低下させます。この作用以外にも、出血性脳卒中を予防する何らかの作用を葉酸は有している可能性があると考えられました。
‥> News Source
+ Folate may protect against hemorrhagic stroke / Reuters
‥> Reference
Folate, vitamin B12, and risk of ischemic and hemorrhagic stroke:
a prospective, nested case-referent study of plasma concentrations
and dietary intake. Stroke. 2005 Jul;36(7):1426-31. Epub 2005
Jun 2.
閉経後女性の歯の損失の主な原因は歯周病
2005-07-26 00:00:00 閉経後女性106人を10年以上追跡調査した結果、歯を支えている歯槽骨が1mm減る毎に歯を失うリスクが3倍高くなるという結果となりました。平均11.7年の追跡期間中、106人中57.5%が一本以上の歯を失いました。歯槽骨の減退のほかに、歯と歯槽の接触が1mm減る毎に歯を失うリスクが2.5倍高くなりました。この結果から、閉経後女性において、歯周病は歯の損失を招くと分かりました。‥>
News Source
+ Postmenopause and periodontal disease / EurekAlert
‥> Reference
Periodontal disease and the incidence of tooth loss in postmenopausal
women. J Periodontol. 2005 Jul;76(7):1123-8
◆中年太りは、後年、認知症になりやすい [2005/06/01]
カリフォルニアに住む人たちを、30年近く追跡調査したところ、40代ごろに肥満、ないし体重オーバーだった人は、年を取ってからアルツハイマー病などの認知症にかかる割合が高いことがわかった。このほどブリティシュ・メディカル・ジャーナルのオンイン版で発表された。この研究はNIH(米国立衛生研究所)の資金により「カイザー・バーマネンテ医学基金の研究者が行ったもの。「カイザー・パ−マネンテ」は米国の有力な健康保険会社。研究者たちは、40歳半ばまでの男女1万276人を対象に、定期的に健康診断を実施し、約30年間ののちに認知症になったかどうかを中心に追跡して調べた。その結果、体重が正常な人で、痴呆症になったのは10人に7人の割合。体重オーバーの人で痴呆症になったのは10人中8人、肥満者では
10人中9人が痴呆症になっていた。
◆人を信用させる物質特定 ホルモンの一種、悪用心配
【ワシントン1日共同】【2005年6月2日】 鼻に噴霧すると、人に対して抱く信頼感を強める働きがある物質を特定したと、スイス・チューリヒ大のエルンスト・フェール教授らのチームが2日付の英科学誌ネイチャーに発表した。 この物質は、人体でつくられるホルモンの一種「オキシトシン」。他人に対して健全な信頼感を持てない、ある種の障害の解明や治療法の開発に役立つと期待される一方、人の精神や行動を操作できる可能性もあるため、悪用を懸念する声も出そうだ。オキシトシンは脳の視床下部などでつくられ、母乳を分泌させたり、出産時に子宮を収縮させたりする働きがある。動物では親子やつがいのきずな作りに重要と分かっているため、チームは「人では信頼感に関係しているのでは」と仮説を立て、損をする可能性もある投資ゲームの参加者にオキシトシンを与え、行動にどんな変化が出るか調べた。投資家が受託人にどの程度の資金を預けるかによって信頼の強さを評価したところ、オキシトシンの噴霧を受けた29人は、偽薬を与えられた29人に比べ、より高額を預ける傾向があった。一方、受託人をコンピューターに置き換えた場合は、預ける額に差はなかった。この結果から、チームは「単にリスクを冒しやすくするのではなく、人への信頼感を強める働きがある」と結論付けた。ネイチャー誌にコメントを寄せた専門家は、考え得る悪用例として、選挙の候補者の演説中に聴衆にオキシトシンを噴霧することなどを挙げたが、研究の重要性には変わりないことを強調した。
◆歯周病はアルツハイマー病のもと
2005-06-22 00:00:00 一方がアルツハイマー病またはその他の痴呆疾患を発現し、もう一方は痴呆を発現していない双子109組を対象にした調査で、痴呆疾患を発現した双子の片割れは発現しなかった片割れに比べて中年までに歯周病を患った割合が4倍高いという結果となりました。
University of Southern CaliforniaのMargaret Gatz等がAlzheimer's Association
International Conference on Prevention of Dementiaで発表した研究成果です。
‥> News Source
+ Gum Disease and Inflammation Linked to Dementia, Alzheimer's
Disease / WebMd
‥> Reference
Potentially Modifiable Risk Factors for Dementia: Evidence from
Identical Twins
◆瞑想してストレスをほぐすと長生きする [2005/06/08]
お年寄りに瞑想させたら普通の人より長生きしたという研究結果が、「米心臓学会誌」(American
Journal of Cardiology )5月1日号で発表された。この研究では、平均年齢72歳で、高血圧気味のお年寄り202人を、2グループに分け、第一のグループには超越瞑想(TM)など、ストレスを緩和し、血圧を下げるといわれる瞑想法を18年間実行させた。もう一つのグループには、健康に役に立つ標準的な情報を常時与えて、健康に注意するよう指導した。こうして18年後、瞑想組で、心臓病で死亡した人の割合は、情報組より30%も少なかった。心臓病以外の原因で死亡した割合も23%少なかった。この結果から、研究者たちは瞑想がストレスを緩め、血圧を下げる効果があり、それが長生きに導いたと結論づけた。
◆糖尿病予備軍は、食事と早足歩行で予防を [2005/06/07]
完全な糖尿病にはなってはいないが、血糖値が標準より高く、要注意と言われている人は非常に多い。そういう糖尿病予備軍が米国全成人の4分の1に達していると言われている。予備軍が糖尿病にならないようにするには、何が一番有効かを調べた研究が、「米内科学雑誌」(Annals
of Internal Medicine )4月19日号に掲載された。研究では、比較的血糖値が高い成人、3234人を研究対象に選んだ。被験者は3グループに分けられ、第1のグループには糖尿病の薬である「メトフォルミン」が与えられ、第2のグループには偽薬が、第3のグループの人たちには、ライフスタイル変えるあるプログラムが与えられた。ライフスタイルプログラムは、低カロリー、低脂肪の食事を守らせ、さらに早足で歩くウオーキングを1週間当たり最低2.5時間実行させるというものだった。これを3年間続けてから、その結果を調べた。糖尿病の症状が出始めたかどうかを検査したところ、偽薬組では試験前は55%だったが、3年後には61%、投薬組では、54%が55%にぞれぞれ増えていたが、ライフスタイル組では、51%が43%に大きく減っていた。また、試験開始前に症状が出ていた人で、試験後にその症状が消えていた人の割合は偽薬組では18%、投薬組では23%だったが、ライフスタイル組では、これが38%にもなっていた。
◆片頭痛に鍼治療が効くを実証──米
[2005/05/30]
片頭痛の代替治療法として鍼(ハリ)が確かに効果があったという論文が、5月4日付けの「米国医師会雑誌(JAMA)」で発表された。試験は、片頭痛持ち302人(ほとんどが女性)を対象に行われた。被験者を3グループ分け、第1のグループには、ハリを8週間にわたって打ち、第2のグループには、見せかけのハリを打ち、第3のグループにはハリを打つから、と言ってウエイティングリストに入れたままにした。全被験者に実験期間中と、そのあと6カ月間にわたって日記をつけさせ、片頭痛が起きたか、その日の痛みはどうだったかを記録させた。その結果、本物のハリを打ったグループも、見せかけのハリのグループも片頭痛が起きた日数がハリを打つ前よりも、1週間あたりにして全く同じ2.2日減った。さらに、「中程度ないし、ひどい痛みが起きた日が、ハリを打ったために半分以下に減った」と答えた人の割合を調べたところ、本物のハリを打ったグループではその答えが51%、見せかけのはりを打ったグループでは53%にも達した。研究者たちは、「見せかけのハリを使ったグループで、本物のはりを打ったグループよりも、むしろ治療成績が良かったのは、見せかけといっても、実際にハリは使う
ので、体に好結果が生じたのかもしれない」と解釈している。
◆たばこでDNAも老化、1日1箱40年で7.4年分・英米チーム
【ワシントン19日共同】喫煙者はたばこを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い―。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果を19日までにまとめ、英医学誌ランセットに発表した。
試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7.4年分、余計に歳をとることになるという。
研究対象は18―72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、ひも状になったDNAの両端でほつれを防ぐ「キャップ」役を果たしている。細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の1つの目安にもされている。 「喫煙者」「元喫煙者」「非喫煙者」の3グループでテロメアの長さを比べたところ、非喫煙者が最も長く、元喫煙者はやや短縮、喫煙者はさらに短かった。
◆運動している女性には卵巣ガンが少ない [2005/06/24]
ウオーキング、ジョッギングなどを常に運動をしている女性には、卵巣ガンが少ないとこがわかったという研究論文が「国際ガンジャーナル」(International
Journal of Cancer )5月号に発表された。研究したのは、カナダの「慢性病予防管理センター」(Center for
Chronic Disease and Control)の所長、ヤング・マオ博士らの研究チーム。研究者たちは、同センターのデータベースから、卵巣ガン患者782人を対象にガンと診断される前に、どんな運動を、どの程度していたかを聞いた。同時に、正常な女性2000人にも同じことを聞いた。その結果を分析したところ、ウオーキング、ジョッギング、テニス、ゴルフ、ボーリング、ダンスをやっている女性は、ほとんど運動らしいことをやっていない女性と比べると、卵巣ガンにかかる割合が、30%少ないことがわかったという。
◆目のクマにカシスが効いた!クマの黒さが90分後に約5%改善
カシスポリフェノール入りの飲料をのむと、目の下のクマが改善する――。
神戸大学名誉教授の市橋正光氏と明治製菓の共同研究の成果が、5月25日に発表された。これは、カシスポリフェノールが目の下の血流を改善し、クマが薄くなるためと推定されている。カシスは眼精疲労や肩こり、冷えなどの改善効果が臨床試験で確かめられていたが、美肌効果もあることが新たにわかったことになる。 目の下のクマは女性の悩み。疲れがたまった日や徹夜明けの朝、鏡を見ると目の下にクマ……。あわてて、コンシーラーなどの化粧品で隠す女性も少なくない。 クマの主な原因は血行不良とみられており、目の周りを軽くマッサージすると改善を期待できるが、やや面倒だ。皮膚の老化に詳しい市橋名誉教授は、「これまでクマを消すための決定的な方法はなかった」と話す。 試験は30〜45歳(平均35.4歳)の女性33人を対象に、カシス飲料(カシスポリフェノールを130mg含む)とプラセボ飲料を飲んでもらい、15分後、30分後、60分後、90分後の顔面の血流量の変化を調べた。すると、15分後から血流は有意にアップし、90分後には血流が平均で約10%アップした。 実際に顔色を測定すると、プラセボ飲料と比べて15分後から目の下の黒ずみが有意に減り始め、90分後には黒ずみが約5%減っていた。 顔の赤みも60分後から有意に増し、90分後には約3%増えた。つまり、クマが薄くなり、顔色が少し良くなったといえる。クマの色をカラーチャートで測定したところ、66部位(33人の左右のクマ)中44部位で改善があったという。 結果について、明治製菓食料健康総合研究所の松本均主任研究員は、「15分後から効果が出始めるのは、カシスポリフェノールの一種であるアントシアニンが胃で吸収されるからだろう。その結果、血流が改善し、新鮮な血液が、目の下に停滞していた血液と置き換わってクマが改善すると考えている」とする。 市橋名誉教授は、「これだけ短時間に皮膚の血流を良くしてクマを改善する作用のあるものは、これまでになかったのではないか」と話す。 さらにカシスは、ポリフェノールを多く含むブルーベリーやぶどう種子と比べて、血流改善効果が高いことを、別の試験で確認したという。血流改善の継続時間もブルーベリーより長く、「少なくとも4時間は持続する」と松本主任研究員は話す。2005.5.27
◆ブルーベリーの効用また一つ−−心臓病予防にも [2005/05/25]
ブルーベリーには、抗酸化物質がいっぱい含まれていて、ガン予防や、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症の症状緩和に有効であることが知られている。これに加えて、悪玉コレステロールを減らして心臓病を予防することがわかったという研究が発表された。発表したのは、米ミシシッピ州オクスフォードにある米農務省の化学者・アグネス・リマンド博士。同博士はブルーベリーに含まれている抗酸化物質が悪玉コレステロールを減らす効果があるのではないかと考え、ラットの肝臓から細胞を取り出し、これをブルーベリーの成分と接触させた。肝臓細胞の中では、コレステロールなど血液中の脂質を下げる役割を持った受容体が存在するが、実験ではブルーベリー成分の一部がこの受容体をもっとも良く活性化させることを発見した。
◆ビタミンB6を長期間豊富に摂取している女性は結腸直腸がんになりにくい
2005-06-06 00:00:00 スウェーデンの40-75歳の女性およそ6700人を対象にした調査の結果、ビタミンB6を長期間豊富に摂取している女性は結腸直腸がんになりにくいと分かりました。Gastroenterology誌に発表された研究成果です。
ビタミンB6を中〜高用量摂取している女性は、結腸直腸がんに70%以上なりにくいという結果となっています。一方酒を飲んでいてかつビタミンB6摂取量が少ない女性は結腸直腸がんになりやすいが、ビタミンB6摂取量を増やすとそのリスクは低下すると分かりました。
‥> News Source
+ Increased Vitamin B consumption reduces women's risk of colorectal
cancer / EurekAlert
‥> Reference
Vitamin B6 intake, alcohol consumption, and colorectal cancer:
A longitudinal population-based cohort of women. Gastroenterology
◆レーズンは虫歯や歯周病を防ぐ
2005-06-08 00:00:00 レーズンに含まれる植物化学物質・オレアノール酸、oleanolic
aldehyde、5-(hydroxymethyl)-2-furfuralは虫歯の原因となるミュータンス菌・Streptococcus
mutansと歯周病の原因となるPorphyromonas gingivalisの増殖を防ぐ作用があるとわかりました。University
of IllinoisのChristine Wu等がAmerican Society for Microbiologyで発表した研究成果です。増殖抑制効果に加えて、オレアノール酸は31μg/mlの濃度でミュータンス菌の付着を防ぎました。ミュータンス菌は歯に付着することでバイオフィルムをつくり、虫歯を引き起こします。したがって、ミュータンス菌の歯への付着と増殖を防ぐ性質があることから、オレアノール酸は虫歯予防に非常に効果的と考えられました。レーズンは甘いので逆に虫歯になりそうです。しかしレーズンには虫歯の原因となるしょ糖よりもフルクトースやグルコースが豊富に含まれています。したがってレーズンを食べると虫歯になりやすくなるというわけではなさそうです。
‥> News Source
+ Raisins fight oral bacteria / EurekAlert
◆グレープフルーツの香りは脂肪分解を促進する
2005-05-28 00:00:00 ラットの実験で、グレープフルーツの香りは、交感神経を刺激して脂肪分解を促進するとわかりました。また、脂肪分解に加えて、食欲を抑制して体重を減らす効果もあるとわかりました。
ヒスタミンH1受容体阻害剤を投与すると血漿中のグリセロール上昇が抑制されたことから、グレープフルーツの香りによる脂肪分解促進はH1受容体を介すると考えられました。
また、グレープフルーツと同様の効果を発揮したことから、グレープフルーツの脂肪分解作用、食欲抑制、体重低下などの作用は主にリモネンの働きによると考えられました。
‥> Reference
Olfactory stimulation with scent of grapefruit oil affects autonomic
nerves, lipolysis and appetite in rats. Neurosci Lett. 2005 Jun
3;380(3):289-94. Epub 2005 Feb 5.
◆グレープフルーツの匂いは男の目を惑わす
2005-05-27 00:00:00 男女37人を対象にした実験から、ピンク・グレープフルーツの匂いをかいだ男性は、写真で提示された女性の年齢を6歳若く見るようになるとわかりました。シカゴのSmell
& Taste Treatment and Research FoundationのAlan B. Hirsch等がAmerican
Psychiatric Associationの年次総会で発表した研究成果です。 女性は、グレープフルーツの匂いをかいでも相手が若く見えるということはありませんでした。
グレープフルーツが男性の目を惑わすメカニズムはわかっていませんが、いくつかの仮説が考えられていますが、今後さらに研究していくとのことです。
◆ラベンダーの香りは脂肪分解を抑制して体重を増やす
2005-05-28 00:00:00 ラットの実験で、ラベンダー(lavender)の香りは脂肪分解を抑制して食欲を増加し体重を増やす作用があるという結果となりました。すなわちグレープフルーツと全く逆の働きをします。ラベンダーによる脂肪分解抑制はH3受容体への作用を介していると考えられました。また、ラベンダーオイルの成分・リナロールが主にラベンダーの脂肪蓄積、食欲亢進、体重増加作用の主役であると考えられました。
‥> Reference
Olfactory stimulation with scent of lavender oil affects autonomic
nerves, lipolysis and appetite in rats. Neurosci Lett. 2005 May
3; [Epub ahead of print]
◆ゴマや亜麻仁に豊富なリグナン(lignan)を豊富に摂取すると認知機能が改善する
2005-05-30 00:00:00 閉経後女性394人を対象にした臨床試験で、ゴマや亜麻仁に豊富なリグナン(lignan)を豊富に摂取すると認知機能が改善するという結果となりました。
一方イソフラボンの摂取量と認知機能改善に相関関係はありませんでした。
‥> News Source
+ Lignans linked to better cognitive function / NutraIngredients
‥> Reference
Higher dietary intake of lignans is associated with better cognitive
performance in postmenopausal women. J Nutr. 2005 May;135(5):1190-5.
◆ざくろジュースは前立腺癌の再発を予防する
2005-05-25 00:00:00 手術または放射線療法後にPSAレベルの上昇が認められた前立腺癌患者48人を対象にした試験で、およそ8オンス(およそ227グラム)のざくろジュースを毎日飲むと、PSAレベルが2倍になるまでの期間(PSA倍加期間)がおよそ2倍延長するという結果が得られました。University
of California at Los AngelesのAllan J. Pantuck等がAmerican Urological
Associationの年次総会で発表した研究成果です。ざくろジュースを飲む前のPSA倍加期間はおよそ15ヶ月でしたが、ざくろジュースを飲んだところ倍加時間が37ヶ月に延長しました。
ざくろジュースには抗酸化物質が豊富に含まれており、この抗酸化物質がPSAの増加を抑えたと考えられました。また、in vitroでの検査から、ざくろジュースを飲むと癌細胞分裂・増殖が抑制し、癌細胞死が増加していることが示唆されました。
この結果をうけて、研究者等は第3相試験を開始しています。
‥> News Source
+ Pomegranate juice for prostate cancer / EurekAlert
◆カリフラワーなどのアブラナ科の野菜はエストロゲン受容体陽性・陰性を問わず乳がん細胞の増殖を抑制する
2005-06-11 00:00:00 乳がん細胞での実験から、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜11種類のジュース(以下、ジュース)は、エストロゲン受容体陽性・陰性を問わず乳がん細胞の増殖を抑制すると分かりました。
2005年6月のJ. Nutr誌に発表された研究成果です。興味深いことに、このジュースは正常な細胞ではなくて乳がん細胞の増殖を選択的に阻害しました。
エストロゲン受容体陽性細胞では、このジュースの投与でCDK6発現が有意に低下してp27レベルが有意に上昇しました。一方エストロゲン受容体陽性・陰性を問わず網膜芽細胞腫タンパクリン酸化が有意に低下しました。
‥> News Source
+ Cauliflower 'juice', a weapon against breast cancer / NutraIngredients
‥> Reference
Mechanisms of Action and Antiproliferative Properties of Brassica
oleracea Juice in Human Breast Cancer Cell Lines. J. Nutr. 135:1503-1509,
June 2005
◆カレーの色素成分・クルクミンは乳癌の肺転移を予防する
2005-06-13 00:00:00 マウスの実験で、ターメリック中の成分・クルクミンは乳がんの肺転移を予防するという結果が得られました。University
of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのBharat Aggarwal等がフィラデルフィアの学会で発表した研究成果です。肺転移が認められる患者の乳がん細胞をマウスに移植し、増殖させた後に乳腺切除術を真似て乳がん細胞を切除しました。
乳がんを除去した後に、治療なし、クルクミン単独治療、パクリタキセル単独治療、クルクミン+パクリタキセル併用群に分けて肺転移の割合を調べました。その結果、クルクミン単独、クルクミン+パクリタキセル併用で乳がんが肺に転移した割合はそれぞれ50%、22%でした。一方パクリタキセル単剤、治療なしで肺に転移した割合はそれぞれ75%、95%でした。
この結果から、クルクミンには乳がんの肺転移を予防する作用があると考えられました。
‥> News Source
+ Turmeric fights breast cancer in mice - study / Reuters
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