◆光に当たるとうつ病が良くなる
うつ病患者を人工的な光にさらす光治療が、症状の緩和に役立つことがわかった。米ノースカロライナ大学精神科での研究。「米精神医学雑誌」4月号に掲載された。
博士らは、これまでに発表された20編の関連研究論文を再検討して、この結論を得た。「光治療法」は、暗い冬期など季節的にうつの症状が出る患者だけでなく、季節を問わず、うつになる患者にも有効であるという。通常、患者は非常に明るい白色蛍光ランプの前に座らせられ、光源は直接見ないで、光に当たる。光に当たる時間は、1日当たり15分間から90分間でこれを数週間続けると、うつの症状が次第に消えて行くという。
◆植物性油の再加熱によって毒物が発生
植物性の食用油を加熱しすぎたり再加熱したりすると、脂肪酸由来の毒物である4-ヒドロキシ-トランス-2-ノネナール(HNE)が大量に蓄積されることが、新たな研究から明らかにされた。この知見は、先ごろ米ソルトレークシティで開かれた米国油化学会(AOCS)年次会議で、ミネソタ大学食品化学および栄養生化学教授のA.
Saari Csallany氏らが発表したもの。
HNEはキャノーラ油、コーン油、大豆油およびヒマワリ油など、リノール酸を有する多価不飽和油で特に大量に発生し、動物性油に由来する飽和油には発生しない。Csallany氏によれば、これまで多数の試験が、HNEの摂取によって心血管疾患、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、肝疾患および癌(がん)のリスクが増大することを明らかにしている。
今回の報告を踏まえて、米国栄養協会(ADA)代表のJeannie Moloo氏は、煙が出る温度まで油を熱しないこと、油の使用は1回のみとすることを推奨している。また、植物性油を用いれば家庭での調理をそれほど心配する必要はないとし、「油を繰り返し用いるレストランでの揚げ物の方が懸念される」と指摘する。米国レストラン協会(NRA)規制局幹部のDonna
Garren氏によれば、現在のところ外食産業全体で用いられている調理油の選択および管理に関する規則はないという。 米国レストラン協会は、こうした問題に関するガイダンスを発行する権限を有する米国食品医薬品局(FDA)からの指示を待つ意向である。Garren氏は、現時点では決定について企業の裁量に任されているが、この問題を注意深く監視してゆき、完全なリスク評価に向けてFDAに協力する意向を示している。
◆カルシウムが女性の大腸ガンを予防する
毎日の食事でカルシウムをしっかり食べている女性は、大腸ガンになるリスクが小さくなることがわかったと「Journal
of Cancer Epidemiology,Biomarkers and Prevention」が報じた。研究行ったのは、米ミネソタ大学ガンセンターの研究者たちで、約4万5000人の女性を調べた。対象となった女性は、調査当初は誰もガンにかかっていなかったが、8年半後には、482人が大腸ガンになっていた。彼女たちの食生活を詳しく調べ、大腸ガンとの関係を分析したところ、1日にカルシウムを少なくとも800ミリグラム摂取していた人は
530ミリグラム以下の人と比べて、大腸ガンにかかった割合が26%小さかった。 また、食事からのカルシウムを412ミリグラム以上摂取した上に、サプリメント(栄養補助食品)としてカルシウムを800ミリグラム以上摂取していた女性は、カルシウム摂取量が530ミリグラム以下の女性より、大腸ガンにかかった割合が、46%も小さかった。
米政府が出している食事ガイドラインによると、カルシウムの1日の所要量は1200ミリグラムとなっている。
◆口中細菌が多いと動脈硬化が進む
口の中に細菌が多い人は、動脈硬化になりやすく、心臓病や脳卒中にかかるリスクが高いという研究が、雑誌『Circulation』
で発表された。研究者はコロンビア大学公衆衛生学部のモイス・ドスバリュ博士ら。博士らは、650人のボランティアを集めて、口の中の11種類の細菌を調べて、その数を測定した。また、同時に、各自の頸動脈の肥厚の程度を、超音波で測定し、口中細菌の測定位置との関連を分析した。その結果、調べた11種の細菌のうち、通常、歯周病の原因となる4種のバクテリアの測定値が高かった人ほど、頸動脈の肥厚の程度が高かった。
◆眠れないお年寄りは、静かな音楽を聴くといい
年を取ると、朝早く眼が覚めて、じっくり眠れない人が多くなる。ところが、静かな音楽を聴くことで、こんなお年寄りの眠りの問題が改善することがわかった。『Journal
of Advanced Nursing』 に掲載された報告によると、テストは寝つきが悪い60歳以上の男女60人を対象に行われた。
被験者のお年寄りに、ベッドに入った時に、気持ちが静まるシンセサイザー、ハーブの曲、ピアノで演奏する懐メロ、オーケストラによるクラシックなどを45分間のテープで聞かせた。同時に被験者には、リラックスする方法を教えて、できるだけ緊張がほぐれるように訓練した。
そうして3週間後、「寝つきは良くなったか」「深く眠れたか」「睡眠時間はどうだったか」「早く目覚めなかったか」など、「総合的な眠りの質」を自己評価し、報告させた。その結果、音楽を聴いたお年寄りは、全体として、眠りの質が良くなり、これを数字で表すと、「改善度35%」という結論が出た。また、音楽を聴いて、以前より寝つきが良くなったという人は全体の47%で約半数いた。
◆成人の4割強が筋肉、関節、骨に痛み 厚労省研究班推計
日本人の成人の4割強が、筋肉、関節、骨のどこかに痛みがある。そんな推計を、厚生労働省研究班(主任研究者=吉田勝美・聖マリアンナ医大教授)がはじき出した。痛みで生活に支障が出ていても、治療を受けない人も少なくない。分析を担当した須賀万智・同大学助手(予防医学)は「筋骨格系疾患は生活の質に直結しており、健康対策として注意を払うべきだ。適切な治療は将来の介護予防にもつながる」と指摘する。
03年10月に茨城、新潟、静岡にある施設で健康診断を受けた20歳以上の3188人に尋ねた。肩こりや腰痛といった症状も含まれている。
体中の筋肉、関節、骨のどこかに痛みを訴えた人は、41.4%。特に首・肩、背・腰を挙げた人が多かった。 痛みで生活にまで支障を感じている人は8.5%で、腕・ひじ、手首・手が多かった。このうち治療を受けているのは約3割にとどまった。
調査対象者の性別や年齢層を考慮し、日本の人口に当てはめると約4200万人の成人が痛みを感じ、910万人が生活に支障を感じている計算になる。
2005年04月22日03時01分
◆タバコを吸うと10年早く膵臓ガンになる
発病からの数年以内に多くの患者が命を落とす難病が膵臓ガンだ。
この膵臓ガンの発生を促し、ガン細胞の成長を早めるのが、喫煙であるという研究が、このほどシカゴで開かれた「米臨床腫瘍学会」
(American Society of Clinical Oncology )で発表された。ノースウエスタン大学(イリノイ州)のランドール・ブランド博士らの研究。1993年から2003年の間に、膵臓ガンの治療を受けた1万8346人の患者を調べた。調べた患者の発病年齢で最も多かったのは73歳だった。ところが、喫煙者だけについてだけ調べると、発病年齢は63歳で、10年も若かった。以前は喫煙をしていたが、途中で禁煙したしたという人では、発病年齢が平均70歳だった。つまり、喫煙者と非喫煙者の中間だった。このことから、研究者たちは、喫煙が膵臓ガンの発生を早めるだけでなく、ガンの進行を促していると結論づけた。
◆メラトニンはやっぱり若返りの秘薬?!肝臓のアポトーシスを減らす――ラットで確認
メラトニンは脳の松果体が分泌するホルモン。メラトニンのサプリメントは、睡眠のリズムを整えるとされ、睡眠の質の改善や時差ボケ改善に利用されている。また、メラトニンには抗酸化作用があるため、“若返り効果”もあるとされてきた。 今回、スペインのレオン大学の研究者たちは、パリで開かれた欧州肝臓学会(4月13〜17日)で、ラットにメラトニンを経口摂取させたときの肝臓の若返り効果を発表した。体内に活性酸素が増えると、肝臓では細胞のアポトーシス(細胞の自殺)が増えるとされている。そこで、生後3カ月の若いラットと生後18カ月の年老いたラットに、1日当たり、体重1kg当たり、1mgのメラトニンを飲料水に混ぜて8週間飲ませ、メラトニンを飲ませなかった場合と比較した。すると、老いたラットにメラトニンをのませると、肝細胞の酸化ストレスが大幅に減り、また、肝臓のアポトーシスも減ることが示された。なお、ホルモンの一種であるメラトニンは日本ではサプリメントとしての販売は認められていない。2005.4.22
◆下痢のウイルス感染阻害 チーズ製造時の副産物
記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2005年4月25日】
子どもの重い下痢の原因となる「ロタウイルス」の感染を強力に妨げる物質が、牛乳の乳清タンパク質に含まれていることを、岐阜大の金丸義敬(かなまる・よしひろ)教授(食品機能化学)らの研究グループが22日までに突き止めた。この物質が牛乳からチーズを製造する際に捨てられる部分に含まれていることも判明。金丸教授は「チーズの副産物を工業規模で感染予防食品の素材として生かせるのではないか」としている。ロタウイルスは激しい下痢や脱水症状を引き起こし、発展途上国を中心に世界で年間約60万人の乳幼児が死亡する原因となっている。日本でもほとんどの子どもが感染するが、入院治療を必要とするケースは少ない。金丸教授らは、牛乳の成分を細かく分け、それぞれロタウイルスと混合してサルの腎臓細胞に投与、ロタウイルスに感染する細胞が少なくなる物質を探した。その結果、牛乳の約2割を占める乳清タンパク質に含まれる「プロテオースペプトン」と呼ばれる成分の一部に強い感染阻害作用があることが分かった。乳清タンパク質はチーズの製造過程で捨てられる部分。見つかった物質は、加熱処理をしても機能にほとんど影響はなかったという。金丸教授は「牛乳に含まれる成分なので基本的に安全。ロタウイルスには複数の型があるが、すべての型に有効か調べたい」と話している。
◆オオムギから抽出したベータ・グルカンは、コレステロールを下げる
2005-04-24 05:11:42 高コレステロール血症の男女を対象にした2重盲検試験で、オオムギから抽出したベータ・グルカンは、コレステロールを下げる作用があるという結果が得られました。University
of Minnesotaの研究者等が今月初めのExperimental Biologyで発表した研究成果です。コレステロール降下作用に加えて、オオムギのベータ・グルカンは、代謝症候群患者の血糖値コントロールも改善しました。代謝症候群患者は糖尿病や心疾患の予備軍です。
‥> News Source
+ Barley beta-glucan lowers cholesterol like oats / NutraIngredients
◆睡眠時無呼吸は心臓発作の引き金になる
睡眠時無呼吸はやはり心臓発作の引き金になりやすい−−医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に、こんな結論の新論文が掲載された。 この論文によると、心臓発作が起きやすい時間帯は、朝起きてから昼ごろまでの午前中と、夜10時から翌朝6時までの睡眠中。このうち後者の夜型の心臓発作は、睡眠時無呼吸が起きやすい人に多く見られるという。睡眠時無呼吸が、心臓発作を引き起こすメカニズムの証明はまだないが、高血圧が関係していると考えられると、同論文では考察されている。
◆ 前立腺がん3.5倍に 昼夜交代勤務の男性 心疾患死亡も2.8倍
記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2005年5月2日】
24時間操業の工場や鉄道、ホテルなどの交代制職場で働く男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べ、前立腺がんになる危険性が3.5倍、心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患で死亡する危険性が2.8倍高いことが、文部科学省が補助する大規模疫学研究(運営委員長・玉腰暁子(たまごし・あきこ)名古屋大助教授)の分析で2日までに分かった。 不規則な勤務による体内時計の乱れが関与していると考えられ、虚血性心疾患は血圧上昇やストレスも原因とみられる。厚生労働省の調査では、午後10時以降の深夜業に従事する労働者がいる事業所は2割に上り、うち半数が交代勤務を導入。研究者らは「前立腺がん検診の導入や、循環器病の危険因子を持っている人の適正配置など、労働管理の在り方を考えるべきだ」と話している。一般の人を追跡する大規模疫学調査で交代勤務の健康影響を示した研究は少なく、前立腺がんの報告は世界初という。1988年から99年にかけて健康状態を追跡した全国約11万人のデータを利用。産業医大臨床疫学教室の久保達彦(くぼ・たつひこ)医師らは、がん罹患(りかん)調査が行われた地域の男性労働者約1万6000人(40-79歳)を分析した。55人に前立腺がんが新たに見つかり、年齢などを統計的に調整した結果、交代勤務者は、日勤者に比べ前立腺がんになる危険性が3.5倍高いことが分かった。福岡労働衛生研究所の藤野善久(ふじの・よしひさ)医師が、40-59歳の男性約1万8000人を分析したところ、虚血性心疾患による死亡の危険性は2.8倍と判明。循環器病危険因子を持っている場合は危険性はさらに高まり、高血圧だと6.5倍、喫煙者は3.1倍、習慣的飲酒者は3.6倍、体格指数(BMI)が25以上の肥満では6.1倍だった。
◆発達性協調運動障害の学習障害や行動障害はオメガ-3/6脂肪酸サプリメントで改善する
記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2005年5月2日】
24時間操業の工場や鉄道、ホテルなどの交代制職場で働く男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べ、前立腺がんになる危険性が3.5倍、心筋梗塞(こうそく)などの虚血性心疾患で死亡する危険性が2.8倍高いことが、文部科学省が補助する大規模疫学研究(運営委員長・玉腰暁子(たまごし・あきこ)名古屋大助教授)の分析で2日までに分かった。 不規則な勤務による体内時計の乱れが関与していると考えられ、虚血性心疾患は血圧上昇やストレスも原因とみられる。厚生労働省の調査では、午後10時以降の深夜業に従事する労働者がいる事業所は2割に上り、うち半数が交代勤務を導入。研究者らは「前立腺がん検診の導入や、循環器病の危険因子を持っている人の適正配置など、労働管理の在り方を考えるべきだ」と話している。一般の人を追跡する大規模疫学調査で交代勤務の健康影響を示した研究は少なく、前立腺がんの報告は世界初という。1988年から99年にかけて健康状態を追跡した全国約11万人のデータを利用。産業医大臨床疫学教室の久保達彦(くぼ・たつひこ)医師らは、がん罹患(りかん)調査が行われた地域の男性労働者約1万6000人(40-79歳)を分析した。55人に前立腺がんが新たに見つかり、年齢などを統計的に調整した結果、交代勤務者は、日勤者に比べ前立腺がんになる危険性が3.5倍高いことが分かった。福岡労働衛生研究所の藤野善久(ふじの・よしひさ)医師が、40-59歳の男性約1万8000人を分析したところ、虚血性心疾患による死亡の危険性は2.8倍と判明。循環器病危険因子を持っている場合は危険性はさらに高まり、高血圧だと6.5倍、喫煙者は3.1倍、習慣的飲酒者は3.6倍、体格指数(BMI)が25以上の肥満では6.1倍だった。
◆ビタミンB6の血中濃度が高い女性は結腸直腸がんになりにくい
2005-05-05 17:17:54 Nurses' Health Studyに参加し、1989−1990年に血液サンプルを提供した30-55歳の女性32,826人を対象にしたおよそ10年間の追跡調査の結果、ビタミンB6の血中濃度が高い女性は結腸直腸がんになりにくいという結果となりました。血中ビタミンB6レベルが上位1/4の女性は下位1/4の女性に比べて結腸直腸がんに44%なりにくいという結果となっています。また、ビタミンB6摂取量が多い女性ほど結腸直腸がんになりにくくなっていました。2005年5月4日のJ
Natl Cancer Inst誌に発表された研究成果です。
‥> News Source
+ Vitamin B-6 May Help People Avoid Colon Cancer / WebMD
‥> Reference
Plasma vitamin B6 and the risk of colorectal cancer and adenoma
in women. J Natl Cancer Inst. 2005 May 4;97(9):684-92.
◆銀杏は多発性硬化症患者の認知機能を改善する
2005-05-02 06:58:09 認知障害を有する多発性硬化症患者を対象にしたプラセボ対照試験で、イチョウのサプリメントは認知機能を評価するStroopテストの反応時間を改善するという結果となりました。Stroopテストでは、まずある色で塗られた箱を提示し、その色を答えるように被験者に指示します。被験者は続いて違う色で染められた色を示す単語(たとえばGreenという文字が赤い色で示されている等)が示されて、その単語を読むように指示されます。最後に被験者は、その単語の色を答えるように指示されます。試験を最後まで完遂した39人のデータを解析したところ、銀杏サプリメントを服用した方がStroopテストを4秒早く終わらせることができました。Stroopテストでは注意機能や実行機能を評価することができます。
この結果から銀杏サプリメントは多発性硬化症患者の認知機能を改善する作用があると示唆されました。Oregon Health &
Science UniversityのJesus Lovera等がAmerican Academy of Neurologyの2005年年次総会で発表した研究成果です。
‥> News Source
+ Ginkgo biloba may improve memory in MS sufferers / NutraIngredients
◆ハマナスの花から健康食品 アイヌ民族の知恵を基に
記事:共同通信社 提供:共同通信社 【2005年5月9日】
アイヌ民族が常用したハマナスの花びらから、抗酸化作用が強いポリフェノールが豊富で中性脂肪を下げる効果がある健康食品を、北見工大(北海道北見市)の山岸喬(やまぎし・たかし)教授(天然物科学)が開発、商品化した。 江戸時代後期、東北地方から蝦夷地(現在の北海道)警護のため派遣された藩士の多くが、冬になるとビタミンC不足が原因の壊血病(水腫病)で死んだ。一方、アイヌ民族は無事越冬した。 その違いを調べた山岸教授は、秋田藩士に随行した医師の日記「故地養生考」の一文「水腫にハマナスの花が効果あり(アイヌ民族は)せんじて茶のように飲んだ」に着目した。 花びらの成分を分析した結果、ポリフェノールが豊富で、レモン並みのビタミンCは熱に強く吸収されやすいことが分かった。特許を出願中の健康食品「スウィートブレア」は、中性脂肪を下げ、整腸作用や口臭をなくす効果がある。 山岸教授は「大腸がんや糖尿病予防、肌の衰えを抑える効能も期待できる」と話している
◆瞑想させたら、血圧が下がった
高血圧症の割合が、米国内の他人種と比べて多い黒人に、インド式の瞑想をさせたところ、血圧が下がった−−というデータが雑誌「米高血圧ジャーナル」に掲載された。
米国では、黒人の高血圧が問題になっている。そこで、何とか黒人の血圧を下げる方法はないか、と米アイオワ州フェアフィールドにある「マハリシ大学」(University
of Maharishi )の依頼である研究が行われた。 この研究では、まず高血圧の中年の黒人150人を任意に集めて、超越瞑想(TM=transcendenral
meditation )を実行させた。超越瞑想は、古代のヒンドゥー教の文献に基づいて、心の安らぎを得ることを目的に行われる瞑想で、米国で人気が高まっている。 ここで行われた瞑想法は、とくに筋肉の緊張を緩めることに重点を置いた「メンタル・リラクゼーション」法。これを各人が、1日20分間ずつ2回行った。 こうして1年後、無事、瞑想をやり遂げた人の血圧を計ったら、心臓収縮期の血圧、つまり、上の血圧が平均3ポイント、心臓拡張期の血圧、つまり下の血圧が6ポイント下がっていた。また、無事瞑想をやり遂げた人は、ほとんどがそれまで常用していた降圧剤の服用を減らしていた。
この結果から、研究者たちは、瞑想は少なくとも黒人では、血圧を下げる効果がある、との結論を得た。
◆女性の方が酒で脳が縮みやすい
2005-05-17 00:00:00 アルコール依存の女性42人、アルコール依存ではない女性34人、アルコール依存の男性34人、アルコール依存ではない男性48人のアルコール飲酒歴と脳萎縮の相関を調べたところ、大量に飲む女性は同じぐらい大量に飲む男性に比べて脳萎縮の進行が早いという結果となりました。試験の結果、アルコール依存患者はアルコールを大量に飲んでおり、その量は体重で調整するとほぼ同量でした。しかしアルコール依存の期間は女性の方が短くなっていました。それにも関わらず、女性と男性の脳萎縮の度合いは一緒でした。
この結果から、女性の方がアルコールによる脳萎縮の影響をうけやすいと考えられました。
‥> News Source
+ Alcohol worse for female brains / BBC
‥> Reference
Neuroimaging of Gender Differences in Alcohol Dependence: Are
Women More Vulnerable? Alcoholism: Clinical & Experimental
Research. 29(5):896-901, May 2005.
◆ベルトの穴が変わったら糖尿病にご注意!
ズボンのベルトの穴の変化、つまり胴回りを調べると、その人が糖尿病になりやすいか、どうかが判定できるという研究が、雑誌「米臨床栄養学ジャーナル」
(American Journal of Clinical Nutrition)最新号で発表された。発表したのは、ジョンズホプキンス大学のユーファ・ワング博士。2万7000人の成人男性を13年間調べたところ、胴回りが太い人ほど、糖尿病にかかりやすいことがわかったという。例えば、胴回りが37.9インチから39.8インチ(96.2cmから101cm)の人は、29インチから34インチ(73.6cmから86.3cm)の人より糖尿病にかかるリスクが5倍だった。また、同一人で調査期間中に、胴回りが太くなると、それだけ糖尿病になりやすくなっていることもわかった。肥満を示す数値として、BMI(体重を、メ−トルで表した身長の2乗で割った値)がよく使われるが、糖尿病のリスクを知るには、BMIよりも胴回りの方が有効だとワング博士は言っている。
◆高地の住民は心臓病が少なく長生き−−ギリシヤで調査
高地に住む人は平地の人よりも長生きである。雑誌「疫学と地域健康」(Journal of Epidemiology and Community
Health)4月号で、ギリシヤで行われたこんな研究が掲載された。アテネ大学衛生疫学学部の研究。アテネから約200キロ離れた3つの村の住民、合わせて1198人を調べた。3つの村のうちアラホバ村は、標高3100フィート(930メートル)の丘の上にあるが、ほかの2村ゼルゴラティオとアイドニアは海抜がほとんどゼロメートルの平地にある。調査の結果、高地のアラホバ村の住民は、平地の2村の住民と比べて、心臓病の割合が、男で61%少なく、女でも54%少なく、明らかに標高の高いところに住んでいる人の方が、心臓病が少ないことがわかった。また、心臓病以外の原因による死亡率も、高地の住民の方が低かった。ところが、血圧、総コレステロール値、中性脂肪値は、いずれも高地の住民の方が高かった。
◆亜鉛は十代の子どもの脳をシャープにする
十代の子どもに亜鉛を飲ませる実験したら、注意力、記憶力など子どもの頭の働きがアップすることがわかった。発表したのは米農務省の農業研究所(Agricultural
Research Service )のジェームズ・ペンランド博士で、4月4日開かれた「米栄養科学会」で報告した。博士らは、7年生(中1)の子ども209人を3グループに分け、第1のグループには、毎日亜鉛を20mg添加した果物ジュースを飲ませた。第2のグループには、亜鉛を10mg添加したジュースを飲ませ、第3のグループには亜鉛を全く添加しないジュースを飲ませた。 ジュースを飲み始める前と、飲んで12週間経過した時点で、子どもたちに注意力、記憶力、問題解決力、手と目の協調など頭脳の働きを試すテストを行った。 テストの結果、毎日20mgの亜鉛を飲んだ子どもは、亜鉛を飲まなかった子どもと比べて、視覚による記憶力、言葉の認識、注意力、危険を回避する速さ、などの面で、断然勝っていたという。
◆ビタミンEが心不全リスクを増大
ビタミンEは癌や心血管疾患の予防に有用ではないばかりか、心不全のリスクを増大させることが、米国医師会雑誌「JAMA」3月16日号掲載の研究で明らかになった。心血管疾患または糖尿病の罹患歴のある高齢者数千人を対象とした試験で、ビタミンE摂取(400単位)群の方がプラセボ(偽薬)投与群よりも心不全リスクが最大19%高いことが示された。マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)集団健康調査研究所内科教授のEva
Lonn博士らは、1993年12月〜1999年4月にかけて実施されたHOPEと呼ばれる試験の終了後、1999年4月〜2003年3月にかけて、同試験の参加者から約4000例を登録させ、HOPE-TOO試験を実施した。さらに、試験対象外の患者の医療記録からも追跡情報を多数評価した。
その結果、ビタミンE摂取群の方がプラセボ投与群に比べ心不全リスクが13%高く、入院を必要とする心不全リスクは19%高かった。Lonn博士によれば、リスクが高まる機序は明らかではないが、酸化ストレスの存在下では、ビタミンEが抗酸化物質としてではなく酸化促進物質として作用するのではないかと推測している。
今回の試験結果について、Lonn博士は、ビタミンEを摂取している人すべてが懸念する必要はなく、ビタミン剤などの健康補助食品さえ摂取していれば、十分な運動をして適切な食生活を送るなど、癌や心疾患を予防するための他の手段を講じる必要がないと考える人が多いことに問題があると指摘する。
一方、健康食品業界を代表する米国栄養評議会(CRN)会長のAnnette Dickinson氏は、今回の試験が重篤な疾患に罹患し種々の投薬を受けている高齢者を対象としたものである点を指摘。「ビタミンEが数種の癌、眼疾患およびアルツハイマー病などの神経系症状に有益性を示す試験が多数報告されている」と述べるとともに、「健常者であれば、1日あたり400単位のビタミンE摂取は安全である」との考えを示している。
[2005年3月15日/HealthDayNews]
◆ブドウジュースが血圧を下げるメカニズム
高血圧の韓国人男性40人を対象にした8週間の臨床試験の結果、ブドウジュースには血圧降下作用があることが確認されました。今回、フランスの研究者等によって、ブドウジュースの血圧低下作用のメカニズムが解明されました。研究の結果、動脈を裏打ちしている細胞において一酸化窒素合成酵素を活性化することで動脈を弛緩させ、ブドウジュースは血圧を低下させるとわかりました。この研究ではWelchのブドウジュースが用いられました。
研究成果はExperimental Biologyのミーティングで発表されました。
‥> News Source
+ Grape juice may lower BP by relaxing arteries / Nutraingredients
◆リンゴは胃疾患を予防する
〔伊ポルティチ〕 「ジクロフェナクナトリウムを 1 錠服用するごとにリンゴを 2 切れ」−将来,胃を保護するためにこんな処方が登場するかもしれない。最近,イタリアで行われた研究から,少なくともリンゴのエキスには胃を保護する作用があることが確認された。 同研究では,in
vitroで胃上皮細胞,in vivo でラットの胃粘膜にキサンチン‐キサンチンオキシダーゼまたはインドメタシンにより損傷を生じさせ,リンゴエキスを与えた。その結果,細胞の損傷を50%減少させることができたばかりか,リンゴのフェノールにより抗酸化活性が
4 倍に上昇した。 リンゴエキスが胃粘膜を外因性損傷から守ることは明らかで,リンゴに含まれる抗酸化物質を豊富に摂取すれば胃疾患の予防につながるかもしれない。
◆ゴマに豊富なセサミンが体内で代謝されてできる代謝物質は血圧低下作用を有する
サントリーの研究者等が、大阪大学の研究者等との共同研究によりゴマに豊富なセサミンが体内で代謝されてできる物質に血圧低下作用があることを突き止めました。
2004年12月には台湾の研究者等が、セサミンは一酸化窒素の働きを調節し、ET-1の製造を阻害することを突き止めました(J
Hypertens. 2004 Dec;22(12):2329-38)。これらの働きによりセサミンは血圧を低下させる作用があると示唆されました。
◆ピーナツは心疾患を防ぐ
脂肪摂取を忌避する行動によって一時は人気がなかったピーナツの摂取量がここ数年増加しています。というのも、最近の研究でピーナツは心疾患を防ぐ作用を有することが明らかになりつつあるからです。アメリカ政府の最新の食事に関するガイドラインではピーナツを毎日摂取するように勧めています。このような努力の甲斐があって、2年前には15億ポンドであったピーナツ消費量は昨年は17億ポンドに上昇しました。9.2%の上昇です。ピーナツには不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、飽和脂肪酸とは違って血管の流れを良くする作用があります。実際、Penn
State Universityの研究者等によってピーナツまたはピーナツ加工食品はLDLコレステロールレベルを抑制することが確認されています。また、ピーナツは満腹感を促して体重を減らす作用があることも示唆されています。
‥> News Source + Discoveries Help Peanuts Shed
Fat Stigma / AP
‥> Reference
Low fat and high monounsaturated fat diets decrease human low
density lipoprotein oxidative susceptibility in vitro. J Nutr.
2001 Jun;131(6):1758-63.
◆クランベリーは動脈硬化を改善する
遺伝性の高コレステロール血症のために血管が正常に機能していないブタに体重1kgあたり150gの割合でクランベリージュースのパウダーを6ヶ月間与えたところ、ブタの血管機能が正常化しました。University
of Wisconsin-MadisonのKris Kruse-Elliott等がInternational Union of
Physiological Sciencesの年次総会で発表した研究成果です。この結果からクランベリーは動脈硬化の改善作用があると考えられました。
‥> News Source + Cranberries may reduce heart
attacks by improving artery health / NutraIngredients
◆緑茶、紅茶、ウーロン茶、お茶由来化合物・EGCGは、T細胞のIL-2分泌を促して白血病細胞の増殖を防ぐ
緑茶、紅茶、ウーロン茶、お茶由来化合物・EGCGは、T細胞のIL-2分泌を促して白血病細胞の増殖を防ぐ作用があるとわかりました。
University of Northern IowaのLisa Ann Beltz等がExperimental Biology
2005で発表した研究成果です。 IL-2は、免疫細胞が癌細胞を外敵と認識して攻撃するのを助ける作用があります。
‥> News Source
+ Tea Ingredient Fights Leukemia / WebMD
◆ビタミンDが前立腺ガンを予防する
血液中にビタミンDが多く含まれている男性は、前立腺ガンにかかるリスクが、ビタミンDが少ない男性より、はるかに小さいことがわかった。ボストンのブリガム女性病院とハーバード大学医学部のスタッフの研究。研究対象は、同グループが長年健康調査を続けてフォローしている医療従事者と医療従事者OB。1982年に約1万5000人の男性の血液を採取した。18年後調べたところ、このうち1082人が前立腺ガンにかかっていた。そこで、保存されていた血液から、含まれているビタミンDの量を調べた。 次に前立腺ガンにかかっていない1701人の血液中のビタミンD量を測定した。すると、前立腺ガンにかかった人は、かからなかった人に比べてビタミンDの量が半分であることがわかった。
◆豆やレンティルを食べる女性は乳癌になりにくい
フラボノールに乳癌予防効果があるという実験結果が得られていますが、この実験結果を支持する疫学データはありません。
Nurses Health Study IIに参加した26-46歳の女性90,360人の8年間の追跡調査データを解析したところ、フラボノールが豊富な豆やレンティルの摂取量が多い女性ほど乳癌になりにくいという結果が得られました。1週間に2回以上豆またはレンティルを摂取している女性は1ヶ月に1回未満の女性に比べて24%乳癌になりにくいという結果となっています。
ただし、フラボノール摂取量全体と乳癌のリスクに相関は認められませんでした。
‥> News Source
+ Beans may cut risk of breast cancer / NutraIngredients
‥> Reference
Dietary flavonols and flavonol-rich foods intake and the risk
of breast cancer. International Journal of Cancer. Volume 114,
Issue 4 , Pages 628 - 633
◆エストロゲンにプロゲステロンを併用すると乳癌の再発リスクが高くなる
乳癌治療後のホルモン補充療法の安全性を調べる目的で、2つの臨床試験が1997年にスウェーデンで始まりました。一つはHormonal
Replacement Therapy After Breast Cancer--Is It Safe? (HABITS)という試験で、この試験には434人が参加しました。もう一つはStockholm
trialで、こちらには378人が参加しました。 HABITSとStockholm trialの試験デザインは似ていますが、プロゲステロンの使用量が異なります。Stockholm
trialではプロゲステロンの使用量が少なくなっています。 HABITSは、開始2.1年で早期終了しました。無治療に比べてエストロゲンとプロゲステロンを併用すると乳癌の再発リスクが3.3倍(95%信頼区間1.5〜7.4)高くなるという結果が得られたためです。
一方Stockholm trialでは、およそ4.1年の追跡調査で乳癌の再発リスクは無治療と比べて差がありませんでした。 追試が必要ですが、この結果から、エストロゲンにプロゲステロンを併用すると乳癌の再発リスクが高くなると考えられました。
‥> News Source
+ Breast Cancer, Hormone Type May Be Linked / AP
‥> Reference
Menopausal hormone therapy after breast cancer: the Stockholm
randomized trial. J Natl Cancer Inst. 2005 Apr 6;97(7):533-5.
◆チョコレートに豊富な物質・pentamerは乳癌治療効果がある
チョコレートに豊富な成分・pentameric procyanidin (pentamer)
は正常細胞には影響を与えず乳癌細胞の増殖を選択的に抑制するとわかりました。pentamerの抗癌作用の分子メカニズムを調べたところ、pentamerは、細胞周期に関わるタンパク質を脱リン酸化またはダウンレギュレーションして細胞増殖を抑制していると考えられました。2005年4月のMol
Cancer Ther誌に発表された研究成果です。
‥> News Source
+ Researchers find that chocolate compound stops cancer cell cycle
in lab experiments / NutraIngredients
‥> Reference Pentameric procyanidin from Theobroma cacao selectively
inhibits growth
◆タバコを吸うと10年早く膵臓ガンになる
発病からの数年以内に多くの患者が命を落とす難病が膵臓ガンだ。
この膵臓ガンの発生を促し、ガン細胞の成長を早めるのが、喫煙であるという研究が、このほどシカゴで開かれた「米臨床腫瘍学会」
(American Society of Clinical Oncology )で発表された。ノースウエスタン大学(イリノイ州)のランドール・ブランド博士らの研究。1993年から2003年の間に、膵臓ガンの治療を受けた1万8346人の患者を調べた。調べた患者の発病年齢で最も多かったのは73歳だった。ところが、喫煙者だけについてだけ調べると、発病年齢は63歳で、10年も若かった。以前は喫煙をしていたが、途中で禁煙したしたという人では、発病年齢が平均70歳だった。つまり、喫煙者と非喫煙者の中間だった。このことから、研究者たちは、喫煙が膵臓ガンの発生を早めるだけでなく、ガンの進行を促していると結論づけた。
◆メラトニンはやっぱり若返りの秘薬?!肝臓のアポトーシスを減らす―ラットで確認
メラトニンは脳の松果体が分泌するホルモン。メラトニンのサプリメントは、睡眠のリズムを整えるとされ、睡眠の質の改善や時差ボケ改善に利用されている。また、メラトニンには抗酸化作用があるため、“若返り効果”もあるとされてきた。 今回、スペインのレオン大学の研究者たちは、パリで開かれた欧州肝臓学会(4月13〜17日)で、ラットにメラトニンを経口摂取させたときの肝臓の若返り効果を発表した。体内に活性酸素が増えると、肝臓では細胞のアポトーシス(細胞の自殺)が増えるとされている。そこで、生後3カ月の若いラットと生後18カ月の年老いたラットに、1日当たり、体重1kg当たり、1mgのメラトニンを飲料水に混ぜて8週間飲ませ、メラトニンを飲ませなかった場合と比較した。すると、老いたラットにメラトニンをのませると、肝細胞の酸化ストレスが大幅に減り、また、肝臓のアポトーシスも減ることが示された。なお、ホルモンの一種であるメラトニンは日本ではサプリメントとしての販売は認められていない。2005.4.22
◆たまの深酒は肥満のもと? 米国立研究所が調査
たまにしか飲まない酒で深酒する人は太りやすい――。「飲みっぷり」と肥満との関係を探った珍しい調査結果を、米国立保健研究所(NIH)が発表した。少量の晩酌を習慣にする飲み方だと太りにくいという。
米国立アルコール依存研究所が、97〜01年の国民健康面接調査に参加した男女のうち、酒を飲む約3万7千人の「1回の酒量」と「飲酒の頻度」を調べた。
太っている人ほど数値が大きくなるBMI(体重を身長の二乗で割った数値)との関係を探ると、1回に1杯しか飲まない男性はBMIの平均が26.5で、4杯以上は27.5だった。女性では25.1から25.9に上昇した。一方、年間の飲酒日数が少ない人ほどBMIの数値が大きかった。
研究チームは「飲んでも太りにくいのは、1回に1杯しか飲まず、週に3〜7日飲む人といえる。たまのお酒で量を過ごす人が最も太りやすい」と説明した。
(2005/02/20)
◆1日100m歩くだけで、高齢者の健康維持に役立つ
ウオーキングに、どれほどの効果があるのかを高齢の女性で調べた研究が、「米老人学会雑誌」(Journal
of American Geriatric Society )3月号に掲載された。
米国立加齢研究所の研究者たちは、65歳以上の高齢女性800人を調査対象に選んだ。この女性たちは、全員、身の回りのことをするにも不自由な人たちばかりだが、調べてみると、28%は、外に出て1日におおよそ2ブロック歩いていた。1ブロックは、ところによって違うが、大体60mから100mほどと考えていい。
そこで研究者たちは、これほどわずかな距離を歩くことが、どれほど健康維持に意味があるのかを調べるために、はじめの調査から1年後に、再調査した。
その結果、週に平均2ブロック歩いていたお年寄りは、歩くスピードこそは落ちていたが、ほとんど外出せずに歩いていなかったお年寄りと比べると、断然動きが良く、全般的に体力がすぐれており、健康状態に大きな差ができていたという。
◆緑茶の成分・EGCGは心臓発作後の細胞死を防ぐ
心臓発作がおきると脳や心臓への酸素や栄養供給が低下し、細胞死がおきます。UKのInstitute
of Child Healthの研究者等が、緑茶中の成分・epigallocatechin-3-gallate (EGCG)
には心臓発作後の細胞死を防ぐ作用があることを突き止めました。細胞実験の結果、EGCGは細胞死に関わるStat1を阻害することで、細胞死を防いでいると考えられました。またEGCGは心臓発作後の細胞の回復を促進する作用があることも解明されました。
‥> News Source
+ Green tea 'may protect the heart' / BBC
‥> Reference
Epigallocatechin-3-gallate inhibits STAT-1 activation and protects
cardiac myocytes from ischemia/reperfusion-induced apoptosis.
The FASEB Journal Express Article doi:10.1096/fj.04-1716fje
◆朝ご飯を抜くと太る
健康で体重が正常範囲の女性10人を対象にしたクロスオーバー試験で、朝ご飯を抜くと朝ご飯を食べた場合に比べてコレステロールレベルが高くなり、インスリン感受性が低下するという結果となりました。2005年2月のAm
J Clin Nutr誌に発表された研究成果です。また、朝ご飯を抜くと朝ご飯を食べた場合に比べてカロリー摂取量が多くなっていました。したがって、朝ご飯を抜く生活を長く続けると太る可能性があると考えられました。
‥> News Source
+ Breakfast shown to be heart healthy / Nutraingredients
‥> Reference
Deleterious effects of omitting breakfast on insulin sensitivity
and fasting lipid profiles in healthy lean women. Am J Clin Nutr.
2005 Feb;81(2):388-96.
◆間接喫煙で子どものIQが下がる
子どもが家族の喫煙者のために間接喫煙によりタバコの煙を吸うと、IQ(知能指数)が下がる、という研究結果が、「米国立環境健康科学研究所」(National
Institute of Environmental Health Sciences )の調査でわかった。雑誌「環境健康展望」(Environmental
Health Perspectives )1月号に掲載されたこの調査では、6歳から16歳までの米国の子ども4399人を調査の対象とした。研究者らは、まず子どもたちの血液中のコチニン(cotinine)の濃度を調べた。コチニンは、ニコチンが分解されてできる物質で、その濃度が高いと血液中にニコチンが多くとりこまれたかがわかる。つまり、どれだけ間接喫煙を受けているかを知る生物学的マーカーとなる。このコチニンの血中濃度と、先に調べてあったIQの成績とを突き合わせると、コチニンの値が高いと、それだけIQのスコアが低いという全般的な関係があることがわかった。
◆αリポ酸
600mg経口服用すると糖尿病性の神経障害が改善する
糖尿病性多発性神経障害患者24人を対象にした3週間のプラセボ対照臨床試験で、αリポ酸
600mg/日を経口服用すると神経障害が改善するという結果が得られています。1999年3月のDiabet Med誌に発表された研究成果です。この試験ではTSSというスケールで効果を比較しました。投与19日時点でαリポ酸服用群でのTSSは-3.75
+/- 1.88 (-47%) 低下し、プラセボでは-1.94 +/- 1.50 points (-24%) 低下しました(P=
0.021)。プラセボとαリポ酸で有害事象の発現率に差はありませんでした。経口αリポ酸は糖尿病性の多発性神経障害に効果があると考えられました。
‥> Reference
Effects of 3-week oral treatment with the antioxidant thioctic
acid (alpha-lipoic acid) in symptomatic diabetic polyneuropathy.
Diabet Med. 1999 Dec;16(12):1040-3.
◆イギリス 癌のリスクを増大させる色素・Sudan
Iを含有している製品およそ359種類を同定
UKのFood Standards Agency (FSA) が癌のリスクを増大させる色素・Sudan
Iを含有している製品およそ359種類を同定し、これを食べないように警告を発しました。350種類の食品は(http://www.food.gov.uk/safereating/sudani/sudanlist)で見られます。
Sudan色素は赤い色素で、チリパウダーなどに使用されています。
‥> News Source
+ UK Warns About 350 Food Products with Cancer Risk / Reuters
◆マグネシウムを豊富に摂取している女性は結腸直腸癌になりにくい
スウェーデンの40-75歳の女性61,433人(The Swedish Mammography
Cohort)のデータを解析したところ、マグネシウムの摂取量に反比例して結腸直腸癌に罹り難くなると分かりました。2005年1月5日のJAMA誌に発表された研究成果です。マグネシウム摂取量が5分位で最低レベルの女性に比べて、摂取量が最高レベルの女性は結腸直腸癌に41%なりにくいという結果となっています。
‥> News Source
+ Magnesium may protect against colorectal cancer / Nutraingredients
‥> Reference
Magnesium intake in relation to risk of colorectal cancer in women.
JAMA. 2005 Jan 5;293(1):86-9.
◆(2/25)押し黙る妻は死亡リスク高い
夫と意見が対立したときに沈黙してしまう妻の死亡リスクはそうでない妻に比べ4倍高いのに対し、沈黙する夫では健康にさほど悪影響をもたらさないことが、先ごろオーランドで開かれた米国心臓協会(AHA)主催の「第2回女性、心疾患および脳卒中に関する国際会議」で報告された。
米ウィスコンシン州の独立研究法人代表Elaine D. Eaker氏とボストン大学の研究者らは、心疾患と社会的データ、人口統計学的データとを評価するフラミンガム子孫研究(Framingham
Offspring Study)の参加者である18歳から77歳までの男性1,769例、女性1,913例を対象に、結婚生活における不調和が心疾患発生率あるいは総死亡率に及ぼす影響を検討した。このうち、既婚者または結婚の形態をとっていた男性1,493例、女性1,501例に対して、1984〜1987年に初回評価を実施し、その後10年間にわたって心疾患発症あるいは死亡状況を追跡評価した。
その結果、夫婦間で言い争いがあった際に、自ら沈黙してしまう(self-silencing)妻はそうでない妻に比べ、原因を問わず死亡リスクが4倍高く、このことは年齢、血圧、コレステロール値、体重などで調整した後でも認められた。これに対し、沈黙する夫では健康に対する悪影響は認められなかった。また仕事上の問題を家庭に持ち帰る妻をもつ夫は、そのようなストレスをもたない夫に比べ心疾患の発症率が2倍であることも判明した。
Eaker氏は、沈黙する妻に死亡リスクが高い原因について、意見が対立した際にいつも沈黙する女性では、ストレスホルモンが活性化し、健康に害を与えるようになると推測している。
Lenox Hill病院(ニューヨーク)女性専門心臓病治療部門主任のNieca Goldberg博士は、女性が自分自身をいたわり、怒りの感情を前向きな方法で表現するよう努力する必要があると指摘する。またEaker氏は、医師が病歴を問診する際に、結婚生活の緊張度および配偶者の職務の影響について質問すれば、こうした問題に対処することができ、必要に応じてカウンセリングを勧めることができると述べている。
◆αトコフェノールやγトコフェノールレベルが高い人は前立腺癌になりにくい
Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention
(ATBC) Studyでは、αトコフェノールのサプリメントを毎日摂取すると前立腺癌の発現率を32%防げるという結果が得られています。ATBC試験に参加した被験者のうち、前立腺癌患者100人とコントロール200人の試験参加時のビタミンEレベルを比較したところ、ベースラインでαトコフェノールレベルが高かった人は前立腺癌に51%なり難いという結果となりました。またγトコフェノールレベルが高い人も43%前立腺になりにくいという結果となっています。また、αトコフェノールを摂らなかったグループよりもαトコフェノールをサプリメントとして服用したグループの方が高トコフェノールレベルと前立腺癌の発現率低下の相関が顕著でした。主要なビタミンE
- αトコフェノールとγトコフェノールのレベルが高い人は、前立腺癌の発現率が一様に低くなっていました。
‥> News Source
+ Two vitamin E forms appear to reduce prostate cancer risk /
NutraIngredients
‥> Reference
Serum alpha-tocopherol and gamma-tocopherol in relation to prostate
cancer risk in a prospective study. J Natl Cancer Inst. 2005 Mar
2;97(5):396-9.
◆リンゴは乳癌を防ぐ
ヒトの摂取量に換算して1個/日、3個/日、6個/日のリンゴを24週間与えたラットは、乳癌の発生率がそれぞれ17%、39%、44%低下しました。J.
Agric. Food Chemに、ASAP Articleとして2005年3月1日に発表された研究成果です。この結果から、ヒトにおいてもリンゴは乳癌の予防に効果的と考えられました。
‥> News Source
+ Apple compounds could reduce breast cancer risk / Nutraingredients
‥> Reference
Apples Prevent Mammary Tumors in Rats. J. Agric. Food Chem., ASAP
Article 10.1021/jf058010c S0021-8561(05)08010-6
◆ヒマワリ油で未熟児の感染症予防
妊娠33週目以前に1.5kg未満の低体重で出生したバングラデシュ未熟児497人を対象にした試験の結果、ヒマワリ油を未熟児の体に塗布すると感染症を抑制できると分かりました。
高価な軟膏が手に入らない貧しい国では、安価なヒマワリ油は未熟児の感染症予防に非常に有用であると考えられました。Lancet誌に発表された研究成果です。
‥> News Source
+ Oiling up babies stops infection / BBC
◆カルニチンはミトコンドリア機能が正常な精子の運動能力を亢進させる
51 精子無力症の男性30人を対象にした3ヶ月間のプラセボ対照試験の結果、L-カルニチンのサプリメントはミトコンドリア機能が正常な精子の運動能力を向上させると分かりました。2005年2月のFertil
Steril誌に発表された研究成果です。精子のミトコンドリア機能が正常な男性では、カルニチンを摂取することで精子の運動能力が29.3%から41.1%に改善しました。一方ミトコンドリアの機能が障害している男性ではカルニチンを服用しても精子の運動能力は向上しませんでした。
phospholipid hydroperoxide glutathione peroxidase (PHGPx) のレベルでミトコンドリアの機能が評価できるようです。女性に問題はなくて回数も問題ないというカップルは精子の運動能力を評価すると同時にミトコンドリアの機能等を調べてもらうべきかもしれません。
‥> News Source
+ Carnitine Supplement Helps Sperm Swim / Reuters
‥> Reference
The presence of tandem endothelial nitric oxide synthase gene
polymorphisms identifying brain aneurysms more prone to rupture.
◆高用量のビタミンEは有害!? サプリ好きの米国民に衝撃の研究報告
1日当たり400IU、α‐トコフェロール換算で267mg以上のビタミンEを摂取した場合、総死亡率が10%程度増える――。 2004年11月10日、AHA(米国心臓協会)が研究報告についての記者会見と同時に発表したこのニュースを、米メディアはこぞって一面扱いで取り上げた。健康の増進や回復を願って、健康メディアや一部医師の勧めるままに高用量のビタミンEを取り続けてきた人々が受けたショックの大きさは想像に難くない。 これは、欧米を中心に世界各国で実施されたビタミンEに関する臨床試験結果を報告した19論文を基にメタアナリシスを行った研究で、米国のJohns
Hopkins Medical UniversityのEdgar Miller氏らが報告した。 Miller氏らの研究グループは、1966年から2004年8月の間に発表されたビタミンEに関する論文のうち、(1)1年間以上の追跡期間、(2)10人以上の死亡が報告されている、(3)死亡率が報告されている――などの条件を満たす無作為化プラセボ対照試験19論文について解析を行った。 試験実施国は米国、欧州、オーストラリア、イスラエル、中国などで、試験参加者は合計13万5967人。臨床試験のうち、1日400IU以上のビタミンEを投与していたのが11試験、400IU未満が8試験だった。 解析の結果、ビタミンE投与量と総死亡率には正の相関関係が見られた。1日投与量がおおむね150IUを超えると非投与群より死亡率が高くなり、400IU以上では顕著に増加していることが分かった。 400IU以上の投与を行った11論文の合計では、プラセボに対して総死亡は1万人あたり39人多く、相対リスクは1.04(CI:1.01‐1.07、P=0.035)で有意な増加が見られた。400未満の8論文の合計では、総死亡はプラセボ群に対して1万人当たり16人少なかったが、相対リスクは0.98(CI:0.96-1.01、p>0.2)で有意な差は得られなかった。 この報告のもっと深刻な衝撃は、本報告で有害性が指摘された400IUという用量が、米国栄養評議会(CRN)や日本の厚生労働省が規定したビタミンEの1日当たり許容上限摂取量を下回っていることだ。 米国栄養評議会ではビタミンEの1日推奨摂取量を15mg(約23IU)、1日許容上限摂取量を1000mg(約1500IU)としている。日本でも第6次改定日本人の栄養所要量の中でビタミンEの推奨摂取量を男性10mg(約15IU)、女性8mg(約12IU)、許容上限摂取量を600mg(約900IU)と定めている。 日本では現在、第7次栄養所要量の策定が進められているが、日米当局とも次期改定に当たっては何らかの形で本報告の反映を検討せざるを得ないだろう。(中沢
真也=MedWave)
〔参考サイト〕
米国内科医会のAnnals of Internal Medicine誌2005年1月4日号に掲載された原著論文
http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200501040-00110v1
◆子供の非行は、中1の時の親の接し方次第──米で研究
非行を起こす問題児にならないために、どう子供に接するがいいか? この大きなテーマをミシガン大学社会科学研究所の心理学者、パメラ・デービビスキーン博士らが研究した。実際に中高生1300人を相手に4年間にわたって調べたところ、ハイスクール(高校)になって子どもがぐれるかどうかは、7年生(中1)の時の親と子の関係が大
きく影響していることがわかったという。これは雑誌「発達心理学」(Developmental Psychology)最新号で発表された。
中1の時に親と子のきづなが離れていた子どもは、高校生になって、麻薬、盗みに走り、物を破壊する、セックスをするなどの傾向が現れる
という。
デ−ビスキ−ン博士は「中1の時の親の監視が足りないと、問題児になることは、はっきりしている」と断言している。一方、中1の時に、親がかまい過ぎると、独立心、自立心に欠け、責任感をもたない子どもになりやすいという。その場合は、あとになって、自分で何もできなくなるような問題児になりやすくなる。すると、親の監視下にない時に、悪友に誘われやすく、転落の道をたどるケ−スが多いという。
親はできるだけ子どもに話しかけて、できるだけ会話を交わして、その中から、子どものいいところを見つけて、ほめてやり、時に、「父
(母)はお前のことを自慢に思っている」といった言葉をかけてやるのが一番いいという。
◆牛乳好きはパーキンソン病になりやすい
Honolulu Heart Programに参加した45-68歳の男性7504人の1965年から1968年の食事内容とパーキンソン病発病の相関を調べたところ、中年期に牛乳をたくさん飲んだ男性はパーキンソン病になりやすいという結果となりました。2005年3月のNeurology誌に発表された研究成果です。牛乳を毎日16オンス(およそ454g)飲んでいた男性は、牛乳を全く飲んでいなかった男性に比べてパーキンソン病に2.3倍なりやすいという結果となっています。
‥> Reference
Consumption of milk and calcium in midlife and the future risk
of Parkinson disease. Neurology. 2005 Mar 22;64(6):1047-51.
◆口腔内のバクテリアレベルが高い妊婦の子供は低体重、早産になりやすい
妊婦297人の妊娠後期(third trimester)における口腔バクテリアレベルと妊娠の転帰を調べたところ、口腔内でActinomyces
naeslundii Genospecies2 (A. naeslundii gsp2) というバクテリアレベルが高い妊婦の子供は低体重と早産のリスクが高いという結果となりました。
A. naeslundii gsp2のレベルが10倍高くなる毎に、小児に体重は60gづつ低下し、出産前の期間が0.17週ずつ短くなりました。逆にA.
naeslundii gsp2のレベルの低下するにつれて、体重、出生までの期間は上昇しました。
‥> News Source
+ Oral bacteria may predict pregnancy outcomes / EurekAlert
‥> Reference
Periodontal Disease and Prematurity among Non-smoking Sri Lankan
Women. J Dent Res. 2005 Mar;84(3):274-7.
◆お年寄りの体重が減り始めたら、痴呆症の予兆かも
アルツハイマー病などの痴呆症になりはじめたお年寄りには、体重が以前より減るという共通した兆候があるという。英国ロンドンの精神医学研究所(Institute
of Psychiatry )のローバート・スチュアート博士らの研究。「神経学雑誌」(Archives of Neurology
)最新号で発表された。 研究の対象となったのは、過去32年間、加齢にともなうさまざまな体の変化を医学的な観点から追跡している、「ホノルル−アジア加齢研究プログラム」に参加して協力している1800人の男性。 研究者たちは、彼らの医療記録を体重に焦点を当てて、調べ直した。調査対象者には、後年痴呆症にかかった人と、かからなかった人がいたが、それぞれのグループの体重の変化を調べると、70歳を過ぎて起きた体重の減少は何年か後に痴呆症を発症する予兆であることがわかった、という。体重減の程度は、痴呆症になった人たちの半数以上で5.4キロ以上に達した。「高齢者の体重が目立って減ってきたら痴呆症の黄信号である」と研究者たちは述べている。
◆子どものガンは大気汚染と関係してい
子どものガンは、工場などから排出される環境汚染物質と密接に関連しているとする新しい研究が、1月17日、英国で発表された。
発表したのは、バーミンガム大学名誉教授のジョージ・ノックス博士で、雑誌「疫学と地域社会の健康」(Epidemiology and
Community Health )に掲載された。
同博士は、1960年から80年にかけてガンで死亡した子どもの出生と死亡の住所に関する記録を入手し、英大気汚染局が作成した「大気汚染マップ」と対比させ、その間の関連を探った。
その結果、工場など大気汚染物質の濃厚な排出源となっている場所から、1キロ以内で生まれた子どもは、他の場所で生まれた 子どもと比較して、16歳までにガンで死亡する割合が、2倍ないし4倍であることわかったという。
◆カルシウムを豊富に摂取している女性は結腸直腸癌になりにくい
アメリカNCIが1973-1980年に実施したBreast Cancer Detection
Demonstration Project (BCDDP) に参加した女性のうち、結腸直腸癌ではなかった女性43,354人を対象にしてカルシウム摂取量と直腸結腸癌の関連を平均8.5年間追跡調査したところ、カルシウムを831mg/日以上摂取している女性はカルシウム摂取量が412mg/日以下の女性に比べて結腸直腸に26%なり難いという結果となりました。2005年1月14日のCancer
Epidemiol Biomarkers Prev誌に発表された研究成果です。研究者等はカルシウムサプリメントの効果も検討しています。食事からのカルシウム摂取量、カルシウムサプリメントとしての摂取量がそれぞれ412.4mg/日、800mg/日より多い女性は、食事からのカルシウム摂取量、サプリメントとしての摂取量がそれぞれ412mg/日、800mg/日未満の女性に比べて結腸直腸癌に46%になり難いという結果となりました。
◆緑茶カテキンに持久力向上効果・民間研究所
緑茶に多く含まれているカテキンと呼ばれる成分に、運動時の持久力を高める効果があるとの花王・生物科学研究所(栃木県市貝町)の論文が米生理学会誌の電子版に27日掲載された。カテキンからは殺菌作用や抗酸化作用などさまざまな効果が見つかっているが、持久力向上にも役立つことで一段と注目度が高まりそうだ。研究グループは実験用のマウスにカテキンを含んだ緑茶抽出成分を10週以上食べさせた。マウスを水流の中で泳がせて泳ぎ疲れるまでの時間を、緑茶成分を食べ続けたマウスと食べていないマウスとで比べた。緑茶成分を食べたマウスが8―24%長く泳ぎ続けられることがわかった。研究グループの村瀬孝利氏は「1回だけ緑茶抽出成分を摂取しても効果は見込めない。毎日とり続けることが重要」と指摘。持久力が高まる理由については、カテキンに体内の脂肪分を効率的に燃やしてエネルギーに変える作用があるためと推測している。(ワシントン=吉田透)
◆ロート製薬、花粉・アレルギー対策の乳酸菌EC-12配合サプリ発売前日に、いち早く展示
ロート製薬は、1月28日から新製品「EC−12アレバランス」を発売する。これは、乳酸菌EC−12を3粒に5000億個以上配合したサプリメントで、花粉症やアレルギーをターゲットにしたサプリメント。キリンのKW乳酸菌やカルピスのL−92乳酸菌などのように、「季節や環境に敏感な方に」とうたっている。同社ブースでは、この商品を発売前日の27日午後から早くも展示している。 乳酸菌EC-12は、コンビが開発したもの。コンビと北里大学との共同研究では、ニッケルや金による金属アレルギー、松やにアレルギーの患者のアレルギー症状を抑制する効果を確認し、昨年の日本皮膚アレルギー学会で発表している。 機能性乳酸菌EC−12の細胞レベルの実験では、接触性皮膚炎のアレルギーモデルのマウスが、摂取することで有意に改善することが明かとなっている。他にもリステリア菌に対する抵抗性が向上することなども認められた。1日3粒が目安で、約90粒(1カ月分)で2100円。水なしで、かんで食べられるチュアブルタイプで、通信販売のみ。
同社展示ブースでは、血中の中性脂肪の上昇を抑える「グロビンたんぱく分解物」を含んだトクホ(特定保健用食品)「タクティTG」、グアー豆から抽出する食物繊維配合の「ファイバーサプリ」、目の老化対策にビタミンやミネラルなどの抗酸化成分を配合した「クリアビジョン」など、機能性の高い商品を多数展示している。(白澤淳子=日経ヘルス編集)
※ORT−乳酸菌にもEC-12が使用されています。ORT-乳酸菌は1粒が1兆個の菌数なので、EC-12アレバランス6粒がORT-乳酸菌1粒に相当することになり、ORT-乳酸菌の方がお買得です。
◆糖尿病患者に消化器系のガンが多い──韓国
韓国の研究者らが100万人以上の韓国人を調べて、糖尿病患者は消化器系のガンにかかり死亡している割合が高いと報告した。1月12日発行の
「米医師会雑誌(JAMA)」に掲載された。特に血糖値が高い人がガンで死亡しているという。
ソウルの延世大学の研究者が行ったこの研究は、公務員や教師などのための健康保険団体に加入している30歳から95歳までの韓国人男女129万人を対象
に、1992年から10年間について調べた。
その結果、調査対象の約5%が糖尿病を患っていた。また、この間にガンで死亡した人は2万6473人いた。その関係を詳しく調べると、糖尿病の人は、ガンにかかりがんで死亡する割合が、糖尿病でない人よりも30%高かった。特にすい臓ガンにかかる割合が高く、このほか肝臓ガン、食道ガン、結腸ガンなど消化器系のガンが多かった。
◆最もストレスが大きい職業は、教師、救急車のスタッフ
英国のリバプール大学、マンチェスター大学などの心理学者が、「ストレスの大きい職業は何か」をテーマに、1万人以上の英国人を対象にして、仕事中はどんな心理的状態にあるかなど、アンケート調査を実施した。
その結果が1月14日発表されたがそれによると、一番ストレスが大きい職業は、学校の教師、救急車のスタッフ、ソーシャルワーカーであることがわかったという。
職業に共通しているのは、人と人が、いつも面と向かっていて、その場で問題に迅速に対処し、解決しなければならない仕事であるということだと研究者たちは言っている。
◆発芽玄米はアルツハイマー病を防ぐ
精白米または発芽玄米を2週間与えたマウスは、コーンスターチを2週間与えたマウスよりもMorris
water mazeテストおける記憶能力が有意に優れていました。また、アルツハイマー病の原因とされるAβを3nmol加えるとマウスは行動障害を起こしますが、発芽玄米を食べたマウスではAβによる行動障害がおきませんでした。この結果から、精白米と発芽玄米は空間記憶を改善する作用があり、発芽玄米はAβによるアルツハイマー病を防ぐ作用があると考えられました。2004年7月のBiol
Pharm Bull誌に発表された研究成果です。
◆肥満の人は歯周病にご注意 普通の人の1.5倍の罹患率
肥満者は、歯周病に約1.5倍かかりやすい――。こんな結果を大阪府立看護大の吉田幸恵教授や今木雅英教授らの研究グループがまとめた。21日から大津市で開かれる日本疫学会学術総会で発表する。
歯周病の危険因子は、加齢、糖尿病、喫煙習慣などが知られる。研究グループは、大阪府内の事業所に勤める「糖尿病ではない」20〜59歳の男性1470人について調べた。体重(キロ)を身長(メートル)で2回割ったBMI(体格指標)が18.5未満の人を低体重者、25以上を肥満者、その間を普通体重者とし、唾液(だえき)中の血液濃度で歯周病を判定した。
その結果、肥満者(388人)で16.75%、普通体重者(1033人)で11.52%がかかっていた。年齢や喫煙習慣を考慮すると、肥満者は歯周病に普通体重者より1.49倍かかりやすくなり、統計的に明確な差があった。年代ごとにみても、肥満者の罹患(りかん)率が上昇した。
脂肪から分泌する物質が骨を壊すなどして歯周病につながる、と考えられ、吉田さんは「肥満が歯周病の危険因子の一つである可能性が見いだされた」といっている。
(2005/01/19)
◆トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の摂取減−−米の新食事ガイドライン
米連邦政府が、このほど5年ぶりに改定した「食事ガイドライン」では、肥満傾向に歯止めをかけるためのカロリー制限のほか、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取を控えるよう勧告している。
ガイドラインの勧告は以下の通り。
●摂取カロリーは31歳から50歳までの平均的な活動量の成人なら、女性で1日2000キロカロリー、男性で1日2400から2600キロカロリーが望ましい。
●栄養分がしっかり含まれている食品を、なるべく多種類食べるようにすること。ただし、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、添加された砂糖分や塩分の少ないものを選ぶようにすること。
●フルーツと野菜を豊富に食べる。フルーツはできるだけ丸ごと食べて、繊維質を摂取するよう心がける。一日2000キロカロリ−の人なら、フルーツと野菜を一日4、5カップ、脂肪ゼロないし低脂肪のミルクまたは乳製品を合わせて一日カップ3杯を目安とする。
●炭水化物は、全粒小麦のパン、オートミール、玄米など、全粒穀物の形で摂取すること。
●脂肪については、まずトランス脂肪酸をできるだけ減らすようにすること。飽和脂肪酸は、一日の総摂取カロリーの10分の1に抑える。コレステロールの摂取は、チーズなら脂肪分の少ないチェダーチーズや、脂身の少ない挽き肉を選ぶようにして、一日300ミリグラム以下に抑えるようにする。
◆ザクロの果実抽出物は皮膚がんを防ぐ
マウスの実験で、あらかじめザクロの果実抽出物(Pomegranate fruit
extract、PFE)を塗布しておくと、発がん性物質による皮膚癌が予防できるという結果が得られました。
研究者等はPFEが他の癌にも効果があるかどうかと、人にも応用できるかどうかを調査していきます。International Journal
of Cancer誌にHasan Mukhtar等が発表した研究成果です。
‥> News Source
+ Pomegranate Extract Blocks Skin Tumors in Mice / Reuters
◆ガンの死亡率が10年来どんどん下がっている−−米国
米ガン協会(American Cancer Society )が、1月19日発表した報告によると、米国でガン患者の死亡率がこの10年ほどの間に、ぐんぐん下がっている実態が明らかになった。それによると2004年には、全米で136万8000人がガンを発病し、56万3700人がガンで死亡した。この死亡率は41.2%だが、この割合は男性では1993年以降、年平均1.5%の割合で下がり、女性でも1992年以降、年0.8%の割合で下がっている。5年生存率(ガンと診断されてから5年間生き長らえた人の割合)で見てもこの傾向がわかる。最新のデータが出ている2000年では、すべてのガンを合わせた5年生存率は64%だった。これは1976年の5年生存率が50%だったのと比べ、大きく改善されていた。
◆オレンジやレモンの匂いを嗅ぐと喘息が治まる
オゾンは強力な酸化物質であるだけでなく炎症作用を持ち、肺毒性を有することが示唆されています。オゾンは大気中に存在しますが、最近好中球や炎症部位でオゾンが作られていることが示唆されています。喘息マウスの実験から、オゾンを無毒化するオゾンスカベンジャー・limonene(リモネン)を嗅ぐと喘息症状が緩和されるとわかりました。limoneneはオレンジやレモンなどの柑橘系果実の芳香成分です。研究者等はlimoneneを含む匂いを嗅ぐと喘息症状が治まるという患者の話を耳にして今回の実験を思いついたとのことです。研究成果は2004年12月8日のBioorganic
& Medicinal Chemistry誌に発表されています。
‥> News Source+ Smelling Citrus Oils Prevents Asthma in Rats
/ Reuters
‥> Reference
Natural ozone scavenger prevents asthma in sensitized rats. Bioorg
Med Chem. 2005 Jan 17;13(2):557-62.
◆クルクミンはアルツハイマー病の原因であるAβ凝集を防ぐ
2005-01-02 19:51:19 カレーを黄色くしている成分・クルクミンは、アルツハイマー病の原因と考えられているAβの繊維化・蓄積を防ぎ、すでに形成されてしまったアミロイド斑を除去する作用があると分かりました。UCLAのGregory
Cole等が2004年12月7日のJ Biol Chem誌に発表した研究成果です。クルクミンのAβ凝集阻害作用はイブプロフェンやナプロキセンよりも強力であることが確認されています。
現在UCLA Alzheimer's Disease Research Center (ADRC) で臨床試験が実施されています。
‥> News Source
+ Indian curry may be the next Alzheimer's weapon / News-medical
‥> Reference
Curcumin inhibits formation of Abeta oligomers and fibrils and
binds plaques and reduces amyloid in vivo. J Biol Chem. 2004 Dec
7; [Epub ahead of print]
◆亜鉛サプリメントは食道癌や舌癌を防
ラットの実験から、亜鉛が不足すると舌や食道でのCOX-2の発現が亢進して癌の前駆段階である細胞の異常増殖がおきると分かりました。
2005年1月5日のJ Natl Cancer Inst誌に発表された研究成果です。 亜鉛サプリメントは食道癌や舌癌を防ぐ作用があるかもしれません。
‥> News Source
+ Zinc treatment cuts mouth cancer risk in rats / NutraIngredients
‥> Reference
Dietary zinc modulation of COX-2 expression and lingual and esophageal
carcinogenesis in rats. J Natl Cancer Inst. 2005 Jan 5;97(1):40-50.
◆昆布はホルモン依存性の癌を防ぐ
2005-02-04 20:00:44 マウスの実験から、日本では一般的な食材・昆布にはホルモン依存性の癌を防ぐ作用があると考えられました。2005年2月のJ
Nutr誌に発表された研究成果です。月経周期が長くなると高濃度の女性ホルモンに暴露する期間が短くなり、ホルモン依存性の癌の発現リスクが低下します。またエストロゲンレベルを抑制したり、エストロゲンがエストロゲン受容体に作用するのを防ぐことも乳癌や卵巣がんの予防効果があります。昆布はこれらすべての効果を有していました。研究者等は、日本人でホルモン依存性の癌が少ないのは昆布がよりたくさん食べられているからではないかと推測しています。
‥> News Source
+ Kelp can reduce level of hormone related to breast cancer risk
/ NutraIngredients
‥> Reference
Brown kelp modulates endocrine hormones in female sprague-dawley
rats and in human luteinized granulosa cells. J Nutr. 2005 Feb;135(2):296-300.
◆肝がんリスク、コーヒーで半減 国立がんセンター
コーヒーの愛飲者は肝臓がんのリスクが半減する――。米国のがん専門誌JNCI16日号に、日本の国立がんセンターの研究チームによる大規模調査の結果が掲載された。飲む量が多いほど効果があるという。
研究チームは、9万人を超える男女を10年間にわたって追跡した。計334人が肝細胞がんと診断され、コーヒーを飲む習慣と肝細胞がんになるリスクの関係を統計的に分析した。
その結果、日常的にコーヒーを飲む人が肝臓がんになる率は10万人当たり約214人で、ほとんど飲まない人の場合は約547人だった。1日に1〜2杯の人よりも、3〜4杯の人の方がリスクが減っていたという。
コーヒーが肝細胞がんを予防する詳しい仕組みは不明だが、抗酸化作用のある成分がコーヒーに大量に含まれるおかげではないかと見られる。
ただ、同号に掲載された米国チームによる別の研究では、コーヒーや紅茶で大腸がんや直腸がんを予防する効果は確認されなかったという。
◇ コーヒーが肝臓がんにかかるリスクを下げる可能性は、東北大の研究などでも示されている。だが、これまでのデータだけでは、肝臓に障害があるとコーヒーを飲めなくなって、結果的に飲んでいる人が肝臓がんにかかりにくく見えるといった可能性も否定できない。
国立がんセンターによると、日本の肝臓がんの9割は肝炎ウイルス感染によるもので、予防で最も大切なのはウイルスに感染しないこと、感染が判明したら早い段階で治療を受け、病気の進行を遅くすることだ。今回の研究チームは「ウイルスに感染している人たちの中でコーヒーに予防効果があるかを検証したい」という。
(2005/02/16)
◆生姜、緑茶にガン予防効果−−マウスで確認
ショウガや緑茶にガンを予防する効果があることが、マウスでの実験で確かめられた。
このほど米アリゾナ州で開かれた「米がん研究学会」(American Association of Cancer Research
)の会合で発表された。ショウガの研究を行ったのはミネソタ大学のアン・ボード、ジガン・ドン両研究者で、結腸ガン(大腸ガン)を植えつけたマウスに、「6−ジンゲロール」(6-gingerol)と呼ばれる成分を含んだショウガの抽出液を混ぜたエサを与えてみた。使われたマウスはガンになりやすいように特別に育成した系統で、ガン細胞を植えつけると、通常、簡単にガンができる。
結腸ガンを植えつけてから15日後に調べてみたら、普通のエサを与えられたマウスには、平均13個の腫瘍が見つかったが、ショウガを混ぜたエサのマウスでは見つかった腫瘍は、平均4個だった。
◆ビタミンD不足は悪性の前立腺癌を引き起こす
2005-02-20 05:22:25 Physicians' Health
Studyに参加した男性を対象にした18年間の追跡調査の結果、2つのタイプのビタミンDレベルが共に高い男性はそれらのレベルが低い男性に比べて悪性度の強い前立腺癌を発現するリスクがおよそ50%低いとわかりました。2005年2月17日の学会で発表された研究成果です。この結果から研究者等はビタミンDを必要十分量摂取することと、ビタミンDを作るために毎日15分は日光を浴びることなどを勧めています。
この学会ではビタミンDと前立腺癌の関連の他に、肥満者は前立腺癌で死にやすいというデータや細胞増殖を防ぐホルモンの作用を阻害するALSという物質のレベルが高い人は前立腺癌になりやすいといった研究成果も発表されています。
‥> News Source
+ Vitamin D May Ward Off Prostate Cancer / AP
◆毎日3合飲酒、がん発症1.6倍 厚労省研究班調査
お酒も連日飲み過ぎると、たまにしか飲まない人に比べ、1.6倍もがんになりやすくなることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。
岩手、秋田、長野、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の8県に住む男女7万3千人を約10年間、調査。3500人が何らかのがんになっていた。飲酒量との因果関係をみると、日本酒換算で1日あたり2合(ビールで大びん2本、ワインでグラス4杯)程度を境に、がん発生率が高まり、飲まない日があり量も少ない「時々飲む」人に比べ、2〜3合で1.4倍、3合以上では1.6倍になっていた。
喫煙が加わると、さらに危険は増す。「時々」の人に比べ、2〜3合で1.9倍、3合以上だと2.3倍に。喫煙しない人でも、のどや食道、肝臓がんなどは、酒量が増えると発生率が高くなる傾向が出たという。
同センター予防研究部の井上真奈美室長は「お酒を控えていたら、13%の人ががんにならなかったと推計された。がんを予防するには、たばこをやめ、お酒もほどほどに」と話している。
◆ソーセージや牛・豚肉の摂りすぎが続くと大腸癌になりやすい、約15万人の研究結果で判明
10年以上の長期にわたってベーコンやソーセージ、サラミなどの肉加工製品や牛肉・豚肉などの赤身肉を多く摂取した人は、遠位の大腸癌リスクが約1.5倍に増加するようだ。これは、American
Cancer SocietyのAnn Chao氏らが、約15万人を対象にした追跡調査で明らかにしたもので、米医師会誌のJournal
of American Medical Association(JAMA)誌2005年1月12日号に掲載された。被験者数が多く、また長期の摂取について調べた研究である点が珍しい。 Chao氏らは、50〜74歳の14万8610人を対象に、肉類の摂取に関する質問を、1982年と1992年または1993年に行い、その後2001年8月まで追跡して大腸直腸癌の発症について調べた。 その結果、1982年と1992/1993年の両調査時点で、肉加工製品の摂取が多い方から3分の1の群の人は、摂取が少ない方の3分の1の群の人に比べ、遠位の大腸癌の発症するリスクが1.50(95%信頼区間:1.04〜2.17)倍と有意に増えることがわかった。 また、魚や家禽類の肉の摂取量に対して牛肉や豚肉など赤身肉の摂取量の割合について見てみると、同割合が大きい方から3分の1の群では、同割合が小さい3分の1の群に比べ、遠位の大腸癌を発症するリスクが1.53(95%信頼区間:1.08〜2.18)倍と有意に増えることが明らかになった。 一方、魚や家禽類の肉を長期間多く摂取した人は、近位・遠位の大腸癌の発症リスクが減少する傾向が見られた。 論文の原題は「MeatConsumption
and Risk of Colorectal Cancer」。2005.1.14
◆「水銀」注意の魚、妊婦の摂取量引き下げ・厚労省見直しへ
キンメダイなどの魚に含まれるメチル水銀が胎児の健康に影響を及ぼす恐れがあるとして、厚生労働省が昨年、妊婦などに摂取量を控えるよう注意を促した問題で、同省は23日までに、注意対象魚類の見直しの検討を始めた。国際機関の基準値引き下げを受け、諸外国で注意事項の改定が相次いでいるためで、日本では対象外のマグロが注意対象に含まれる可能性も浮上してきた。
水俣病で問題になったメチル水銀の毒性は特に胎児に影響を及ぼしやすいとして、日本では1週間の耐容摂取量は体重1キロ当たり3.3マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムとの規制値を定めている。メチル水銀は食物連鎖を通じて大型魚や深海魚に蓄積しやすく、日本人は総水銀量の8割以上を魚介類から摂取している。厚労省は昨年6月、妊婦や妊娠の可能性のある人を対象にキンメダイ、メカジキの摂取は週2回以下(1回60―80グラム)を呼び掛けるなど魚介類7種の注意事項を公表。マグロ類も高い水銀濃度が示されていたものの、「1回の平均摂取量が少ない」との理由で対象から外れた。
[2004年12月24日/日本経済新聞 朝刊]
◆オレンジやレモンの匂いを嗅ぐと喘息が治まる
オゾンは強力な酸化物質であるだけでなく炎症作用を持ち、肺毒性を有することが示唆されています。オゾンは大気中に存在しますが、最近好中球や炎症部位でオゾンが作られていることが示唆されています。喘息マウスの実験から、オゾンを無毒化するオゾンスカベンジャー・limonene(リモネン)を嗅ぐと喘息症状が緩和されるとわかりました。limoneneはオレンジやレモンなどの柑橘系果実の芳香成分です。研究者等はlimoneneを含む匂いを嗅ぐと喘息症状が治まるという患者の話を耳にして今回の実験を思いついたとのことです。研究成果は2004年12月8日のBioorganic
& Medicinal Chemistry誌に発表されています。
◆肥満の人は歯周病にご注意 普通の人の1.5倍の罹患率
肥満者は、歯周病に約1.5倍かかりやすい――。こんな結果を大阪府立看護大の吉田幸恵教授や今木雅英教授らの研究グループがまとめた。21日から大津市で開かれる日本疫学会学術総会で発表する。
歯周病の危険因子は、加齢、糖尿病、喫煙習慣などが知られる。研究グループは、大阪府内の事業所に勤める「糖尿病ではない」20〜59歳の男性1470人について調べた。体重(キロ)を身長(メートル)で2回割ったBMI(体格指標)が18.5未満の人を低体重者、25以上を肥満者、その間を普通体重者とし、唾液(だえき)中の血液濃度で歯周病を判定した。
その結果、肥満者(388人)で16.75%、普通体重者(1033人)で11.52%がかかっていた。年齢や喫煙習慣を考慮すると、肥満者は歯周病に普通体重者より1.49倍かかりやすくなり、統計的に明確な差があった。年代ごとにみても、肥満者の罹患(りかん)率が上昇した。
脂肪から分泌する物質が骨を壊すなどして歯周病につながる、と考えられ、吉田さんは「肥満が歯周病の危険因子の一つである可能性が見いだされた」といっている。
◆「Polymeal」ダイエットで心臓血管系疾患リスクが75%以上減少
2003年、British Meidical Journal(BMJ)誌に「Polypill」は心臓血管系リスクを80%以上減少させるという論文が掲載された。その中で、いずれも効果と安全性が確認されている、アスピリン、葉酸、スタチン、降圧剤など6剤を1錠にまとめた錠剤を心臓血管系疾患予防薬として用いることが提案された。しかし、長期使用によるコストと副作用の可能性などが広範な適用を妨げている。これに代わる安全で”おいしい”戦略として、オランダなどの研究者らが提案したのは「Polymeal」だ。詳細はBMJ誌12月18日号に報告された。 研究者たちは文献を頼りに、エビデンスに基づく医学と同様の概念に基づいて、エビデンスに基づく「Polymeal」レシピを決めた。個々に心臓血管系疾患予防に有効と報告された食品を調べ、ワイン、魚、ダークチョコレート、果物と野菜、ニンニク、アーモンドを選んだ。 それぞれの食品のリスク減少効果は以下の通りだ。ワイン150ml/日が32%、週4回114gの魚は14%、ダークチョコレート100g/日は21%、計400g/日の野菜と果物は21%、2.7g/日のフレッシュ・ニンニクが25%、68g/日のアーモンドが12.5%。 次に、「Polypill」の論文で用いられたと同様の方法で、これらを組合わせた場合の効果を計算した。Framingham心臓研究の被験者たちのデータに基づいて作成された生命表に「Polymeal」の効果を適用した。その結果、「Polymeal」は50歳以上の一般集団の心臓血管系疾患の発症率を76%減らすことが示された。男性の場合、推定余命年数が6.6年伸び、心臓血管系疾患とは無関係な生活は推定で9.0年延長、女性ではそれぞれ4.8年、8.1年となった。 今回、心臓血管系疾患の予防効果を示す十分な証拠がある食品は他には見つからなかった。従って、オリーブ油やダイズなどは追加しても大きな効果は得られないだろう。それより1時間のウォーキングの方が有効と考えられる。また、「Polypill」と「Polymeal」を併用することも可能だ。 ニンニクの臭いを除いて、「Polymeal」には副作用は予想されない。従って「Polymeal」は、薬剤を用いない、安全かつ安価でしかも美味な「Polypill」の代替であることが明らかになった。 原題は「The
Polymeal: a more natural, safer, and probably tastier (than the
Polypill) strategy to reduce cardiovascular disease by more than
75%
◆韓国産サンチュから残留農薬 厚労省、輸入元に検査命
厚生労働省は24日、韓国産サンチュから、基準値を超える農薬「プロシミドン」が検出されたと発表した。食品衛生法に基づき、全輸入業者に検査を義務づける検査命令を出した。「健康に影響を与える心配はない」という。
15日に関西空港に到着したサンチュのうち、約60キロ分に基準値の3.4倍にあたる17ppmの残留農薬が、約110キロ分に1.4倍の7ppmがそれぞれみつかった。すでに消費された可能性が高い。
サンチュは、焼き肉を巻いて食べることで知られる野菜。03年の輸入量は約70トンで、ほぼ全量が韓国産だった。 また、中国産スッポンとトルコ産乾燥イチジクからも、抗菌剤や発がん性のあるカビ毒が検出され、検査命令を出した。
◆「痴呆」に代わる用語は「認知症」、厚労省が通知
「痴呆(ちほう)」に代わる用語を議論してきた厚生労働省の検討会は24日、「認知症」が最も適当とする報告書をまとめた。これを受けて厚労省は同日付で省内で使う用語を認知症に改め、都道府県や関係学会などにも使用を求める通知を出した。来年4月からは「認知症を知る1年」と題して集中的に広報し、一般にも定着させたいとしている。
報告書は「痴呆」が侮蔑(ぶべつ)的な表現で、早期発見・診断などの支障となっていると指摘。覚える、見る、話す、考えるといった知的機能を総称する概念である「認知」の障害という痴呆の本質に着目した「認知症」が、代替語に最もふさわしいとした。
これを受けて、厚労省は直ちに用語を変更。例えば「痴呆性高齢者」は「認知症(の)高齢者」に言い換える。介護保険法や老人福祉法など「痴呆」を使っている法律は次期通常国会で規定を改正する。
[2004年12月25日/日本経済新聞 朝刊]
◆喫煙男性:飲酒多いと、がん率2倍に−−厚労省調査
たばこを吸う男性が毎日、日本酒換算で3合以上飲酒をすると、時々飲酒する場合に比べ何らかのがんになる危険性が2倍以上になることが、厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模疫学調査で分かった。個別のがんの発生率を比較した調査はあったが、がん全体を比べたのは初めて。アルコールの分解酵素が、たばこに含まれる発がん物質を活性化している可能性があるという。 研究班は90〜01年にかけて全国9保健所管内の約7万3000人を追跡し、飲酒の頻度や酒量、喫煙の有無とがん発生との関係を調べた。 喫煙者の男性の場合、飲酒量が増えるほどがんの発生率も高くなった。1日2〜3合を毎日飲酒すると、がんの発生率は時々飲む人の1・9倍、毎日3合以上だと同2・3倍になった。 非喫煙者の場合、食道がんや肝臓がんなど飲酒との関連が強いものは酒量に応じて発生率は高まったが、がん全体の発生率は高くならなかった。 女性は毎日、飲酒する人が少なく、はっきりした傾向が出なかった。 研究班は「生活習慣病の予防も考慮すると、飲酒量は日本酒で1日1合(ビール大瓶1本、ワインでグラス2杯)程度に控えた方がいい」としている。【江口一】 毎日新聞
◆1日1杯の赤ワインで 前立腺癌リスクが半減
〔米ワシントン州シアトル〕 フレッドハッチンソン癌研究センター(FHCRC)公衆衛生学部門の研究員で,ワシントン大学(ともにシアトル)公衆衛生・地域医療学部疫学科のJanet
L. Stanford教授らは,1 日 1 杯の赤ワインを摂取することで,前立腺癌リスクを半減でき,その予防効果は悪性度の高い癌ほど大きいようだとする新知見をInternational
Journal of Cancer(2005; 113: 133-140)に発表した。
◆ファーストフードを週に2回以上食べている人は体重が重くてインスリン抵抗性が高い
1988-1994年のアメリカの太りすぎまたは肥満者の割合はおよそ23%でした。この割合は1999-2000年には30%に増加しました。成人に限っては実に3人に2人が太りすぎまたは肥満で、小児でも15%が太りすぎまたは肥満です。
18-30歳のアメリカ人3,301人の食生活や生活状況を調査したところ、マクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズ、Arby's、ピザハット、ケンタッキーフライドチキンなどのファーストフードを週に2回以上食べている人は1回未満の人に比べて10ポンド体重が重く、インスリン抵抗性が2倍高いという結果となりました。
2004年1月1日のLancet誌に発表された研究成果です。
‥> Reference
Fast-food habits, weight gain, and insulin resistance (the CARDIA
study): 15-year prospective analysis. Lancet 2005; 365: 36-42
◆クルクミンはアルツハイマー病の原因であるAβ凝集を防ぐ
カレーを黄色くしている成分・クルクミンは、アルツハイマー病の原因と考えられているAβの繊維化・蓄積を防ぎ、すでに形成されてしまったアミロイド斑を除去する作用があると分かりました。UCLAのGregory
Cole等が2004年12月7日のJ Biol Chem誌に発表した研究成果です。クルクミンのAβ凝集阻害作用はイブプロフェンやナプロキセンよりも強力であることが確認されています。
現在UCLA Alzheimer's Disease Research Center (ADRC) で臨床試験が実施されています。
‥> News Source
+ Indian curry may be the next Alzheimer's weapon / News-medical
‥> Reference
Curcumin inhibits formation of Abeta oligomers and fibrils and
binds plaques and reduces amyloid in vivo. J Biol Chem. 2004 Dec
7; [Epub ahead of print]
◆別れても好きな人は脳を狂わせる
6ヶ月以上続いたロマンティックな恋が終わってから4ヶ月以内の女性9人を対象にした調査から、愛した男性について悲しみに耽っているときには感情・やる気・集中力に関わる脳の領域の活動が低下するとわかりました。2004年12月のAm
J Psychiatry誌に発表された研究成果です。特に別れたことの後悔が大きい女性ほど、悲しみに耽っている時の脳の活動低下が著しくなっていました。
News Source
+ Breakups Can Be Mapped in the Brain / Reuters
‥> Reference
Regional brain activity in women grieving a romantic relationship
breakup. Am J Psychiatry. 2004 Dec;161(12):2245-56.
◆西洋フキ(バターバー、butterbur)の根の抽出物からできたサプリメント・Petadolex(ペタドレックス)は片頭痛の発現回数を減ら
片頭痛患者245人を対象にしたプラセボ対照試験で、西洋フキ(バターバー、butterbur)の根の抽出物からできたサプリメント・Petadolex(ペタドレックス)は片頭痛の発現回数を減らす作用があるという結果となりました。2004年12月28日のNeurology誌に発表された研究成果です。245人はペタドレックス75mg、ペタドレックス50mg、プラセボに振り分けられ、それぞれを4ヶ月間服用しました。この結果、ペタドレックス75mgを服用した群では頭痛の頻度が48%低下しました。一方プラセボでは26%でした(p
= 0.0012)。一方ペタドレックス50mgでの低下率は36%で、プラセボと有意差がつきませんでした。
‥> News Source
+ Butterbur cuts frequency of migraines / NutraIngredients
‥> Reference
Petasites hybridus root (butterbur) is an effective preventive
treatment for migraine. Neurology. 2004 Dec 28;63(12):2240-4.
◆頭痛もちには狭心症が多い
Atherosclerosis Risk in Communities Studyに参加した12,409人を対象にした疫学調査の結果、4時間以上の頭痛の既往がある人は狭心症も併発している割合が高いと分かりました。
2004年12月28日のNeurology誌に発表された研究成果です。特に前兆がある頭痛を経験している人ほど狭心症を併発している割合が高くなっていました。しかしながら、頭痛と冠動脈疾患に相関はありませんでした。通常、狭心症患者には冠動脈疾患がおきやすくなっています。
‥> News Source
+ UNC study finds link between migraines and the chest pain angina
/ herald-sun
‥> Reference
Migraine and other headaches-Associations with Rose angina and
coronary heart disease. NEUROLOGY 2004;63:2233-2239
◆バニリンなどの気持ちが良い匂いは早産新生児の睡眠時無呼吸の回数を減らす
早産新生児には睡眠時無呼吸がよくおきます。早産新生児の睡眠時無呼吸はカフェインやdoxapramで治療されますが、副作用があり効果も完全ではありません。
フランスのCenter Hospitalier Regional Universitaire de Hautepierreの研究者・Luc
Marlier等は、早産した赤ちゃんの匂い識別能力を調べる実験をし、その実験から、気持ちが良い匂いは新生児の呼吸数を上昇させることを突き止めました。気持ちが良い匂いは特に活動睡眠中の呼吸数を上昇させました。
この研究成果にヒントを得て、Luc Marlierは、カフェインやdoxapramの投与にも関わらず睡眠時無呼吸を繰り返し起こす早産新生児(妊娠24-28週で出産)14人の保育器内をバニリンという良い匂いで24時間満たしてみました。
この結果12人で、無呼吸の回数が36回低下しました。一方、バニリンの匂いがなくなると無呼吸の回数が増加しました。 無呼吸を減らす回数を減らす仕組みは明らかではありませんが、バニリンなどの気持ちよい匂いは睡眠時無呼吸を起こす新生児に有用と考えられました。
◆亜鉛サプリメントは食道癌や舌癌を防ぐ
ラットの実験から、亜鉛が不足すると舌や食道でのCOX-2の発現が亢進して癌の前駆段階である細胞の異常増殖がおきると分かりました。
2005年1月5日のJ Natl Cancer Inst誌に発表された研究成果です。 亜鉛サプリメントは食道癌や舌癌を防ぐ作用があるかもしれません。
◆肥満でも数キロやせれば肝機能改善も…順天堂大が解明
肥満している人は、体重を数キロ減らすだけでも低下した肝機能などが短期間で改善する可能性の高いことが、順天堂大学医学部の河盛隆造教授らの研究でわかった。
厳密な食事制限や激しい運動をしなくても、小さな目標達成が体調改善のカギ、という結果で、意志の弱いお父さんには朗報と言えそうだ。 研究では体重100キロ前後の30―40代の男性15人に、医師の指導のもと食事制限や運動を3か月行った。スタート時点では、全員が、体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)30以上という肥満体だった。 結局、3か月かけて体重は平均6・5%、6・7キロ減ったが、一般的に25以上が肥満とされるBMIは、指導終了後も全員28以上のままだった。 ところが、検査数値は肝臓内の脂肪が平均で38%も減少。中性脂肪や肝機能の指標となるガンマGTPの数値も正常値に近づいた。
(読売新聞) - 1月9日3時7分更新
◆タバコとコーヒーの組み合わせは血管に悪い
朝起きてすぐにタバコを吸ってコーヒーを飲むという習慣は、血管に悪いのでやめた方がいい、とギリシヤの研究者が警告している。
アテネ医科大学のチャラランボス・ブラチョプーロス博士は、タバコとコーヒーが合わさった場合の血管への影響を調べて、その研究を「米心臓学会誌」(Journal
of American College of Cardiology )最近号で報告した。
博士らは若い男女24人を対象に試験を行い、タバコを吸いながら、同時にコーヒーを飲ませた。すると、大動脈が一時的に硬くなったことが確かめられた。
大動脈の硬化の程度は、タバコやコーヒーを単独で取ったときよりも、両者を組み合わせた場合の方がはるかに大きかったという。
◆カモミール茶には生理痛を緩和したり、感染症を予防したりする効果がある
ボランティア14人にカモミール茶を毎日5杯2週間飲んでもらい、尿中化合物を調べたところ、カモミール茶を飲むと抗バクテリア作用のある物質・Hippurate(馬尿酸)と筋肉痙攣を緩和する物質・グリシンのレベルが有意に上昇すると分かりました。
この結果から、カモミール茶には、筋肉痙攣が原因でおきる状態、たとえば生理痛を緩和したり、感染症を予防したりする効果があると考えられました。
2004年12月21日のJ. Agric. Food Chem誌に発表された研究成果です。
◆(1/14)カモミール茶の治療効果が判明
動物モデルを対象にカモミール成分の効果を調べた研究は多いが、ヒトの代謝に対する研究はこれまでほとんど行われていない。農業および食品化学関連誌「Journal
of Agricultural and Food Chemistry」1月26日号掲載の研究では、かねてよりあらゆる疾患やストレスに効果があるとされてきたカモミール茶に含まれる成分によって、風邪や月経痛など様々な健康障害が緩和される可能性が判明した。 研究者らは、14人の被験者にジャーマン・カモミール(別名カミツレ)の花および葉を用いて淹れたお茶を、2週間にわたって1日にカップ5杯飲んでもらい、試験期間中およびその前後に毎日尿サンプルを採取して検査した。その結果、植物性化合物の分解生成物でフェノリックスとして知られる馬尿酸および筋肉の痛みや月経痛を緩和するグリシンの尿中濃度が上昇し、風邪に伴う感染と闘う抗菌活性が増大していた。カモミール茶は消化管の微生物叢を変化させると見られ、そのために尿中の馬尿酸およびグリシンが増加する。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの化学者Elaine
Holmes氏によると、被験者がお茶を飲むのをやめてもカモミール茶の効果は少なくとも2週間継続し、他種類のお茶にも同様の作用が見込まれる。また、他の研究では、お茶に抗癌特性があり、コレステロール低減などの健康上の利益に役立つ可能性が確認されている。グリシンは神経弛緩物質としても機能するが、お茶の鎮静作用はこれに起因すると考えられる。知見はおそらく科学な根拠を正確に反映するものである、と米ウィスコンシン大学で前立腺癌抑制における緑茶の役割を研究しているHasan
Mukhtar氏はコメントする。研究は、医薬品、機能性食品およびテクノロジー企業のオクスフォード・ナチュラル・プロダクツ社の資金援助によって行われた。
[2005年1月7日/Health Day News]
◆オリーブオイル中に豊富なオレイン酸は乳癌細胞の増殖を抑制す
乳癌細胞株を用いた実験から、オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、乳癌の増殖に関わるHer-2/neu
(erbB-2) の働きを阻害すると分かりました。またHer-2/neu を阻害するだけでなく、オレイン酸はにはHer-2/neu
をターゲットとするモノクローナル抗体・trastuzumabの細胞増殖抑制作用を増強する作用があると分かりました。 2005年1月10日のAnnals
of Oncology誌Advance Accessに発表された研究成果です。今後、研究者等はバージンオリーブオイルに乳癌抑制効果があるかどうかを調べる予定です。
‥> News Source
+ Oleic acid kills breast cancer cells in lab study / NutraIngredients
◆寒い冬は心臓病で死ぬ人が多い
冬は心臓の病気で死亡する人が多い。中でも、突然心臓のリズムが乱れ脈拍が止まる不整脈で死亡するケースが多い。
ワシントン大学(米ワシントン州シアトル)のリチャード・ページ博士は、冬と心臓病との関係を調べて、その結果を、雑誌「心臓リズム」(Heart
Rhythm)で発表した。
それによると、博士らは不整脈を経験したことがある人4450人を2年間観察し、その間に、心臓病で死亡したケースについて、死亡日時、季節、その人の誕生日、休日、週末など特別な日と関連しているかどうか、また地理的な関係はどうかなどについて分析した。
その結果、死亡が多い日には、特別な日や地理的要素との関連はなかったが、季節は大いに関係していて、特に冬期に心停止による死亡が多いことがわかった。
ただし、同じ不整脈の患者でも、埋め込み型除細動器などを装着している患者では、冬だからといって特に死亡するケースが多いということはなかった。
◆UKのFood Standards AgencyがビタミンAの摂取について注意を促した
イギリスのFood Standards Agencyが、肝臓などのビタミンAを多く含む食物の摂取は1週間に1回以内にとどめるべきとの注意をしています。ビタミンAの取りすぎは骨折を招く恐れがあるからです。
特に、閉経後女性や高齢者等の骨折のリスクが高い人は1日に1.5mg以内にとどめるべきとしています。
‥> News Source
+ Vitamin warning for liver lovers / BBC
◆アボガドにはルテインが豊富で前立腺癌細胞増殖抑制効果が高い
アボガド(カリフォルニア・アボガド)には他の果物に比べてルテインが豊富に含まれていると分かりました。また、ルテインには前立腺癌の増殖を抑制する作用がありますが、アボガドの抽出物はルテインのみ投与した場合に比べて前立腺癌細胞の増殖抑制効果が高いと分かりました。2005年1月のJ
Nutr Biochem誌に発表された研究成果です。
アボガドにはルテインのほかにビタミン(特にビタミンEが豊富)、カロチノイドなどが豊富に含まれており、その相乗効果で前立腺癌の増殖を抑制したと考えられました。
‥> News Source
+ Nutrient combo in avocados may inhibit prostate cancer / NutraIngredients
◆恐怖心は目の表情から相手に伝わる
脳が、他人の恐怖の表情をとらえるときには、主に目の表情の変化をとらえていることがわかった。米国と英国の研究チームの共同研究で、科学誌「ネーチャー」に報告された。同研究チームは、脳の扁桃体という部分が損傷している患者の診療と研究を行ってきた。脳の扁桃体が損傷したこの患者が他人の恐怖の表情を認知しないことから、すでに扁桃体に「恐怖の表情の認知」という大事な働きがあることを発表していた。そこで、今回は扁桃体の損傷で、なぜ恐怖の表情を認知できなくなるかを調べた。研究チームが患者の目線の動きを調べたところ、人の表情を読むときでも、目の周囲に目線を集めないことがわかった。そこで、「目の表情をよく見るように」と教えたところ、この患者も相手が「恐怖の表情」をしているとわかるようになったという。
◆最もストレスが大きい職業は、教師、救急車のスタッフ
英国のリバプール大学、マンチェスター大学などの心理学者が、「ストレスの大きい職業は何か」をテーマに、1万人以上の英国人を対象にして、仕事中はどんな心理的状態にあるかなど、アンケート調査を実施した。
その結果が1月14日発表されたがそれによると、一番ストレスが大きい職業は、学校の教師、救急車のスタッフ、ソーシャルワーカーであることがわかったという。
職業に共通しているのは、人と人が、いつも面と向かっていて、その場で問題に迅速に対処し、解決しなければならない仕事であるということだと研究者たちは言っている。
◆発芽玄米はアルツハイマー病を防ぐ
精白米または発芽玄米を2週間与えたマウスは、コーンスターチを2週間与えたマウスよりもMorris
water mazeテストおける記憶能力が有意に優れていました。また、アルツハイマー病の原因とされるAβを3nmol加えるとマウスは行動障害を起こしますが、発芽玄米を食べたマウスではAβによる行動障害がおきませんでした。この結果から、精白米と発芽玄米は空間記憶を改善する作用があり、発芽玄米はAβによるアルツハイマー病を防ぐ作用があると考えられました。2004年7月のBiol
Pharm Bull誌に発表された研究成果です。
‥> Reference
Effects of pre-germinated brown rice on beta-amyloid protein-induced
learning and memory deficits in mice. Biol Pharm Bull. 2004 Jul;27(7):1041-5.
◆脂肪で活性酸素増が原因 肥満の糖尿病治療に可能性
内臓などにたまった脂肪は、体に有害な活性酸素を増加させ、高血圧や糖尿病などを引き起こすことを下村伊一郎大阪大教授(内分泌代謝学)らが突き止め、米医学誌に16日発表した。 肥満による病気の原因の一端を解明したもので、マウスの実験で、活性酸素を抑えると糖尿病が改善した。人間での実用化が期待される。
下村教授らは、太らせて糖尿病になったマウスで実験。内臓の脂肪で、活性酸素が増えている一方、活性酸素を壊す酵素が減っていることを確かめた。 また、脂肪からできるホルモンのバランスが崩れ、動脈硬化を促進するホルモンが増えていることが分かった。(共同通信)
- 12月16日7時47分更新
◆アルコールは血管新生を促進して癌を引き起こす
100年以上前からアルコール摂取は食道、胃、肝臓、乳癌等のリスクを高めることが知られていました。しかしそのメカニズムは分かっていませんでした。ニワトリの胚を用いた実験から、アルコールは癌の血管新生を促進するVEGFの発現を促進すると分かりました。2004年12月13日のCancer誌に発表された研究成果です。VEGFレベルを上昇させるとともに、アルコールは腫瘍サイズを大きくして血管新生を促進しました。この結果から、VEGF発現レベル亢進による血管新生促進が、アルコールの癌化促進作用のメカニズムの一つと考えられました。
◆赤身肉を食べている人はリウマチになりやすい
2箇所以上の関節にリウマチ様関節炎を有する88人とコントロール176人を比較したところ、赤身肉を豊富に摂取している人はリウマチに2倍なりやすいという結果となりました。
2004年12月のArthritis & Rheumatism誌に発表された研究成果です。
脂肪の摂取量とリウマチのリスクに相関はありませんでした。したがって高タンパク質の摂取がリウマチに関連があると考えられました。
◆受動喫煙で乳がん2.6倍…厚労省調査
喫煙習慣がないのに職場や家庭などでたばこの煙を吸ってしまう女性は、そうでない非喫煙女性に比べて2・6倍も乳がんになりやすいことが、厚生労働省研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター部長)の大規模調査で分かった。
喫煙と乳がんの関係は、これまであまり明確でなかった。研究班は、1990年から10年間、岩手や長野など4県に住む40―50代の女性約2万人を対象に、生活習慣とがんなどの病気の関係を追跡調査した。その結果、閉経前の女性の場合、喫煙者が乳がんになる割合は、非喫煙者の3・6倍もあった。非喫煙者でも受動喫煙があると、乳がん発症率が2・6倍になった。閉経前は乳がん発生にかかわりが深い女性ホルモンの働きが活発で、たばこの影響が出やすいと考えられるという。閉経後の女性では、喫煙による差はみられなかった。
研究班の花岡知之・国立がんセンター予防研究部室長は「喫煙や受動喫煙を避けることが、乳がん予防の一歩につながることを示す結果」と話している。
(2004年12月4日 読売新聞)
◆鉛は白内障を引き起こす
低用量の鉛への暴露は様々な加齢性慢性疾患のリスクを上昇させます。60歳以上の男性795人を1991年から1999年にかけて追跡調査したところ、鉛の暴露量と白内障に関連があるという結果となりました。2004年12月8日のJAMA誌に発表された研究成果です。この結果から、鉛をなるべく摂取しないようにすれば白内障をある程度予防できると考えられました。
◆果物・スウィーティーはコレステロール降下作用がある
冠動脈バイパス手術を受けた43-71歳の高脂血症患者72人を対象にした30日間のプラセボ対照試験の結果、グレープフルーツとザボンを交配してできたスウィーティーのジュースを毎日100mlまたは200ml飲むとLDL(悪玉)コレステロールが低下して、血液の抗酸化作用が上昇すると分かりました。特に200mlを毎日飲んだ患者ではアルブミンレベルが上昇してフィブリノゲンレベルが低下しており、抗凝結作用の亢進が示唆されました。
2004年8月のJ Agric Food Chem誌に発表された研究成果です。
◆膝の上でノートパソコンを長時間操作していると受精能力が低下するかもしれない。あと陰茎の火傷にも注意
精巣の温度があがると受精能力が低下します。21-35歳の29人を対象にした試験から、座った状態でノートパソコンを太もももの上で操作していると左側と右側の陰嚢の温度がそれぞれ2.8℃、2.6℃も上昇するとわかりました。2004年12月9日のHuman
Reproduction誌に発表された研究成果です。この結果から、ラップトップコンピューターの使いすぎるとパートナーを妊娠させにくくなると考えられました。「ノートパソコンを膝の上で1時間操作していたら、ズボンとパンツを穿いていたにも関わらず陰茎を焼けどした50歳男性」の症例報告が2年前のランセット誌に発表されました。気をつけましょう。
◆10種類の匂いをかぐ能力でアルツハイマー病になるかどうかを診断できる
軽度認知障害患者150人とコントロール63人を対象にした試験で、特定の10種類の匂いを嗅げるかどうかでアルツハイマー病を発病するかどうかを明確に予想できるという結果となりました。Columbia
UniversityのDavangere Devanand等による成果で、結果はAmerican College of Neuropsychopharmacologyで発表されました。10種類の匂いとはイチゴ、タバコ、石鹸、メンソール、クローブ、パイナップル、天然ガス、ライラック、レモン、皮です。アルツハイマー病の初期には嗅覚に関わる神経軽度が障害を受けることが知られています。
◆インド産のハーブの20%から高濃度の重金属が検出された
ボストンの市庁舎から半径200マイル以内で入手可能な南アジア産のアユルベーダ・ハーブを調査した結果、70種類のアユルベーダ・ハーブのうち14種類(20%)から高濃度の重金属が検出されました。2004年12月15日のJAMA誌に発表された調査結果です。
これら14種類を販売元の用法通りに摂取した場合、基準値を超えて健康に害を及ぼす可能性があると分かりました。 2000年の調査では、アメリカで750,000人が関節炎や糖尿病を治療する目的でアユルベーダ・ハーブを使用しているという統計結果が得られています。研究者等は輸入した全てのサプリメントは検査する必要があると主張しています。
◆米社鎮痛薬に心臓病の危険 ネットで日本にも個人輸入
【ニューヨーク17日共同】米医薬品大手ファイザーは17日、声明を発表し、主力商品の一つである鎮痛薬「セレブレクス」使用者の心臓発作の発生率が未使用者に比べ2・5倍に上るとの調査結果が、外部研究機関から出されたことを明らかにした。
「セレブレクス」は「処方せんなしで個人輸入できる薬」としてインターネット上で日本語で紹介されており、日本でも一定数の利用者がいるとみられる。同社は、現時点で販売停止は検討していないとしている。 また米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは同日、ファイザーの別の鎮痛薬「ベクストラ」が心臓に負担をかける危険があるとして原則的に使用を見合わせるよう求める医師3人の書簡を掲載した。
(共同通信) - 12月18日9時13分更新
◆女性のイライラ解消 長崎大が発見、製品化も
長崎大医学部の篠原一之教授(神経生理学)らの研究グループが、マタニティーブルーや月経前緊張症などで引き起こされる女性特有の不安やイライラに効果のある香りを発見、ベンチャー企業が成分を化学合成して製品化した。
研究グループは、10―20代の女性21人に月経周期に合わせて9種類の香りをかいでもらい、倦怠(けんたい)感や意欲低下、イライラなどが軽減したかどうかを質問、回答を統計学的に解析した。その結果、東南アジア原産の花、イランイランの香りの主成分「βカリオフィレン」が、これらの症状改善に最も効果があることが分かった。
また、ベンチャー企業の「メディカルフレグランス」(本社秋田市)が出産直後の女性33人を対象に調べたところ、一般的なアロマオイルに比べ、産後の不安を和らげる効果が約3倍高いことも判明。
(共同通信) - 11月20日5時50分更新
◆大気汚染が動脈硬化を招く
大気に浮遊している微粒子が、動脈硬化を招き、心臓血管系の病気の原因になっていると、南カリフォルニア大学の研究者らが報告した。
同大学の医学部のニノ・クエンズリ助教授(環境科学)らが行った研究で、11月14日に米心臓学会総会(ニューオリンズで開催)で発表さ
れた。
博士らは、発電所、工場、自動車などから排出され、大気中を浮遊している汚染微粒子が、血管にどのようなダメージを与えているかを調べるために、ロサンゼ
ルスに住む40歳以上の住民798人について調べた。
被験者の年齢、喫煙習慣など、動脈硬化に影響を与える他の因子も考慮に入れてデータを分析して得られた結論によると、大気中の浮遊微粒子が、1立方メートル当たり10マイクログラム増えるにつれて、頸動脈の動脈壁が4.3%肥厚していることがわかった。
◆ビタミンEサプリメントを400IU/日以上摂っている人は死にやすい
およそ136,000人が参加した19件の臨床試験データをメタ解析したところ、サプリメントとしてビタミンEを高用量(400IU/日以上)摂ると5年以内の死亡リスクが5%上昇するという結果となりました。一方低用量のビタミンEを摂取すると僅かながら(1%未満)死亡リスクが低下しました。2004年11月10日のAnn
Intern Med誌に発表された研究成果です。
◆子宮頸ガンのワクチン、米とブラジルで有効
子宮頸ガンを防ぐワクチンの効果が、米国とブラジルでの臨床試験で証明された。
このワクチンは、子宮頸ガンを引き起こすヒトパピローマウイルスのうち、ガンとの関連が特に強い「HPV-16」と「HPV-18」に感染しないように作られたもの。試験結果は、11月12日発行の医学誌「ランセット」で報告された。
試験は、米国とブラジルの32カ所のクリニックで行われた。被験者は、15歳から25歳までの女性1113人。 被験者を、ワクチンを与えた組と、偽薬を与えた組の2つのグループに分けて、27カ月間観察した。その結果、偽薬組では10人が「HPV-16」に、4人が「HPV-18」に感染していたが、ワクチン組では、HPVウイルスに感染した人、あるいは
前ガン症状が出た人はゼロだった。
◆青年期→中年、体重7キロ増 心臓病に注意!
青年期から中年にかけて体重が約7キロ以上増えた人は、体重がほとんど変化しなかった人に比べ、心臓病になる危険度が5倍も高いことが、米ノースウ
エスタン大の研究で明らかになった。同じ肥満でも、体重の増えなかった人の方が心臓病になりにくかった。同大の予防医学研究チームが米国心臓病学会で報告
した。 18歳から30歳の男女2500人に協力を求め、15年間にわたり生活習慣や健康状態を追跡調査した。この間に7キロ以上体重が増えた人は80%
もいたが、このうち20%に高血圧や高脂血症、さらに血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくいなどの異常が見られた。一方、体重の変わらない
人たちでは、異常が見つかったのは4%以下だった。 こうした異常は、米国で「代謝シンドローム」と呼ばれ、運動不足などとの関連が指摘されている。代謝系の異常のうち少なくとも3つの要因が重なると、急激に心臓病のリスクが高まることが確認されている。
研究チームは「心臓病の予防には、体重を増やさないことが重要だ。食べ過ぎを防ぎ、運動することが大切」としている。 (2004年11月15日 読売新聞)
◆乳製品の摂りすぎは卵巣がんのもと
スウェーデンで実施された疫学調査・Swedish Mammography Cohortに参加した38-76歳の女性61,084人を平均13.5年間追跡調査した結果、牛乳などの乳製品を豊富に摂っている女性は上皮性卵巣癌の一種である重篤な卵巣がんになるリスクが高いと分かりました。牛乳を毎日2杯以上飲んでいる女性は牛乳を飲まないまたは滅多に飲まない女性に比べて重篤な卵巣がんに2倍なりやすいという結果となりました。また、乳製品を1日に4回以上食べている女性は、乳製品を食べる回数が2回/日未満の女性に比べて2倍重篤な卵巣がんになりやすいという結果となりました。
◆エッセンシャルオイル入りのローソクはブドウ球菌や大腸菌を死滅させる
11 beta-pineneやメイチャンなどのエッセンシャルオイル入りのローソクを燃やすと、食中毒や感染症を引き起こすブドウ球菌や大腸菌を死滅させられるとわかりました。
サウスハンプトン大学のLindsey GauntやSabrina Higgins等がInternational Electrostatics
Society of JapanとElectrostatics Society of Americaの合同学会で発表した研究成果です。
数種類のエッセンシャルオイルを試したところ、beta-pineneとメイチャンがブドウ球菌と大腸菌の死滅作用が最も強いという結果となりました。また、オレンジオイルは大腸菌によく効き、パルマローザはブドウ球菌に効果がありました。
◆松の樹皮由来のポリフェノール・ピクノジェノールは長時間の飛行機旅行でおきる血栓症を予防する
血栓症のリスクが中等度から高度な人198人を対象にしたプラセボ対照試験で、フランス南西部に生息する松の樹皮由来のポリフェノール・Pycnogenol(ピクノジェノール)は長時間のフライト(飛行機旅行)でおきる血栓症を予防する効果があるという結果となりました。2004年10月のClin
Appl Thromb Hemost誌に発表された研究成果です。被験者は2群に別れ、フライト2-3時間前、フライト6時間後、フライト終了の1日後にそれぞれPycnogenolを200mg、200mg、100mgまたはプラセボを服用しました。平均フライト時間は8時間15分です。その結果、プラセボを服用した被験者では5.15%に血栓症がおきたのに対し、Pycnogenolを服用した被験者には血栓症は起きませんでした
◆ラズベリー中の成分・ellagic
tanninは腸内の悪玉菌の成長を止める
ラズベリー中に含まれるellagic tanninというフェノールは腸内の善玉菌には影響を与えず、悪玉菌の成長を選択的に阻害する作用があるとわかりました。現在Journal
of Applied Microbiology誌に投稿中の研究成果によると、ellagic tanninはサルモネラ、ブドウ球菌、camphylobacter等の成長を阻害しました。今後この物質は、旅行者の下痢を防ぐサプリメントや機能食品、または悪い菌の繁殖を防ぐパッケージの開発に積極的に利用されていくでしょう。
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