鍼灸・漢方併用治療にBDORTを用いた実例報告と実技実習
シマヤ真鍋漢方薬局 :琴平シマヤ鍼灸院 真鍋 立夫 先生
The
report and the demonstration that used Bi-Digital O-Ring
Test for acupuncture moxibustion / Chinese medicine
combination treatment
Tatsuo Manabe
Pharm.,Ph.D., Cert. ORT-PHARM(1Dan)
このたびの発表は一般症例報告ではなく、鍼灸師あるいは薬剤師として、鍼灸・漢方の臨床に
Bi-Digital O-Ring Test
(OMURA,Y.,1977-2008;以下BDORT)を用いた時どのような問題があり、またどのような利点があるかを、全く私見として考察し報告してみたいと思います。高齢化社会を迎え、家族の看護をしなければならない方も多くおられると思います。最初にそういった症例を紹介したいと思います。
第一の症例として、不安神経症もしくは軽鬱状態の女性ですが、元来の神経質並びに胃弱体質でした。姑が脳梗塞の手術に失敗して植物状態に近い事になってしまったため、お世話をされていましたが、体力的にも精神的にも限界に近い状態になってしまいました。症状としては、不眠、耳鳴り、不安感、体がだるい、いたたまれない気分になる、頭が割れるように痛いなどが続き、さらに他の家族の無理解や無遠慮な物言いなどがつらくて、ひとりで買い物にも行けない不安状態になり、慢性的な頭痛や不眠に苦しんでいました。こういう方は東洋医学的には元来やせ方で、神経質で気虚という状態になりやすい状態です。気も身体も疲れて肝と脾の調和が崩れた状態になっていました。それから8年間くらいの看病の末に姑さんが亡くなられたので、少し楽になりました。神経症状の方は、同じ漢方薬は2、3日は効きますが、その後は合う漢方薬が違ってきます。ですので、同じくすりを1週間は出せないので、その度に薬をチェックし薬を変えてゆきました。基本的に病理は変わりません。漢方には、症状毎にたくさんの漢方薬がありますが、BDORTを知らない前は、どの漢方薬を使えばいいのかというのはほとんど手探りでした。BDORTを使って薬を選択する事を覚えてから、経験で薬を選んでからBDORTでチェックしますので、自信を持って処方できるようになりました。漢方薬は使い方を間違うと、症状を悪化させてしまう危険性もありますが、BDORTでチェックして選択した漢方薬は悪化した事はありません。
BDORTによる漢方薬の選択する際にポイントする箇所は@漢方的病理診断から最も関連深いポイント(例えば、虚血の場合なら左臍傍下の大巨穴)A五蔵弁証では代表点B症状のある局所Cアルミホイルを使い(−)を探すDすべての原穴(12穴)を調べて最も(−)の反応のあるところ、から選びます。ポイントが分かれば、自分であたりをつけた漢方薬をBDORTで適合を調べます。さらに、適合薬と思われるものを胸腺が変化無くO-リングが開くかを調べます。時に、BDORTで漢方5種類を一度に飲むと良いなどと選択されるときがあります。試してみると、本当に効果があります。普通の漢方医学ではこのような使い方はしませんがBDORTだからこそできることだと思います。
また、これは私の経験からですが、特に気証の患者さんは薬が少ないほうがよく効くように思います。不思議な事ですが、苦くて普段は飲めない薬でも、BDORTで適合している薬は、体が欲しているためか、それほど苦労なく飲めたりします。漢方では味も薬の作用の一つという考えがあります。そして、最終的に薬が決まって、一番大切なことは、患部へ薬を行かせることです。問題はそれが非常に大切だという事で指導しても、患者さんはなかなかやってくれないのが現実です。
第2例はパーキンソン氏病の患者の治療に際してです。
まず、レーザーポインターでXYスキャンニングを行い、疑わしいところを重点的にアルミホイルで範囲を絞ってゆき、最後は指示棒によってHgの濃度密度の高いところをマッピングしました。鍼灸治療並びに漢方薬及びサプリメントを種々用いて、手足の震えや上肢の髭剃りがし難いなどの症状が改善し、現在も継続治療を行っています。パーキンソン氏病は黒質にAlが沈着している場合が多いようですが、この患者はAlのみならずHgも沈着していました。鍼灸やサプリメント及び漢方薬を手に持って調べると、AlやHgがよく減少する事がわかります。臨床結果の現実では、なかなか減少しませんが、症状は悪化することなく手の震えや初動時のすくみ症状は改善しています。現在はもっと治癒状態に近づけるために努力しています。私は、鍼灸治療とは胎内の五蔵を中心とする生命維持システムの情報が体表に投射された、経絡・経穴に鍼、または灸などによる補瀉というテクニックによって情報を送り込み、体内の自然治癒バランスのひずみを調整して、自己治癒力を増強させようとする情報操作医療であると考えています。鍼灸漢方的な診断によって何の経絡がバランスを失調させているのかを知ろうとする事は最も重要なことです。どの経絡の働きが低下したり、興奮したりしてバランスをこわしているのかをBDORTによって調べることができますので、大変ありがたいです。 (デモンストレーションの様子) |