(1)「活性酸素」とは |
○強い酸化力を持った酸素のことで、呼吸によって取り入れた酸素の1〜2%が変質し
たもの。 |
○本来は、体内に侵入してきたウイルスなどを攻撃する役割をするが、一定量を超えると自らの細胞をも酸化させてしまう |
(2)「活性酸素」が増える原因 |
@紫外線の増加:皮膚の細胞内に活性酸素が発生し、肌機能を低下させたり、コラーゲンやエラスチンなどの肌の弾力繊維を破壊し、しわやたるみを生じさせる。さらに、シミの原因となるメラニン色素を生成する。 |
Aストレス:ストレスを受けると、血流量が低下し、それが元に戻るときに活性酸素が発生する |
B過労:極度の疲労状態は免疫機能を低下させ、ウイルスが侵入しやすくなり、それを攻撃するため、活性酸素が増える |
C過激なスポーツ:激しい運動は大量の酸素を必要とするので、活性酸素も大量に発生する |
Dタバコ:タバコの中のニコチンやタールなどの有害物質は、活性酸素の一部である過酸化水素を発生させる。また、抗酸化物質であるビタミンCを破壊してしまう。 |
Eアルコール:過度のアルコールの摂取により、肝臓で解毒、分解されるときに大量の活性酸素が発生する |
F大気汚染:自動車や工場などから排出される窒素酸化物やイオウ酸化物は、体に悪影響を及ぼすため、活性酸素が発生する。 |
Gその他:自然環境の汚染状態、電磁波の影響、肥満なども、活性酸素を発生させる原因と考えられている |
(3)主な「活性酸素」 |
・スーパーオキサイド:細胞内で酸素からエネルギーを作るときに発生する、最も多い活性酸素。 |
・過酸化水素:スーパーオキサイドと水分子が反応して作られる活性酸素で、強い透過性があり、細胞膜を容易に通過する |
・ヒドロキシラジカル:過酸化水素が細胞内の鉄や銅の金属イオンと反応してつくられる活性酸素で、細胞を次々と酸化させていくため、ガンやその他の生活習慣病の原因になりやすい。 |
・一重項酸素:放射線(X線)や紫外線にさらされると大量に発生する活性酸素で、酸化力が最も強く、皮膚ガン他様々な生活習慣病の引き起こしやすい。 |
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(4)「活性酸素」より体が受ける影響 |
○脳:脳は酸素の消費量が多く、酸化しやすい物質が多いため活性酸素が発生しやすい場所で、脳梗塞や痴呆症などが関与しているといわれている |
○目:紫外線や電光などを直接浴び、白内障などの目の老化をまねきやすい |
○肌:紫外線を直接浴びるので、肌の老化をまねきやすい |
○肝機能:解毒や代謝の器官で、活性酸素が発生しやすく、肝機能の低下で免疫力も低下、疲れの原因になる |
○動脈硬化:血液中の免疫システムは、活性酸素によって酸化された悪玉コレステロールを攻撃するが、それによりさらに多くの活性酸素が発生し、免疫物質自体も変質して血管の中にたまり、動脈硬化の原因となる |
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(5)「活性酸素」から体を守る「抗酸化物質」 |
@体にもともと備わっている酵素 |
A脂溶性ビタミン |
・ビタミンE: |
ヒドロキシラジカル、一重項酸素を消去
→大豆油、紅花油、コーン油、ひまわりの種、など |
・トコトリエノール: |
ビタミンEの40〜60倍の抗酸化作用
→パーム油、米ぬか、大麦油、小麦種子など
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・カロチン: |
α−カロチン、β−カロチン共に一重項酸素を消去
→α−カロチン:パーム油から抽出
β−カロチン:さつまいも、にんじん、赤肉メロン、ほうれん草などの濃い緑色の葉野菜 |
・ルテイン: |
紫外線から目を守る
→ほうれん草、クロレラ |
・リコピン: |
抗酸化力が非常に高い。ガン、高血圧予防や改善に効果が期待できる
→トマト、スイカに含まれる赤色成分) |
・アスタキサンチン: |
過酸化脂質の生成を防ぐのはビタミンEの100倍、一重項酸素の消去はβ−カロチンの10倍。
→鮭、イクラ、エビやカニの殻 |
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B水溶性ビタミン |
・ビタミンC: |
活性酸素に真っ先に対抗するビタミン。スーパーオキサイド、一重 項酸素に対抗し、酸化したビタミンEをもとに戻す。
→パイナップル、ブロッコリー、ピーマン、赤肉メロン、イチゴ、オレンジ、キウイ、グレープフルーツなど |
・ビタミンB群: |
一重項酸素、ヒドロキシラジカルに対抗し、酸化したビタミンCをもとに戻す
→B1:豚肉、牛肉、豆類、小麦胚芽など
B2:鶏肉、魚肉、ブロッコリー、ほうれん草、乳製品など
B6:バナナ、アボカド、鶏肉、牛肉、卵、大豆、クルミなど
B12:アサリ、カキ、タラバガニ、ニシン、鮭、マグロなど
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Cミネラル |
・セレン: |
抗酸化酵素のグルタチオンペルオキシターゼの合成に不可欠で、過酸化水素を無毒化したり、過酸化脂質を消去し、肝臓を守る
→ロブスター、ブラジルナッツ、あさり、カニ、カキなど
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Dクルミポリフェノール |
・ナッツ類にはビタミンEが多いため油脂分が多いのに保存性が高いが、クルミはビタミンEが少ないのに酸化しにくい。これはクルミが最も抗酸化パワーの強い特有のポリフェノールを持っているからで、スーパーオキサイドを消去する働きが優れている。 |
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(6)「抗酸化ネットワーク」 |
○以上のような様々な抗酸化物質を1種類だけではなく、何種類も摂取することによ
り、体の中に「抗酸化」のネットワークを作り、活性酸素に対処することが必要
(例)ビタミンCは、ビタミンEに足りなくなった電子を補ってもとに戻す
β−カロチンはビタミンEの吸収力をアップさせる
→いろいろな成分が互いに補い合ったり、相乗効果を高めたりしている |
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☆バランスよく抗酸化物質を摂取して、活性酸素を適度な量に保ち、生活習慣病などの病気や肌の老化などに気をつけて、若さと健康を維持しましょう!
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