特集@ 私のオーリングテスト診察 問題点と工夫
いまい内科クリニック 院長 今井浩之 先生
(アドバンスセミナー 平成20年4月19日〜20日 昭和大学歯科病院にて)Bi-Digital
O-Ring Test medical examination -Problems and Device-
Hiroyuki Imai Imai Medical Clinic
M.D.,ORT-MD(2Dan) (Bi-Digital O-Ring Test Advanced
Seminar, April,19-20 at Showa University)
大村教授によって創始開発されたBi-Digital
O-Ring Test
(OMURA,Y.,1977-2008;以下BDORT)を用いて診察していると西洋医学的アプローチのみでは、理解や治療がむずかしい病気、状態でも臆することなく立ち向かい治療に取り組むことができ、その効果はすばらしいものです。私のクリニックでは、通常の診察の中で1週間のうち週3日間だけBDORTの予約診察の時間を設け、そこで1日1〜3名くらいのむずかしい患者さんを診察しています。BDORT診察では治療に主に漢方薬を使います。うまく選ぶとウイルスや細菌、水銀などの重金属を除去するのに大変有効です。診察室のパソコンなどはアースをとってありますが、できるだけ電源を切って、コンセントも抜いています。BDORTを用いて治療の前後で、薬が病巣部位に取り込まれているか否か、およびアスベスト、アセチルコリン、テロメア、結核菌、クラミジア、トロンボキサンB2、β-エンドルフィン、Hgなどの各種パラメーターがどの程度改善したかを時間の許すかぎり調べます。単に良くなった、良くならないでなく、日々の診療の中で、「なぜ良くならないのか」、「なぜまた悪くなってきたのか」を徹底的に追求していきます。その時自分の日々の診療だけでなく、学会での他の先生方のご発表を参考にして診療に取り入れてゆきます。ですからBDORT学会では関連のある医科部門だけではなく、歯科部門や鍼灸部門などの発表も常に関心を持って聞いています。
では、最近私が注目しているDrug
up take inhibit factor(薬剤取込阻害因子)をご紹介します。
@
姿勢のゆがみ
偏った姿勢(いつも同じ方向に横になる・横座りするなど)は癖になっていることが多く、首や腰にゆがみが生じ、体の中のエネルギーの流れにひずみができるためか、薬が患部に行きにくくなります。逆の慣れない方の姿勢(いつもとは逆に横座りするなど)を取るなど、体のゆがみを矯正する方向に体を動かすと、一時的に病巣部位に薬が取り込まれやすくなります。治りにくい患者さんほどBDORTで薬を選択して飲んだだけでは、なかなか病巣部位に薬が行きません。ですから、薬が病巣部位に取り込まれたと確認できるようになるまで、徹底的にDrug
up take inhibit factorを探し出して排除します。その一つとして姿勢は大変重要だと考えています。私の経験では、首や肩、腰などの力を抜いたリラックスした良い姿勢で、胸を軽く張り、尾骶骨を少しお尻の中に収めると病巣部に薬が行きやすくなります。それでも首や肩、あごに薬が行かない場合は、口を半開きにして口の周りの筋肉を緩めてもらいます。これは歯科の藤巻先生の顎関節の筋緊張を取るためのご発表を参考に、安全で簡単、患者さんがやりやすい方法として利用しています。それではここで患者さんに私がお勧めしている体操を皆でやってみましょう。これは数年前に鍼灸の金井先生から教わったものをさらに簡単にしたものです。
まず、かかとをつけて足を60度くらいに開いて立ちます。両手を上げて、足の親指の付け根に力を入れ、かかとを上げながら背伸びをします。すると腰や背中のゆがみ、筋肉のこりがある場所に痛いような気持ち良いような感覚がします。違和感を覚える所を意識して、そこの筋肉が伸びてほぐれるようにゆっくり何度か背伸びをして下さい。倒れないように何かに少しもたれかかってもかまいません。もう一つは、肩から腰と手の凝りと、首のゆがみをとる体操です。両手を伸ばし、手のひらを上に向け、一方向へ手を回していきます。手を回しながら、同方向へ首を180度もしくは回せるところまでゆっくりねじります。腕の筋肉と親指の付け根の所が伸びることを意識して行ってください。大概の方は右利きですので、体が自然と右にねじれているようです。7割くらいの患者さんは、上体を左に半身斜め15度くらい回し、首をさらに正中から45度くらいまで回すとオーリングが胸腺のところで開くようになります。この姿勢が、体のねじれを矯正する動きになっているということです。患者さんが正面を向いた姿勢でBDORTで異常が出なくても、ゆがみを矯正した姿勢をとると、隠れていた異常を発見できる事があります。一度良くなっても次の診療で、また悪くなっている事も良く経験します。難治性の舌痛症の患者さんの例ですが、診察室で治療をして良くなっても、次に来た時には戻ってしまいます。原因を探ると、寝ている姿勢に行き着きました。どういう姿勢が良いのかを探したところ、寝た時に腰が伸びすぎること良くないので、足を開き、膝を軽く曲げる、枕を合うものに替えるなどの指導を行いました。
データの改善目標としては、トロンボキサンB2が1ng以下(これは前田先生のご発表による)、また、大村先生の最近の発表を参考に、テロメアが常に500ng〜540ngを維持することをめざして治療をしたいと思います。
A
歯のかみ合わせと入れ歯
患者さんの中には、片噛みしている方がとても多いので、両方の奥歯でバランス良く噛むように指導します。いつもと反対側の奥歯で噛む真似をするだけでもDrug
up take
になります。また、大村先生、藤巻先生がご発表されているように入れ歯にアスベストの反応が認められることが多く、小型の超音波洗浄装置(メガネ用等)で5分から10分以上洗浄してもらいます。入れ歯のアスベストの反応を0.01mg前後に減らしてから口の中に戻すと病巣部のアスベストの反応も直ちに改善する場合があります。
B
下着、衣類、シーツや椅子などの重金属、ウイルス、細菌による汚染
下着、衣類、シーツや椅子などにBDORTで体表に見つかった重金属、ウイルス、細菌などの異常と同じ反応が見つかる場合があります。たとえば、私の診察室の椅子です。自分が風邪をひいた時、診察室にいるとみるみる調子が悪くなったので、調べてみたところ、買った時はオーリングテスト(+)のものを買ったはずの椅子が、おしりと背中にあたる部分が(−)になっていました。恐らく、自分の病気の異常が汗などで沈着したためだと思います。これを改善するには、汚染されている部分を下着やシーツなどは小型の超音波洗浄装置等で洗浄するとBDORTの異常反応が軽減します。また、蛍光灯や白熱灯に5分間以上、距離を2〜5cmはなしてかざすことで、ウイルス、細菌などの反応を減らす事ができます。この場合Hgの反応は変化しません。試してみる場合は、くれぐれも下着を焦がしたり火事を起こしたりしないよう注意し、自己責任で行って下さい。
C
言葉による影響
言霊(ことだま)という言葉がありますが、日頃発する言葉にもネガティブな作用やポジティブな作用が有ります。例えば、「ありがとう」という言葉をいうと、オーリングが胸腺で開くようになります(ポジティブ)。また、「あー疲れた」と言うとみるみるアセチルコリンやテロメアが下がります(ネガティブ)。かわりに「今日もいっぱい働いた!!」と言い方をかえるだけで、アセチルコリンとテロメアが上がり、元気が出てきます(ポジティブ)。ぜひ皆さんも笑顔で言ってみて下さい。今後も意識の使い方のゆがみや精神的ストレスが軽減するような言葉を探してみたいと思っています。
D
食事 食器
これは、下津浦先生に教わった事ですが、患者さんに朝、昼、晩の3食の食事の写真とよく使う食器に水をいれて写真を撮ってきてもらいます。何も手に持たずにBDORTをして(−)なもの、アスベストや水銀のサンプルを手にもってBDORTをすると(−)に反応する食品や食器があります。見つけ出した悪いものをできるだけ排除してもらいます。
まとめ
今まで重金属の沈着やウイルス、細菌感染を治療しても次の診察までに元に戻ったり、しばらく良くなってもまた悪化する患者さんが多くいました。重金属の沈着やウイルス、細菌感染は病気の原因ではなく、体のゆがみやさまざまな環境の悪化のために抵抗力が弱った所に生じる結果ではないかと考え、「病気の背景やより本質的なものは何か」そして「できるだけシンプルで根本的な治療」を追及して行きたいと思います。
特集A
当院で行っているBi-Digital
O-Ring Testと歯周病菌のもつタンパク毒(HSP)が人体へ及ぼす症状として、掌蹠膿庖症、胃潰瘍の悪化、妊婦における未熟児及び早産、アテローム動脈硬化症について
コスギ歯科医院 院長 小杉宗弘 先生
Bi-Digital
O-Ring Test medical examination and the symptom that
heat shock protein (HSP) of oral bacteria gives to the
human body -the aggravation of the gastric ulcer, a
premature
infant and premature birth, atheroma arteriosclerosis-
Munehiro Kosugi
Kosugi Dental Clinic D.D.S.,Ph.D., ORT-DDS(2 Dan)
本日は、当院で行っているBi-Digital
O-Ring Test(OMURA,Y.,1977-2008;以下BDORT)を紹介するとともに、歯周病菌のもつタンパク毒が影響する全身症状についてお話ししたいと思います。
a
術前のチェック 麻酔液、患者の健康状態、投薬のチェック
麻酔液のチェックは必ず行います。選ぶ時は、試薬テストを行います。また、手術する前に、気分が悪くなる患者さんにBDORTをおこなうと、大陵、印堂で開く方が多くいらっしゃいます。
b 唾液あるいは血液によるHCV、HIV、HBVのスクリーニング
歯科に来られる患者さんの中には、肝炎やHIVの方もいらっしゃるかもしれません。患者さんの口腔内の唾液を綿球で吸い取って、プラスチックのケースに集めてBDORTでしらべます。
c パノラマレントゲン写真 O-リングテスト用RCSを併用した骨粗鬆症および脳梗塞の危険性の検索
パノラマレントゲン写真から骨粗鬆症の状況がわかります。女性ホルモンが少なくなると骨粗鬆症が進みますが、骨粗鬆症になると歯周病になる確立が2倍に高まるといわれています。下顎骨の下縁の厚みと骨粗鬆症は比例していると思います。また、パノラマレントゲンから頚動脈が見えますので、そこにプラ−クがたまっていると、白濁像が見え、それが脳につまって脳梗塞を起こす危険性も予測できます。しかし、あくまでも歯科では骨粗鬆症や脳梗塞という診断は下せませんので、病院を紹介するなどしています。
d 金属アレルギーの検査
金属アレルギーの患者さんをみていますと、皮膚炎や舌痛症などが多いと思われますが、意外と頭痛などのうつ病関連症状もあるように思います。金属はイオン化しないと皮膚へは入りません。汗をかく季節は上手く検査できない事があるので、金属イオン溶液を使用してのBDORTを活用しています。もし、パッチテストをする場合は、上腕ではなくわきの下の裏あたりに張ると非常に良く出ます。
e 歯周病菌のもつタンパク毒(HSP)が人体へ及ぼす症状として、掌蹠膿庖症、胃潰瘍の悪化、妊婦における未熟児及び早産、アテローム動脈硬化症
歯周病菌の持つタンパク毒(HSP)ヒートショックプロテインは人間が自分の細胞を守る為にもつHSPと形態的に等しい構造関係(ホモロジー)が高く、アレルギー反応を容易に引き起こします。そこに金属アレルギーと、ウイルス感染が伴うと症状を悪化させる事が考えられます。手のひらや足の裏に水疱や膿疱ができる皮膚病である、掌蹠膿庖症も原因の一つに金属アレルギーがありますが、金属アレルギーが全ての原因ではなく、この歯周病菌のHSPによるものもある事が分かってきました。また、歯周病と胃潰瘍も密接に関係しています。胃の中のヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter
pylori)と、歯周病菌のカンピロバクター・レクタス(Campylobacter
rectus)のHSPはホモロジーが大変高い為、互いが引き起こす病状に影響を与えています。BDORTによりお互いの交通もわかりました。ですから、これらの菌が原因の場合は、胃の治療を行っても、歯周病の治療もきちんと行わないといけません。妊娠中におきた歯肉炎が早産や未熟児を引き起こすことがあります。胎盤でつくられるホルモンは胎内に流れていて歯の周囲からも染み出ます。ホルモンを栄養として爆発的に増えるインターメディア菌(P.
i菌)という細菌があります。インターメディア菌が増えると歯肉から出血しやすくなります。出血するとポルフィロモナスジンジバリス菌(Pg菌)といった歯周病菌が血液に集まってきます。そのため、妊娠すると普段より歯肉炎になりやすくなります。そして、これらの菌が持っている内毒素(LPS)は血管を通り、胎盤へ移動すると、子宮が収縮したり、子宮頸官の拡張が起り、早産の危険性が高まります。その危険性は腕などでBDORTより菌のLPS量を計測することでわかります。産後に歯が悪くなるという事がよく言われますが、歯科では、出産したから歯が悪くなるのではなく、歯周病のリスクが高まる妊娠中にきちんと歯の管理をしない為だと考えられています。このメカニズムからも分かるように、妊婦さんは、いつも以上に歯のケアをきちんと行う事が大変重要ですので、当院で妊婦さんが来られた場合は必ず周知するように心掛けていますし、何とか産婦人科の先生方にもご協力いただければと思います。血小板に入り込んで移動した歯周病菌は血管内膜へのプラーク付着に関与しまし、アテローム動脈硬化症を引き起こします。BDORT検査により当院の重篤な歯周病患者の心臓の冠動脈にPg菌、デンティコーラ菌(Treponema
denticola)の付着が示唆されました。今後も歯周病菌等の口腔環境がもたらす全身症状なども研究しながら、BDORTを用いた有益な治療を目指してゆきたいと思います。
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