New YorkのColumbia大学で2009年10月31日〜11月3日に開催された第25回国際鍼・電気治療学会に参加された先生方の体験記を紹介致します。
1.田中俊男先生(東洋鍼灸院院長、東京)
以前から、一度は参加させて戴きたいと念願していたNew
Yorkでの学会ですが、コロンビア大学での開催は最後になるかもしれないと聞き、何とか仕事を調整して学会に臨みました。参加させて戴く以上は発表もしようと、色々と思案しているうちに、最近急増している鬱病に関しての内容をまとめ、知りあいの方に頼み英文に作り直していただきました。ふと気がつくと、「プレゼンも英語?」と戸惑いながら、どう話したらいいかも指導を戴き、出発の2週間ほど前には準備も整い、あとは日程を待つだけとなりました。New
Yorkマラソンやハロウィーンも重なる時期、航空券や宿の心配もしましたが、いずれも何とかなりました。New
Yorkの地下鉄は乗ったことがなく不安でしたので、大学まで歩いて行ける宿を取りましたが、これが行ってみてびっくり。一部屋を3-4人でシェアする安宿。パスポートや大事なものは全て抱えて寝る始末。初日からろくに眠れず参ってしまいました。翌朝は眠い眼を擦りながら、少し早めに行こうとセミナー会場に着いたら、大城さんと川嶋先生が準備しておられて、こんなに早くから我々のためにして下さっているのだと心から頭が下がる思いでした。続々とセミナー参加者が増え、100人以上の参加者に椅子が足らないほどでした。大村教授のご挨拶で学会が始まりましたが、すべて英語の世界。世界各国の研究者の発表はエネルギーに満ち圧倒されました。必死にヒアリングをしても内容はとても聞き取れず、いい英語の勉強と思い、知らない単語を書き出していったら、4日間で200語以上あり、これでは理解できないはずだと、次回の国際学会までには勉強しておこうと決意いたしました。私の発表は3日目で早く来ないかとハラハラしていましたが、最初の日本人の発表は脳外科の野本先生でご発表のあと質問が相次ぎ、私自身がドキドキしてしまいました。2日目の朝はパソコンの画面にインターネット電話で下津浦先生の顔を拝することが出来、一安心しました。日本は夜の10時位なので、時間外に申し訳ない気持ちになり、地球の裏側から支えて下さっている下津浦先生にも感謝しました。こうなるとあとは発表を待つばかりです。イタリアやチェコ、スェーデン、ブラジルと国際色豊かな先生方の発表は時間が押せ押せで、なかなか時間内に収まりませんが、発表の時間が近づくにつれて初めてのNew
York、そして初めての外国での発表、初めての英語での発表に心臓の鼓動が高鳴るばかりでしたが、ふとセミナー会場の外に眼をやると何ともきれいな町並みに心が穏やかになった不思議な体験をしました。無事発表も終わり、質問もなく、終わってみるとあっけないものでした。今回は初めてのNew
Yorkなので、Ground
zeroと自由の女神、Central
parkだけは見ようとセミナーの日程をみると、朝の9時から夜の9時半までびっしりお勉強。1日だけクルージングの日程が組まれていて、自由の女神は見られたので、あとはGround
zeroとCentral
park。初めて見たGround
zeroはすこしショックでした。まだまだ傷跡が残っていて、こんなに広い敷地に建っていたビルが崩壊したのだと言葉を失いました。花が飾ってあったり、勇敢に戦った消防隊員のポスターが貼ってあったりと8年経った今でもその痛々しい傷跡は残っていました。New
Yorker達はベーグルとスターバックスのコーヒーを飲みながら、足早に会社に向かっていましたが、アメリカ社会の光と影を見た感じがしました。Central
Parkも散策しましたが黄金色の落ち葉が何とも絵になり、確かこんな映画があったなぁとジョギングする方達に抜かれながら、犬の散歩をしている方達を飽きもせず眺めていました。4日間も同じ釜の飯ではないですが、ご一緒させていただいていると日本からおみえになった先生方とも仲良くなり、こんな遠くまで余程の志がないと来られないと自分自身が感じていましたので、The
Bi-Digital O-Ring Test医学会の中に新しい風が吹き始めているんだなぁと感じました。大村教授にはこれから先もご指導を頂きたい気持ちはありますが、いつまでも教わるばかりで何もお返しが出来ない自分を反省し、日本に帰ったら、ORT友の会の皆様にThe
Bi-Digital O-Ring Testの一部でもいいから技術をお伝えしようと決意し、セミナー開催の許可も戴き、今月より多くの方達に大村教授がどんな経緯でこの技術を開発なさったかをお伝えしようと思います。セミナーを通して大村教授がいかに気を配られ、この学会が成り立っているかを間近で感じ、私などは何の役にも立ちませんが、少しでもこの学会の存在がより多くの先生に伝わり、一人でも多くの方がこの技術で救われることために努力したいと思います。セミナー開催にあたり、いつも縁の下の力持ちの大城さんや川嶋先生、ORT生命科学研究所の方達のお力添えに感謝いたします。そして毎月康済会病院で研修して下さる下津浦先生には、いつもやさしく丁寧にご指導を頂き、感謝の気持ちで一杯でございます。最後の夜はヒーラーの龍村和子先生にご馳走になり、「せっかくのNew
Yorkもっと楽しんでもらいたかった。」との言葉を戴き、またこのNew
Yorkの学会で学びたいと思いました。初めての体験ばかりでしたが、The
Bi-Digital O-Ring Testの聖地とも言える地を肌で感じ、日本では味わえない大学の雰囲気、医学会の雰囲気、New
Yorkの町並み、すっかり気に入って、また伺えたらいいと夢に描いてしまいました。New
Yorkで知り合った先生方も私にとってはとても大きな財産で、いろいろな専門分野のご指導を頂きながら切磋琢磨していきたいと思います。
2. 七沢久子先生(七沢歯科医院・院長、山梨県)
10月31日から11月3日までの4日間にわたり、25th International
Symposium on Acupuncture Electro-therapeutics and Related
Fields(第25回 国際鍼・電気治療学会、第9回バイ・ディジタルO−リング国際シンポジウム)の記念すべき学会に参加させていただき、大変感激しております。ニューヨークのマンハッタンのコロンビア大学は、キャンパスも、すばらしく、ロダンの考える人の像や、ヘンリームーアの像も、置かれていました。緑の木々に囲まれ、黄色に色づいた紅葉した樹木も、キャンパスを引き立てていました。会場は、展望の良いSchool
of Public & International Affairsの15階で開催され, 午前9時から午後9時までという長時間にわたる内容の濃い充実した学会でした。本当に国際的な学会で、参加された先生方は、アメリカ、イタリア、トルコのイスタンブール、ブラジルなど、各国の著名な大学教授の先生方や、臨床医の先生方で、会場は満席でした。日本からも、前田華郎先生をはじめ、大勢ご参加されておりました。今回は日本とアメリカの中継をされていまして、日本から、下津浦先生の演題発表や、藤井佳朗先生の発表も、コロンビア大学の会場内で、拝見させていただき感激いたしました。映像もとても、鮮明で、肉声もよく聞こえまして、時代とともに、メカニズムの発展をすばらしく思いました。また、大村恵昭先生のご講演を、直接身近でお聞きすることで、今までの私自身の勉強してきたことの再確認ができ、これが一番の収穫と感じております。日頃より、ABC
TreatmentとTrue
ST.36(足の三里)の療法は実践させていただいております。今回は私自身の演題『副交感神経優位の情緒語について』も発表する幸運をいただき、大変有難く感謝申し上げます。発表後、多くの先生方から「クラムを用いた爪もみ療法」の質問があり、関心の深さに驚きと同時に、感慨ひとしおでした。また、いまい内科クリニック院長の今井浩之先生の講演内容が、ORT友の会会報2008、Vol.15に、言霊に関しても、「ありがとう」「今日もいっぱい働いた!!」というと、アセチルコリンとテロメアが上がり、そして「あー疲れた」というと、アセチルコリンとテロメアが下がると掲載されていました。まさに、私も、これに関して、今回、曼荼羅図にまとめて、O−リングの強い言葉、弱い言葉として、分類してみました。まず、交感神経と副交感神経の分布と作用をのべ、それを、体感性と情緒性の構造と感覚でまとめました。手にある身体反射場の位置の図を提示し、体性―自律神経反射療法として、独自で開発したクラム(特許取得済み)による手の刺激方法を写真で、みせました。皇帝内径の七感情を提示し、感情表現の情緒語を分類しました。それに基づき、交感神経・副交感神経優位の情緒語を曼荼羅図にいれました。日常臨床での、副交感神経優位の情緒語 すなわち、喜(よろこぶ)安(やすんず)好(このむ)を日常表現として掲載いたしました。今回、これを発表できましたことは、今までの経験したことの、確認をいただけたと感謝しております。参加された先生方との心温まる交流もでき、貴重な経験をさせていただき、本当にこの大会に参加できましてよかったと思いました。日頃から、『いい言葉が、いい人生をつくる』ことを、実践しており、『百事楽嘉辰』(すべてのことが、楽しくめでたいことにつながる)を指針としております。いろいろご配慮いただきました大村恵昭先生はじめ、大城素先生、川嶋洋士先生や 関係各位の方々に心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
発表後、七沢先生に質問する参加者 参加者の記念撮影(最終日)
3.ニューヨーク国際学会に参加、発表をして 丸山 源司先生 (丸山鍼灸科、三重県)
2010年10月31日から11月3日までニューヨークコロンビア大学で第25回国際学会が行われた。10月30日、セントレア中部国際空港を飛び立ち、成田国際空港で乗り換えニューヨークケネディ国際空港まで12時間のフライトであったが、意外に疲れはなかった。日本を30日に発ち同じ日の30日に到着したので何か少し変な気がした。市内へのアクセスは何を利用しようかと迷ったが、結局イエローキャブを利用、約1時間のドライブで料金は45ドルだった。宿舎のHoliday
Inn Midtown 57th STには午後4時頃には到着、1時間程休憩し、宿泊が同じホテルであった協会会員の野本ドクター、当院のスタッフで共同研究者の田中と共に食事に出かけた。セントラルパークのすぐ近くのブロードウエイ沿いのレストランに入ったが、3人とも菜食主義なので肉の入っていないものを探すのに苦労した。魚なら3人ともそれほど問題はないので、ツナの入った野菜サンドイッチ(これがどでかい)にし、店内が混雑していたのでテイクアウト、野本ドクターの部屋で食べることになった。野本ドクターは、現役のバリバリの脳外科医でありながら、気の世界や霊的なことまで多方面の豊富な知識を持ち、我々3人は大いに気が合い遅くまで話し込んだ。というわけで初日はとても楽しかったが、2日目からは朝9時から夜9時まで学会で英語漬け、しかも専門用語、大丈夫かなと思いながら寝た。ニューヨーク2日目、学会初日の10月31日。朝から晴天で少し寒かったがとてもいい日で、11月1日は200万人の観衆で3万8千人のランナーが参加するというニューヨークマラソンの前日で、朝からちらほらトレーニングをしている人たちを見かけた。コロンビア大学へのアクセスは地下鉄を利用することにし、野本ドクター、丸山、田中の3人でセントラルパークの近くの59th,ST駅からコロンビア大学のある116th,ST
Columbia University Station駅まで乗車しようとしたら、116th,STに向かうホームは工事中で「列車は止まらない」との表示。○駅、○駅・・は工事中との表示だけで他の案内は一切無い。少々右往左往しつつ、反対側のホームから駅を2つほど戻り、折り返して116th,STへ向かった。大学の正門は地下鉄の駅を出たすぐ前のブロードウエイに面しており、とても便利で、以後学会の終わるまで地下鉄を利用した。大学の正門を入ると広い石畳のメインストリートが大学の反対側の通りまで突き抜けていて、その両側に校舎が建ち並んでいる。メインストリートの中程にはコロンビア大学名物のLow
Memorial Libraryと呼ばれる図書館がある。歴史を感じさせる立派な建物だ。私たちもこの前で記念撮影をした。
Colombia University
Low Memorial Library
International
Affairs
コロンビア大学は1754年に創立されていて、アメリカ建国より古く、250年の歴史を持つ。キャンパスのいたる所に歴史を感じさせる古い建物があり、重厚な雰囲気を醸し出している。今回の国際学会の会場は、International
Affairsという建物の最上階の15階で行われた。会場の窓からはニューヨークの市街が一望できるすばらしい場所だ。参加者はほとんどが医師と歯科医で、他は薬剤師、看護師、獣医師、鍼灸師といった顔ぶれ。デンマーク、オーストリア、ドイツ、イタリア、トルコ、中国、韓国、ブラジル、アメリカそして日本など、世界中から参加があり、約40人の発表があった。日本からは12〜13名の参加があり、5名が発表した。内容的には、バイデジタルO−リングテストを応用した医学的研究や東洋医学の漢方薬、鍼灸に関する研究であり、面白い発表では音楽や音の身体への影響に関する研究、野本ドクターの「活赤」という軟膏で手の大きな疣が取れテロメアにまで影響するという研究、犬や猫に鍼をするという獣医鍼灸の研究などがあった。これは余談だが、この「活赤」という軟膏を日本に帰ってから患者さんに試してみたところ、ツボや脊柱のある部分に塗ると、肩関節や股関節の動きが柔らかくなったり、アトピーの患者さんのかゆいところに塗ると一時的にかゆみがとれたり、関節の炎症が激しい部分に塗ると痛みが和らいだりとれたりした。その他に私たちの注意を引いた発表は、インド人医師でニューヨークのNew
York Medical Collegeで教えているDr
Harsha Duvviの“Reduction
of Intractable Brainstem Tumor”で、手に負えないほどの脳腫瘍がO-Ring
Testを応用した統合的治療で縮小したという内容だが、DNA、原子、エネルギー、光、さらにミクロでは無になるといった、物のレベルからエネルギーそして空の世界へという人間存在の本質まで説いており、さすがインド人だと感心させられた。仏教徒の多い私たち日本人にはそれほど違和感がないが、物的世界観の強い欧米人には理解しにくいのではないかと思われた。前日、昼休みにコロンビア大学前のブロードウエイ通りに面しているレストランで食事をしているときたまたま隣り合わせになり、大いに話が合い、楽しい一時を過ごした人だった。まだ40代と思われるが、表情もよく好感の持てる人で、もう一度あの話が聴きたく、連絡を取ろうと思う。
ところで私の発表は、Long-term
Evaluation of Acupuncture and Moxibustion Treatment of
Chronic Articular Rheumatism by Measuring Uric Acid, β-Estradiol,
and Estrogen receptor etc. by using Bi-Digital O-Ring Test. (慢性関節リューマチのBDORTを用いた鍼灸治療からみた、免疫、尿酸、及びβ−エストラディオール、エストロゲン受容体に関する考察)であり、25年間も患っていたリューマチがドラマティックに回復した症例をもとに書いた小論文である。発表にあたっては、抄録をニューヨークの大村先生に提出し、許可をいただいた。半年間、わずか15回の治療ではあるが、効果がはっきり出ており、この患者さんが提供してくれた現在までの10年以上の血液検査のデータ、私たちのBDORTの測定結果の数値が、症状の変化と一致している。発表では、リューマチの痛みと関節に溜った尿酸による痛みとの関係(血清尿酸とは必ずしも一致しない)、自己免疫疾患であるリューマチの評価の目安としての免疫物質(IFN-α,γ、IL-6、IL-10)の動きについて述べた。また、女性ホルモンのβ−エストラディオールと尿酸の再吸収に関して、β−エストラディオールと受容体との関係、さらに受容体とその遺伝子、尿酸の生成や再吸収に関わる遺伝子との関係についても述べた。これらに鍼灸治療が大きな影響を与えており、さらにDNAにまで影響を及ぼす鍼灸の経穴も発見し、治療効果が上がっていることを報告した。帰り際に大村先生に一言「お前の英語はひどいな」と言われがっくりきたが、内容には興味と理解を示してくれたように思う。資料を送れと言われたので、面目躍如といったところである。今回のニューヨークは、4日間の学会でMorning
Session, Afternoon Session, Evening Sessionと有り、朝9時から夜9時まで英語漬けで、とても大変だった。少し救われたのが、日本と違い意外と時間にルーズなことだった。それと2日目の夜、学会が終わってからのハドソン川のナイトクルーズ。約1時間半船上からニューヨークを観ることができた。とても寒かったのだが、デッキに出て外を眺めていた。ライトアップされた自由の女神像を巡り元の桟橋に戻ったのは10時を過ぎていた。ニューヨークの真上に出ていた月がとってもきれいだったのが印象に残った。
今回国際学会に参加して、Bi-Digital
O-Ring Testを利用している世界の医師たちがどんなことに関心を持っているのか、知ることができ、幅広い医療分野での研究発表はとても参考になった。また、世界中から集まったいろんな人たちと知り合いになれた。世界の多くの場所で医師たちが鍼灸に興味を持ち研究と実践をしていることが分かり、鍼灸師として本当に嬉しかった。ただ残念なのは、中国流の太く長い鍼を用いた鍼術が多く、日本のような細い鍼での微細な刺激を用いたデリケートな鍼術があまり知られていないことだった。日本の鍼をもっと知ってもらうためにも、もっと英語を勉強して、このような機会があれば発表しようと思っている。最後に、このような発表の機会を与えてくださった大村教授に心より感謝を申し上げます。
4.磯部知巳 先生(デンタルライフクリニック、神奈川県)
2009年10月31日(土)から4日間、第25回 国際鍼・治療学会に今回、初めて参加させていただきました。10年ぶりに行くNYに胸を躍らせながら、少し早めに木曜日に成田を出発しました。約13時間飛行機に揺られ、JFK空港に到着し入国を待ちますが、噂の如くかなり審査は厳しく、両手10本の指紋と、顔写真の撮影に時間が掛っている様で、2時間程かかりました。睡眠不足と疲労でフラフラになり、最近のアメリカの入国はかなりの覚悟が必要だと痛感しました。一人で行ったこともあり、先を急ぐこともなかったので、エアトレインと地下鉄を乗り継いで、マンハッタンのダウンタウンへ向かいました。以前来た時と比べて、駅や電車の落書きも殆ど消され、安全になったような雰囲気がします。1時間半位かかりましたが、7ドルで行けるのが魅力です。時節は大変に良く、暑からず、少し寒いくらいの爽やかな天気が心地良く感じました。ハロウィーンの装飾もなかなか趣があり、本場アメリカに来たという実感が湧きました。金曜日はセントラルパークを散策した後、アメリカ自然歴史博物館やメトロポリタン美術館へ行きゆっくりと展示を鑑賞しました。日本とは全くスケールが違い大変に広いので2か所を見るのに丸一日かかります。モネ、ローザンヌ、シャガール、ゴッホ、ピカソ、フェルメール、レンブラント等々著名な画家の作品がずらり並び、当日は特にフェルメールの特集が組まれていたにもかかわらず、特別に混雑することもなく作品を間近に目にすることができたので感動しました。これは決して日本でかなわぬ事と思います。日本の刀、兜のコレクションが大変豊富で、アメリカの地で新たに日本の歴史文化の勉強を致しました。コロンビア大学はセントラルパークの北西の高台に位置し、都会にありながらその喧騒から離れ、学際的雰囲気を放つ、素晴らしき所であります。大村先生は学会場に来られると、クラミジア・トリコマティスに感染している人が多いといわれ、保菌量の多い方の手にゴダニウムという新たに開発された金属を貼られ治療をされていました。これは最近のトピックスだそうです。始めの講演では、テロメアについては詳しく解説されました。一般的に多くの研究者は、細胞のテロメア量は変化しないと考えていますが、衣食住を取り巻く多くの物に影響を受けて、劇的に変化することを強調されていました。さらに、アスベストの汚染についても述べられ、アーモンド、生姜などが良くないと言われ、特にアーモンドの汚染が著しいとの発表には驚かされました。大村先生はまた、ご自身の眉毛の部分的な白色化を取り上げて、白髪化された領域臓器の異常化について解説されました。鼻翼側方、下唇下面にも臓器代表領域があることもお話され興味深く拝聴いたしました。最も印象的だったのは、手・足・口を使って患者に文字を書かせ、テロメア、アスベストの量を、BDORTを用いて調べ、ガン、アルツハイマー等の診断を行うというものです。非常にスピーディーに病変部位を推定できるので有用あると言われました。推定された部位にサンプルを用いて詳細に診断して行く方法です。日本のみならず、諸外国の先生方の熱意には相当なもので、実習ともなると食い入るように見学されていました。とくにアメリカの歯科医師の方々は、咬合、歯周病、TMJと多岐にわたる発表が行われ大いに参考になりました。メキシコでは、国民の約60%がメタボリックシンドロームにて生活習慣病予備軍であり、その改善に鍼灸が非常に有効であると報告されました。チェコでは、公的な病院が、ホメオパシー、EAV、鍼灸を使い、脳疾患(腫瘍、神経障害、精神疾患など)の患者に応用しているというのも興味深い内容でした。また、デンマークでは偏頭痛に悩む方が、非常に多く、西洋医学的治療で改善せず、東洋医学的アプロ−チ、特に鍼灸を用いて改善に至ったケースが多数あると報告されました。大村先生は偏頭痛の要因とて、ヘルペス・シンプレックスの感染、アスベストの蓄積が大きく関与しているとコメントされました。3日目の夜には皆様と、ハドソン川を下りつつマンハッタン島をぐるり半周程するナイトクルーズに出かけました。それまでの学会期間中の曇天とは打って変わって、雲一つない星のきらめく夜空と、満月に浮かび上がる自由の女神を見たときの感激は今も忘れません。輝く摩天楼を見つつNYを満喫いたしました。無事に4日間の学会を終え、2日ほど余裕を持って観光を致しました。NYを少し離れ、ニュージャージー・トランジットという私鉄に乗ってニュージャージー州を観光いたしました。グランドセントラル駅から1.5時間程行ったトレントンという町に下車しましたが、NYとは全く違い人もまばらで自然にあふれるアメリカらしさが存在します。気になったのは、車窓から見える工場のほとんどが閉鎖されており経済状況の厳しさを目の当たりに致しました。時間があり、鉄道に興味が有る方は、アムトラックという鉄道(日本の新幹線に相当する)に乗れば2時間程でワシントンやボストンへもいけるので観光もさらに楽しくなるのでお勧めいたします。帰りも地下鉄で帰りましたが、途中で地下鉄が止まり(インフォメーション無く当日突然始まった工事のため)、帰国便に間に合わなくなりそうになり大変な思いをしました。たまたまタクシーが来て、かなり急いで走ってもらったので間に合いましたが間一髪でした。帰りはやはりリムジンか、タクシーが安全かと思います。学会運営に当たり、細部にわたり御配慮いただいた大村先生を始め、O-リングテスト協会のスタッフの皆様方に深く感謝いたします。どうもありがとうございました。
5.NY国際学会に参加して 矢崎智子(クリニックハイジーア院長、東京都)
私は今年学会員になったばかりの初心者ですが、国際学会の開催場所がコロンビア大学最後の年ということで、参加させていただきました。まず私とO-リングテストの出会いですが、漢方治療を行っている父が10年以上前からとり入れていたことで、O-リングテストは知っており、私自身もO-リングテストで助けられた経験があります。大学病院で勤務医をしていた時(10年近く前)、倦怠感、リンパ節の腫れという症状が出たことがありました。最初は風邪だろうと思っていたのですが、手足に発疹がでてきたので、何らかのウィルス感染ではないかということで自宅療養をすることになりました。ウィルス抗体価を調べましたが、結果が出るのは2週間後ですし、何のウィルスかわかったとしても現代医学的には治療法がありませんから、何をするでもなくただ寝ているだけでした。そのうちに体調がどんどん悪化し、ある日強烈な全身倦怠感と吐き気で、一人自宅でぐったりとソファーに倒れこんだまま、動けなくなってしまいました。そんな時、「虫が知らせた」といって両親が田舎(長野県)からやってきて、O-リングテストで漢方薬を診て、漢方薬を飲ませてくれたのです。それはエキス剤の桂枝湯でしたが、1袋飲んだとたん、それまで鎖で縛りつけられたかのように一歩も動けずトイレにも行けなかったのが、すっくと立ち上がり、トイレに行きました。そして少しでも動いたら吐きそうだったのが、胃の中のものがすとんと落ちたかのように気持ち悪さがすっきりとなくなり、食事をとることができたのです。もちろんその一服だけで完治したわけではなく、その後も漢方治療を続けましたが、これにはとても驚きました。O-リングテストと漢方の素晴らしさを、身をもって感じた経験でした。2週間後にウィルス抗体検査の結果がでましたが、伝染性紅斑、リンゴ病でした。そんなことがあり、O-リングテストの素晴らしさは体験済みだったのですが、いろいろな治療法を模索する中で、自分自身が診療に取り入れようと思うまでには時間がかかり、今年ようやく入会させていただいたというわけです。さてNYの学会ですが、日本を出る前から風邪を引いており、残念ながら体調は万全とは言えませんでした。しかしながら各国の先生方のご発表は興味深く、O-リングテストを使って真実を知り、病気を治したいという気持ちに国境は関係ないのだな、と感じました。そして、学会の内容もさることながら、私にとってとても勉強になったのは、あまりにも私の体調が悪かったために、見かねた参加者の先生方がいろいろな治療を施してくださったことでした。当然ながら、代替療法には一家言ある先生方ばかりです。皆様がそれぞれ得意とする、漢方薬やホメオパシーのレメディ、ツボの指圧、温熱器による温熱療法など、至れり尽くせりの治療をしていただきました。その際に先生方のご経験や独自の考え方を知ることができ、とても勉強になりました。その中でも一番効果を感じたのは、講義で大村先生が気を入れてくださった紙です。夜になると胸が焼けつくように痛み、咳込んで眠れず、とてもつらかったのですが、その紙を胸に当ててみると、とても楽になり、咳が減って、よく眠れました。これも初めての体験だったので、新鮮な驚きでした。O-リングテストの世界は奥が深く、私にはまだわからないことだらけですが、地道に勉強させていただき、患者様に還元できればと思っております。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
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