一般的に、「コレステロール」が多いと、動脈硬化や心筋梗塞になりやすいと言われていますが、最近では「中性脂肪」が多い場合も動脈硬化につながることが分かってきました。健康診断でコレステロール値に問題がなくても、中性脂肪値が高い人もいます。
また中性脂肪が原因で、肝臓に中性脂肪のたまる「脂肪肝」から、「肝炎」、「肝硬変」へと進行することも分かってきています。
今回は「中性脂肪」についての情報をお届けします。
vol.3 『生活習慣病 コワイ中性脂肪』
(1)「コレステロール」と「中性脂肪」の違い
両方とも血液中の脂質ですが、
・ コレステロール→細胞の膜やホルモンなどの材料となる
・ 中性脂肪→体を動かすためのエネルギー源となる
(2)中性脂肪のしくみ
@ 食べ物から摂取した脂質から小腸で合成されたり、脂質や糖質、アルコールから肝臓で合成されたりする
A 血液には溶け込むことができないので、「アポたんぱく」というたんぱくと結びついた「リポたんぱく」として血液に入り血管内を巡る
B 身体活動のエネルギー源として使われる
もしくは、 余分な中性脂肪は全身の脂肪組織に蓄えられて、必要な時にエネルギーに変えられる
(3)中性脂肪の原因
● 主な原因は「偏った生活習慣」です。
・ 食べ過ぎ:過剰なエネルギーが体内に入る
・ 運動不足:エネルギーが消費されず蓄積される
・ お酒の飲みすぎ
★健康チェック
・肥満ですか?
→BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が25以上=肥満
+おへその部分の胴回りが、男性85cm以上、女性90センチ以上なら「内臓脂肪型肥満」(腸管などに脂肪がついている)です。
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(注)☆肥満ではない人(BMIが25以下)でも、内蔵に脂肪がたまっていることがあります。安心はしていられません。 |
【食生活】
・ おなかいっぱい食べますか?
・ 夜食が多いですか?
・ アイスクリームなど甘い食べ物や清涼飲料水などが好きですか?
・ お酒をよく飲みますか?
・ 緑黄色野菜をあまり食べませんか?
【運動習慣】
・ あまり動かない仕事ですか?
・ 歩くこと、運動することが少ないですか?
→以上の質問に「はい」の人は内臓脂肪をためやすい人です。
(3)「中性脂肪が多いと・・・」
●中性脂肪が多過ぎる状態を「高脂血症」といいます。(150mg/dl) |
→動脈硬化を促進させてしまう |
・動脈硬化:コレステロールを運ぶリポタンパクに「LDL」と「HDL」がある。「LDL」は悪玉で血液中の量が多くなると、血管壁に入り込んで酸化、沈着する。→白血球の一種「マクロファージ」が参加したLDLを取り込んでドロドロの塊を作り、血管内が狭められてしまう。 |
●中性脂肪が多いと |
@血管壁には沈着しないが、量が多いと小さなLDLが増え、より早く血管内に入 り込んで酸化する |
Aリポたんぱくが分解される時にできる「レムナント」という老廃物が増え、血管壁に沈着する |
B血管壁に付着したコレステロールを回収する善玉の「HDL」が減少し、さらにコレステロールが沈着する |
→動脈硬化が進む |
●中性脂肪が「肝臓」にたまると…「脂肪肝」に |
@食物から摂取した「糖」は肝臓で中性脂肪を合成し、体へ送られる |
A「脂肪」も同じように肝臓で中性脂肪に合成される |
B食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなどで、合成される中性脂肪と、体に送られる中性脂肪の量のバランスが崩れると、肝臓に中性脂肪がたまっていく→脂肪肝へ
※アルコールを摂取した場合、肝臓はアルコール分解をすると同時に、糖から中性脂肪を合成する働きも活発になってしまう。 |
(4)中性脂肪をためないための予防と対処法 |
@食習慣:低カロリー、高タンパク質の食事を心がけましょう |
★食べ過ぎに気をつけましょう。 |
・ お菓子や果物から糖分を取るより、吸収の遅いごはん、パン、麺類、イモ類などから糖質を摂取する |
・ 砂糖や脂を使った料理を避ける |
・ 食物繊維をとる |
・ ゆっくりよくかんで食べる |
※タンパク質は、中性脂肪を血液中に流す役割をする。このため、偏ったダイエットなどでタンパク質不足になると脂肪肝になりやすいので、肉や魚などの動物性タンパク質、大豆などの植物性タンパク質などをバランスよく摂ることも必要。 |
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★飲み過ぎに気をつけましょう |
・ お酒を飲み過ぎないように |
・ サワーやカクテルなどの甘いお酒を避ける |
・ おつまみにも油を使った料理は避け、冷奴や刺身、枝まめ、蒸し物、煮物等にする |
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A運動習慣:脂肪を燃焼させましょう |
★中性脂肪はたまりやすいが、減らしやすい |
・ 30分以内の移動なら徒歩か自転車にする |
・ テレビのリモコンを使わない、掃除をする、軽いストレッチなど、こまめに体を動かす |
・ 姿勢を正しくして背筋、腹筋などの筋力をつける |
・ 激しい運動より、早歩きの方が脂肪が消費される |
・ 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)をする |
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◎食生活、運動などに気をつけて、生活習慣病にならないよう心がけましょう! |
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(参考文献) |
・「ご用心!油断できない中性脂肪」『NHKきょうの健康』日本放送出版協会、2004年4
月号、27〜48頁。 |
・「あなどれない!脂肪肝の新常識」『ためしてガッテン』NHK放送、2003年12月17
日放映 |
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