バイ・ディジタルO-リングテストに関わる諸問題―外部制度管理・法的問題・エビデンスについてー 出口一樹先生 (岐阜県中濃保健所)(Bi-Digital
O-Ring Test
アドバンスセミナー 平成19年8月4・5日昭和大学歯科病院にて)The
problems about Bi-Digital O-Ring Test -Precision
management, legal problem and evidence- Kazuki
Deguchi M.D., Cert. ORT-MD(3Dan) Director
of Seki Public Health Center in Gifu prefecture バイ・ディジタルO-リングテスト(OMURA,Y.
1977-2007.以下BDORT)が、1981年に発表されて以来、その学問的内容と組織は発展してきましたが、それに伴って解決するべき問題が生じています。今回は外部精度管理・法的問題・エビデンスの観点からそれらの問題を考えてみたいと思います。
1.外部精度管理について
BDORTの基本は定性および定量試験であり、病院あるいは試験検査所で行われている通常の検査と同等の信頼性を得るためには、精度の管理を行う必要があると思います。病院、試験検査所では、精度を保証するために、国際標準化機構International
Standard Organization (ISO)の規格、優良試験所基準
Good Laboratory Practice(GLP)の導入が推奨されています。また試験検査の精度を確認するために、外部精度管理が導入されることが多くあります。この制度は第三者組織が病院・検査試験所に対して未知の試料を配布して検査をさせ、その制度を判定するものです。BDORTを行う医療機関がどの程度正しくやっているのかということを保証するには、どうしても外部精度管理を行う必要があります。そこで、私の提案としては、O-リングテスト協会が基準を定め、第三者機関が医療機関の行うBDORTの外部精度管理を行うことが良いと思います。具体的な例としては、例えば、第三者機関が検査の試料やレントゲン写真を医療機関に送付し、それをO-リングテストで判定・測定してもらいどの程度の精度があるかを判定するものです。
2.法的問題
一般的に医師の行為に関しては「医師法」、医療施設に関しては「医療法」があります。「医師法」に抵触するかどうかの判断は、司法(警察・検察)が行い、「医療法」上の問題があるかの判断は都道府県知事(実際には知事からの委任による保健所長)が権限を有しています。医療事故が発生した場合は、司法は医師に対して刑事責任を問い、都道府県は医療施設に対して行政処分を行い、重大な違反に対しては医道審議会による医師の処分が行われることもあります。国は診療を行う専門家(医師等)とその組織(病院等)に医業の独占的許可を与え、その免許範囲の責任を負わせているのであって、その範囲を超えた「医師・医療機関の所属する協会・学会等」に対して刑事責任を問い、行政処分を下すことはありません。これまで、BDORTによる治療を受けた患者の訴えに対してO-リングテスト協会が対応に苦慮していることが報告されていますが、そもそも協会は刑事責任・行政処分を受ける立場にはありません。そのような考え方に立脚して協会が抱えている問題を整理・再検討していく必要があるのではないかと思います。
3.エビデンス
BDORTでは、癌・難病などに対して金属・化学物質・アスベストなどの排出と細菌・ウイルスなどの感染症に対する抗菌・抗ウイルス物質を投与することにより治療効果を上げています。この治療が効果的だと証明するには、「科学的機器による判定」や「動物実験による確認」が必要だという意見があります。しかし、これらの方法は「臨床医学の治療効果」を科学的に判定するのに、必ずしも必要とは言えません。例えば、動物実験によってBSEがマウスには感染しないことが分かっても、そのことは人間にBSEが感染するかどうかの答えにはなっていません。現在、治療法の効果を評価するための研究方法は、いわゆるくじ引き試験といわれるランダム化試験Randomized
Controlled Trial (RCT)が、最高の方法といわれています。これは、母集団からランダムに選んだ患者をさらに均等に二群にわけ、新治療法と従来の治療法で試し、その結果を統計学的に評価するものです。BDORTならば、BDORTでの治療と、現代医学的治療とに分け、その結果を統計学的に評価すればよいわけです。この方法は、疫学に基づいていますが、日本は疫学を導入すべき時に、文部科学省が疫学と統計学を誤解し、コンピューターを大学に導入しただけで、疫学者の養成を怠ったため、疫学自体の発展が遅れてしまいました。BDORTを他の科学者にも認めさせ、国際的なジャーナルにもBDORTを掲載するためには、ランダム化試験は必要なのです。以上の考えより、私はO-リングテスト協会内には、精度管理委員会、法律検討委員会、RCT委員会なるものを組織し、現在の問題点を解決する必要があると思います。 |